千歌(気持ちに気付いて……ダイヤさん……)
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例えばね。
わざとだらしない格好をしてみたり。
服をわざとはだけさせてみたり。
「ねぇねぇ」って自分でもあざといと思っちゃうくらい甘い声で貴方を呼んでみたり。
背中にピタッてくっついて肩に顎を乗せてみたり。
そういう行動って全部「貴方の事が好きです」っていう意味に捉えられると思うんだ。
でも、貴方は気付いてくれないんだよね……
ダイヤ「はしたないですよ千歌さん」
そういってタオルをかけてくれたり、服を整えてくれる。
貴方はいつもそうしてくれる。
それはとっても優しいなって思うけど、
でも、それは千歌の求めてる事じゃなくて…… 千歌「……」
そんな事されたから、まるで自分が小さな子供に戻ったみたいな感覚になって、感情とか思いとかがコントロール出来なくなっちゃう。
千歌「だって……ダイヤさん千歌の事避けるもん……」グスッ
ダイヤ「避けてませんよ?」
千歌「千歌が抱きついたらすぐ離そうとする……」
ダイヤ「それは」
千歌「ルビィちゃんや果南ちゃん、鞠莉ちゃんには何も言わないくせに」
ダイヤ「あの人達と貴方は違いますわ」
千歌「なにが違うの?やっぱり嫌いだから?千歌の事嫌いなの」
ダイヤ「そんなわけ……」
千歌「嫌いにならないで……」ギュッ
すがりつくみたいに抱き返してダイヤさんの頬に自分の頬を擦り付ける。 ダイヤ「千歌さん」
千歌「やだよ、嫌いにならないで……だって千歌はダイヤさんの事……」
好きなのに。
そう言いたかったけど、こんな状態になっても、その一言だけが言えなかった。
まるでその言葉だけを封じ込められたみたいに、言葉に出せないの。
ダイヤ「千歌さん……?」
千歌「……」パク…パク…
今すぐ、好きって伝えたい……
でも言葉に出そうとすると苦しくなって、まるでそういう呪いにかけられてるみたい。 千歌「……」
だから、好きに代わる言葉を探すけど……
それも見つからなくて……
千歌「ダイヤさん……」
ダイヤ「っ!」
だから、ダイヤさんの頬にキスした。
これで気持ちが伝わってくれるように。
それで伝わらないならダイヤさんの手をおもいっきり握ったり……
潤んだ瞳で見つめてみたり……
背中に手を回して指先でくすぐるみたいに触れたりしたの。
これで気付いてくれるかな、千歌の気持ちに…… ダイヤ「どうしたんですか……千歌さん……」
それでも、まだ気付いてくれないの……?
どうしたら気付いてくれるの……?
千歌「……っ」
もうどうしたらいいのかわからない。
だから、自分の服に手をやってみた。
ダイヤさんの目の前で裸になったら気付いてくれるかなって思って、ボタンを1つ1つ外そうとしたの。
千歌「……?」
でも、外そうとしても、
外すボタンが1つもなくて……
千歌「えっ……?」
なんでだろう? 自分の体に視線を移すとブラウスのボタンは全部外されていて、
なんだか、カッコつけたベストの着こなし方をしてるみたいになってる。
開いた部分からはブラジャーと無防備なお腹が見えていて、そこから下はスカートを履いていた筈なのに何故かパンツだけの姿になっていて……
なんでこんな姿になってるの?
まさか、寝惚けて脱いじゃったのかな……
今までそんな事したことないのに……
わからないけど、でもそんな自分の姿を見たら恥ずかしくなって思わず手で隠しちゃう。
さっきまで裸になろうとしてたのに不思議だよね。 ダイヤ「……」
もしかして、ダイヤさんが寝てる間にしたのかな?
でも、そんなこと……ダイヤさんがするわけ……
ダイヤ「千歌さん」
千歌「ひゃっ!」ビクッ
いきなりダイヤさんの手が首筋に触れて体がビクッてはね上がっちゃう。
急にどうしたの?ビックリしちゃったよ?
