千歌「なんでもない……なんでもないから」

ダイヤ「千歌さん」


大丈夫という意味で手を前に出すと、その手をギュッて握ってきて心配そうに名前を呼んでくる。

その呼びかけには「話して?」っていうニュアンスも含まれていて、
これ以上余計な心配をかけるのも悪いし、上手く誤魔化せるほど頭もまわらないから、正直に答えることにした。


千歌「……ダイヤさんにね……嫌われてたらどうしようって考えてたの」

ダイヤ「えっ?」

千歌「そんなこと考えながら寝ちゃったからかな、きっと泣いちゃったんだね」

ダイヤ「私に嫌われてる?」

千歌「うん、そう思ったらとっても悲しくて苦しくて……辛かったの……」

ダイヤ「……」

千歌「辛かったんだ……」


そう答えて握られた手を握り返した。

でも、言ってから凄く恥ずかしい事を口にしちゃったんじゃ……と気付いて顔が一気に熱くなる。

こんなの、まるで千歌の事嫌いにならないで!って駄々をこねたみたいだよね。


千歌「ごめん……何言ってるんだろう……気にしないで」


さっき言ったことを撤回しようとして握った手を離そうとした……

そうすると……