でも驚いた千歌なんて気にもせずに、首筋をなぞるようにして耳元まで手を滑らせると、
今度は耳回りの髪の毛をくしゃくしゃってしながら、親指で耳の中をくすぐるみたいに触れてくる。 千歌「きゃっ……ダイヤ……さん?」
名前を呼んでも返事はなくて、その代わりにベットへ押し倒されていた。
千歌「……」
ダイヤ「……」
お互い黙って見つめ合う。
さっきまでぼんやりしていた頭もすっかり冴えて、
ふと、ダイヤさんが自分と同じ気持ちだったら?という考えに及ぶ。
ダイヤさんが千歌と同じ気持ちだったら……どうなんだろう?
だから千歌を避けてたのかな?
だから、くっつかれるのが嫌だったの?
だから、誘うような事しても全く興味がないみたいに振る舞ってたの?
だから、千歌が寝てる時に……こんな事したの? 本当は千歌の事が好きで、千歌の体が見たくて寝てる間に脱がしたのかな。
それに気付いて千歌が泣いてると思ったから、「気付いてたんですか?」なんて言ったのかな?
千歌「……」
ダイヤ「……」
ずっと見つめ合ってると……
たぶん、そうなんだって思えてきた。
言葉は交わさなくて見つめ合うだけで相手の気持ちが伝わってくるの。 だって、それだけ熱を帯びた視線を千歌に向けてくれてるから。
ダイヤさんも千歌と同じ気持ちで、
向こうもこっちの気持ちに気付いてる。
でも、お互いに「好き」って言葉だけが口に出せなくて、
きっとその言葉が口に出せたら、お互いが求め合うみたいに愛し合えるのに……
なぜか口に出来なくて苦しいの……
だから…… 千歌「……」チュッ
好きの代わりに口づけを交わした。
言葉にしなくても伝わるように……
ダイヤ「千歌さん……」
キスをし終わる頃には、私達の関係はさっきまでとはもう別のものに変わってしまった。
勉強したり、お茶を一緒に飲んだり、ふざけあったり……
そういったことはきっとこれからも変わらず出来るけど。
でも、さっきまでの私達じゃ絶対に出来ないことが出来るようになったの。
まるでキスによって呪いが解かれたみたいにね。 起きませんように起きませんようにと思いながらも興奮を抑えきれない表情で
一つずつボタンを外しているダイヤさんを想像すると少し笑ってしまう ほんわかな雰囲気から女と女の空気になるの本当たまらない
おつおつ 最近、千歌さんの様子が少しおかしいんです。
千歌「ダイヤさーん」チラッ
肌の露出を増やしてきたり。
千歌「ダイヤさーん」ムギュッ
やたらと体をくっつけてきたり。
千歌「ダイヤさーん♪ダイヤさーん!」
私の名前を意味もなく呼んだり……
ダイヤ「……」
なんなんですかいったい……
普段はそんな事してきませんのに、私と二人っきりの時だけ妙にそういった行動をとってきて。
まるで「貴方の事が好きです」と言ってるみたいじゃないですか…… 千歌「ねぇ、ダイヤさーん……」
まぁ、実際貴方に「好き」と言われた事はないので確証は持てませんし……
千歌「ダイヤさぁん……」
これはあくまで、そんな風に私が感じているだけの話しですけど……
千歌「……」ピラッ
だから……
ダイヤ「はしたないですよ千歌さん」
彼女が誘うみたいに服を乱しても、
私は「だらしがない」と叱るように言いつけて、乱れた服装を整えるだけです。
くっつけてくる体は遠ざけて、無意味に呼ばれた名前には反応をしないようして……
貴方の好意になんか気付いてないみたいに、そう振る舞うんです。
だってそうする以外、他に思いつきませんもん。
そうすると千歌さんは決まって……
千歌「……っ」
切なげで苦しげな表情を浮かべながら私の目を一瞬だけ見つめてくる。
まるで何かを訴えるように…… でも……そんな目で見つめられても、私にはどうしたらいいのかわかりません。
千歌さん、貴方が私に求めてる事はなんなんですか?
私にどうして欲しいんですか?
言葉にして伝えてくださいよ……
見つめて欲しいんですか?
触って欲しいんですか?
意味もなく名前を呼び合いたいんですか?
私にはわかりません……
だって言葉にしてくれないから……
貴方の気持ちがわからないんです。 千歌さん、私の事が好きなんですか?
そんな自意識過剰とも思える疑問が、
最近、貴方の行動のせいで、頭に思い浮かんで離れないんです。
自分の事が好きなのか?だなんて、こんな自惚れた考えに陥るなんて自分でも呆れ反ってしまいますが、
でも、もし貴方が私の事を好きだとしたら……
私は貴方の好意に答えてあげたいと思っています……
だって、私も同じ気持ちなんですから。 でも……
もし違ったら?
私の勘違いだったら?
私はもう貴方のそばにいられなくなってしまいますわ……
それがとても怖くて……
だから今日も、貴方が私の事を好きだなんて可能性は、微塵も感じてない素振りをして接するんです。 今も貴方は私の家で勉強をしてる真っ最中に、胸元をはだけさせていますけどね。
ダイヤ「千歌さん、だらしないですよ」
そう言って、いつものようにボタンをとめる。
ダイヤ「まったく、身なりはきちんとしなさい」
まるでお説教するみたいな口調になってしまって自分でも嫌になります……
普段の貴方はきちんとしている事を、私は十分理解しているのに……
ダイヤ「返事は?」
千歌「……はーい」
さらに警告するみたいに返事まで求めてしまう。 なんでこんな事を言ってしまうんでしょう。
誘惑するような行動はきっと貴方なりの好意の表し方なのでしょう、
まぁ、女性相手にすることではないと思いますが……
わかっていますよ、本当は。
でも、そういった行動ではなくて、もっとストレートに「好き」とか言葉で伝えてほしいのです。
だって、そうじゃないと貴方の気持ちに答えるのが怖いじゃないですか……
確証がないことが怖いから、貴方の好意が私のただの痛い勘違いではないという確証が欲しいんです。
だって下手をしたらこの関係が壊れてしまうかもしれないんですよ……?
そんなの嫌ですわ……
だから、もし好きなら好きと言ってくださいよ……
ねぇ千歌さん…… 〜〜〜
千歌「はぁ〜終わった〜」
ダイヤ「お疲れさまです」
今日の復習もバッチリ終わりましたわ。
千歌「うぅ……」グタァ……
ダイヤ「ふふ」
最近、毎日勉強を見てますから、きっと千歌さんの次回のテストはいい結果が望める事でしょうね。
楽しみですわ。
千歌「ダイヤさーん……ご褒美……」
ダイヤ「あぁ、はいはい少し待っててくださいね」
いつも勉強が終わると頑張ったご褒美と称して、彼女にお茶と和菓子を振る舞います。
最初は少しでも千歌さんと一瞬いたいから振る舞っていただけなんですけどね…… だって、勉強が終われば我が家に来た理由がなくなってしまうじゃないですか。
だから、家にいる用件を増やすように飲み物や食べ物を振る舞って時間を稼いでいたんです。
そして次の日も一緒にいたいから、
「明日も、うちで勉強します?」と言って約束を取り付ける。
普通に「うちに遊びに来て」と誘えば良いんでしょうけど、
なんだか恥ずかしいし断られたりしたら気まずい思いをしそうで、次誘えなくなってしまいそうだから……
だから、勉強会と称して彼女を家に招いているんです。
それだったら、こちら誘いやすいですし、向こうも断りやすいでしょう?
断られても傷付くこともありませんしね。
だって勉強がしたくないから来なかったんだと、そう思えますから。
だから、別に都合が悪かったり気乗りがしなかったら断ってくれても平気なんです。
でも、彼女は毎日来てくれる。
勉強なんて好きな方じゃない癖に、毎日毎日…… まるで私に付き合わせてるみたいで申し訳ない気持ちにもなりますし、無理をしているんではないかと心配にもなりますが……
私が誘うと彼女は決まって……
千歌「うん」
そう元気に答えてくれて。
貴方がそう答える度に、私はとても嬉しくて、
自分勝手ですが明日も明後日もその返事を聞けることを願うんです。
断ってくれてもいい思ってても……
断らないでくれる事を願って…… 〜〜〜
千歌さんは私といて退屈じゃないでしょうか?
一緒に勉強している最中、5分おきにはそんな心配をしてしまいます。
だから、勉強が終わった後はちょっとでも彼女を楽しませようと努力してるんですよ?
お茶菓子もそうですし、今日あった楽しい出来事などをお話して、
彼女が興味を持ちそうなテレビや雑誌を一緒に見たりもします。
可能なら夕食もうちで食べてもらって……
もっと可能なら……お泊まりも……
なんて、そこまではしませんけど。 千歌さんはどう思ってるかは知りませんが、日が沈むまで毎日一緒に過ごしてくれるので、退屈はしていないと思います……たぶん。
私はもちろん千歌さんと過ごせてとても楽しいですよ?
ずっとこんなふうに過ごしていたいと思うほどに……
恋人になれたら、ずっとこんなふうに過ごせるのでしょうか……?
なんて、バカな事を考えていると……
千歌「……」ピトッ……
千歌さんが肩にもたれかかってきました。 突然、そんなことしてくるからドキッとしてしまって、
「重いですわよ千歌さん」と、つい反射的に千歌さんを遠ざけてしまう。
本当はもう少しくっついていてもよかったのに……
ダイヤ「疲れたならベットに横になってなさい」
さらに遠ざけるような一言を言ってしまう。
何故、こんなことを言ってしまうんでしょう……
ルビィにくっつかれても何も感じませんのに。
果南さんに抱き締められたり、
鞠莉さんに悪ふざけでキスされても、ここまでドキドキする事なんてありませんのに。
なのに何故、千歌さんだとダメなんでしょう。
もっと素直になれたらいいのに…… 〜〜〜
何故、私はいつもこうなのでしょう。
そんな風にしばらく自己嫌悪を陥っていると、やがて寝息が聞こえてきて、ふとそちらに意識を移す。
ダイヤ「千歌さん……?」
ベットの方を見ると千歌さんは仰向けになって寝転がっていました。
いつの間にやら眠っていたみたいですね。
そんなに時間は経っていないはずですが……いつ寝たんでしょうか?
というか本当に寝てるんでしょうか?
彼女の寝顔が見たくてベットの方に歩み寄る。
ダイヤ「……ちかさん」
小声で呼んでみたけど反応はありません。
ぐっすり眠ってるみたいですね。 千歌「……」スー…スー…
ダイヤ「……」
綺麗な寝顔……
赤い夕日に照らされているからか、より一層美しく神聖にも見えて思わずその顔に触れてしまう。
顎、頬、鼻回り、眉間、おでこ……
どこを触ってもなめらかで、高級なシルクを触っているようですわ……
普段、私から触ることはありませんからなんだか新鮮で、もっと触れていたくなる…… 次は髪の毛に触れてみます、さらさらとしていて手櫛しても引っかからない、指触りの良い綺麗な髪。
ダイヤ「あら……?」
よく見ると三つ編みの編み方が学校で見たときと少しだけ違うような……?
違うと言っても、普段は表編みなのに今は裏編みになっているとか、そういったわかりやすい変化ではなく。
学校で見たときよりも少しだけ間隔が狭くなっているような気がするというだけです。
さほど大きな変化ではありませんけど……
でも、それはまるで好きな人とデートに行くから、一度ほどいてからまた丁寧に結び直したような印象を受けて……
もしそうなら可愛らしいなと思ってしまいました。
……まさか、うちに来るときはいつも結び直しているのでしょうか?
もしそうだとしたら……
目の前の彼女がとても愛しく思えて……
今までそれに気付かなかった自分に苛立ちながら、もっと彼女を知りたいと思ってしまう。 ダイヤ「ちか…さん……」ギュッ…
彼女の事がとても愛しく思えて、起こさないように抱き締めて髪の匂いを嗅いでみる。
柑橘系の甘い匂いがして、そういったシャンプーを使っているのでしょうか?
夕方なのにさっき洗ってきたような良い香りが頭の中にまで広がります。
もしかして、うちに来る前にお風呂にでも入ってきたのでしょうか?
だとしたら、千歌さん貴方は何を期待して……?
ダイヤ「ちかさん……」ゾクッ
千歌さんの香りを嗅いだせいでしょうか……
それとも自分勝手な期待を抱いてしまったせいでしょうか……
千歌さんをどうにかしたくて仕方がなくなる。
今まで我慢してきたのに……
無防備な彼女に触れたせいで歯止めが効かなくなってしまいました。 ダイヤ「……」プチ…プチ…
ブラウスのボタンをゆっくり丁寧に外していき、その次はスカートのチャックを下ろしてスルリと脱がせていく。
少し前まで彼女の衣服を整えていたこの手で……
千歌「……」
今、千歌さんが目覚めたらどうなるんでしょう?
やっと思いが通じ合えたみたいに……
お互いの体を貪るようにして愛し合えるのでしょうか……?
そうなれたら、どんなに幸せでしょう……
ダイヤ「そうなりたい……」
そうなりたくて彼女の唇に自分の唇を重ねようとする。
おとぎ話のような目覚めのキスをするみたいに……
それによって結ばれるように……
ダイヤ「……っ」
でも、寸前の所で私は動きを止めてしまいました。
何故なら彼女の閉じた瞳から涙がこぼれ落ちたから…… 泣いている……?
もしかして、途中から気付いていたのでしょうか?
信頼していた先輩からこんなことをされて、ショックで悲しくて苦しくて泣いているのでしょうか?
そう思うと全身の血が引いていき、体が石のように固まってしまいます。
両思いだなんて、やっぱり私の痛い勘違いだったのでしょうか……
やがて千歌さんが小さく声を漏らして目を開けると、その潤んだ瞳と目が合う。
彼女が何か言う前に、何か言わなければ……
今までしていた行為を誤魔化すような事、例えばパジャマに着替えさせようとしていたとか?
……まぁ、この言い訳は穴だらけなので使えませんが、ようはそのような事を考えないと。
でも、これ以上の言い訳を考える時間も余裕もなくて……
だから時間を稼ぐみたいに一先ず目についたものを話題に出してみました……
ダイヤ「千歌さん……」
千歌「……んっ……なに?」
ダイヤ「なんで……泣いてるんですか?」
言ってから何故、こんなことを聞いてしまったんでしょうと後悔します。
もしかしたら私のせいかもしれないのに、よく聞けましたわね……こんなこと。 でも千歌さんは「……えっ?」と驚いて、不思議そうな顔をしてくる。
そう言われたからなのか、寝起きの癖なのかはわかりませんが、
ゆっくりと目を擦って、そこで自分の濡れた瞳に初めて気が付いたような反応を示しました。
ダイヤ「……」
という事は、さっきまで私がしていた事には気づいていない?
まだ、確証がもてないので安心は出来ませんが。
もし、そうだとしたら悲しい夢でも見たんでしょうか?
とにかく今は沈黙が恐ろしいので質問を続けます。
ダイヤ「千歌さん……何かあったのですか?」
千歌「なにもないよ……」
ゴシゴシ涙を拭いながらそう返事をする。
ダイヤ「もしかして、気付いていたのですか?」
一応確認のために聞いてみたのですが、
言ってから余計な事を口走ったと後悔します。
これじゃあ、まるでさっきまで何かしていたみたいじゃないですか。 千歌「……?」
でも、彼女にはなんの事だかわからないみたいで、皆目検討もついてない様子でした。
千歌「なんでもない……なんでもないから」
そう言いながら、心配しないでというように手を突き出してきます。
「私は大丈夫」だからといってるみたいでしたけど、
その姿は全然、大丈夫ではなさそうで……
ダイヤ「……」
そもそもよく考えたら、寝ているときに泣くなんて余程悩みがあるのでは……?
ダイヤ「千歌さん」
彼女の手を握り締めて、何があったのか話して?というみたいに、優しく彼女の名前を口にします。 それでも彼女はしばらく言い渋って……
言おうか言わない悩んでいるみたいですね。
言いたくないのなら無理には聞きませんが、彼女が自分で決めるまで黙って私も待つことにしました。
そうしてしばらく悩んだ末、彼女は諦めたみたいに口を開きます。
千歌「……ダイヤさんにね……嫌われてたらどうしようって考えてたの」
ダイヤ「えっ?」
千歌「そんなこと考えながら寝ちゃったからかな、きっと泣いちゃったんだね」
ダイヤ「私に嫌われてる?」
千歌「うん、そう思ったらとっても悲しくて苦しくて……辛かったの……」
ダイヤ「……」
千歌「辛かったんだ……」
そう答えてから彼女も私の手を握り返してくる。
私を見つめて、「嫌いにならないで」と訴えるみたいで、
なんだか駄々っ子のようです……
でも少しすると顔を真っ赤にして、
千歌「ごめん……何言ってるんだろう……気にしないで」
そう我に返ったように握り締めた手を離そうとした……
ダイヤ「……っ」
その時、何故だかここで手を離したらいけない気がして……
手を離したら彼女がどこか遠くに行ってしまいそうに感じて……
そうなるともう思いを伝えることも出来なくなりそうで……
そんな考えが突然頭に過ったから、咄嗟に彼女の腕を掴んで引き寄せた。 ダイヤ「嫌いになんかなるわけないでしょう?貴方の事を」
千歌さんの体を抱き締めながら。
ダイヤ「変な事、考えないでください」
まるで小さい子をあやすみたいに彼女の頭を撫でながら、彼女を自分の体に繋ぎ止めました。
千歌「うっ……」ウルッ
そんな事をしたからでしょうか?
幼児退行したみたいに彼女は涙をポロポロと流しながら、
私にしがみついて今までの思いを全て吐露するみたいに語りだします……
千歌「だって……ダイヤさん千歌の事避けるもん……」グスッ
ダイヤ「……えっ」
避けている……
そんな風に感じていたのですか……?
ダイヤ「避けてませんよ?」
千歌「千歌が抱きついたらすぐ離そうとする……」
ダイヤ「それは」
千歌「ルビィちゃんや果南ちゃん、鞠莉ちゃんには何も言わないくせに」
これは……嫉妬?なのでしょうか?
ダイヤ「あの人達と貴方は違いますわ」
千歌「なにが違うの?やっぱり嫌いだから?千歌の事嫌いなの」
ダイヤ「そんなわけ……」
千歌「嫌いにならないで……」ギュッ
もっと強く私の体を抱き締めて、頬を擦り付けてくる。
ダイヤ「千歌さん」
千歌「やだよ、嫌いにならないで……だって千歌はダイヤさんの事……」 千歌「 」
ダイヤ「……?」
最後に何か言ったような気がするのですが、なぜかその部分だけ聞こえませんでした。
まるでその部分だけ音を切り取られたみたいに。
ダイヤ「千歌さん……?」
千歌「……」パク…パク…
なにか伝えたい事があるようで、でも口は動いても言葉が奏でられないみたいで……
何か大切な事を伝えたいのに、伝えられないようで、もどかしそうに眉をひそめている。
何を伝えたいんですか、千歌さん……
千歌「ダイヤさん……」
やがて、なにかを決心したように私の名を呼ぶと頬に彼女の唇が触れた。
ダイヤ「……なっ」
いきなりの事に戸惑っている私の事など気にもせず、彼女は私の手をおもいっきり握ってきて……
なにかを求めるみたいに切なげな瞳で見つめてきて……
背中に手を回して、もっと深く抱きついて、まるで愛撫するみたいに背中を撫でてきました。
ダイヤ「どうしたんですか……千歌さん……」
突然、そんなことをしてくるから純粋に驚いてしまいそう聞いたのですが、
彼女は逆に「どうして?」というような悲しげな表情を浮かべてきて……
その後、私の反応が気に入らなかったみたいに少し怒ったような顔をして、
最後には、もうどうしたらいいのかわからないというような苦し気な表情を浮かべました。
その次に、何を思ったのか知りませんが自分の衣服を勢いよく脱ぎさるみたいに自分の胸に手をやり、今度は驚いた顔をして…… 千歌「……っ!」
ダイヤ「あっ……」
私もそこでようやく彼女の服を脱がした事を思い出し、彼女と同じく驚いた顔をします。
そういえば言い訳を考えないといけなかったはずなのですが……
千歌「……」
ダイヤ「……」
彼女はゆっくりと自分の姿を凝視していて、恐らく寝る前と違う格好になっている事に驚いているんでしょう。
次に裸同然の格好という事に羞恥を覚えて、きゃっ!という可愛い悲鳴をあげて両手で自分の体を隠します。
そしてその次は、どうしてこんな姿になってるの?と考えるはずです。
そこから私がやったと考え至るのにそう時間はかからない事でしょう。
ダイヤ「……」
だったらもう、
こうするしかありません。
ダイヤ「千歌さん」
千歌「ひゃっ!」ビクッ
彼女の首筋に手を触れて、そこから耳元まで筋をなぞるように這わせていく、
耳回りの髪をかき上げるみたいして、耳をくすぐっていく。
千歌「きゃっ……ダイヤ……さん?」
私の名前を呼ぶから、返事の代わりにベットへと押し倒しました。 千歌「……」
ダイヤ「……」
お互いに言葉を発さずに見つめ合う。
ずっと時が止まったみたいに……
何処を見ているのかわからなくなるほど長く見つめ合う……
そうしていると、きっと千歌さんは私の事が好きなんだと……
私と同じ気持ちなんだと、今まで気付かないふりをしていた事実に目を向けます。
じゃなかったら「嫌いにならないで」なんて泣きながら言わないはずですもの。
本当は両思いでお互いの事が好き好きで仕方がない。
でもお互いに勇気がないから「好き」という言葉だけが出せなくて……
だから、お互い苦しんできて…… でも、私のせいですね。
たくさんサインはいただいていたのに……
私の方から好きと言えば千歌さんを悲しませることも苦しませることなかったのに……
ごめんなさい千歌さん。
だから……
ダイヤ「……」チュッ
貴方の事が好きですと精一杯の勇気を出して口づけを交わす。
言葉に出来なくても唇にするキスには愛情の意味があるから……
それで伝わりますよね……千歌さん?
千歌「ダイヤさん……」
キスをし終える頃には、お互いの気持ちを理解しあえたみたいで、私達はずっとお互いに密かに望んでいた関係になっていました。
その関係になっても、今まで通り勉強会を開いたり、私がいれたお茶を美味しいと飲んでくれたり、とりとめのない話をしたり……
そういったことはこれからも変わらずしていくと思います。
でも、先程までの私達では出来なかったこと……
ずっとしたかったのに出来なかったことが、出来るようになったんですよ?
それは……キスによって永遠の誓いを立てた二人みたいに…… ダイヤさんサイドマジでありがとう…
最高のダイちかです まさかダイヤ目線も書いてくれるとは…
ありがたやありがたや 良かった…めちゃくちゃ良かった…
ダイちかは千歌の可愛らしさが光る
ダイヤの不器用な先輩っぷりも光る
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