千歌(気持ちに気付いて……ダイヤさん……)
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例えばね。
わざとだらしない格好をしてみたり。
服をわざとはだけさせてみたり。
「ねぇねぇ」って自分でもあざといと思っちゃうくらい甘い声で貴方を呼んでみたり。
背中にピタッてくっついて肩に顎を乗せてみたり。
そういう行動って全部「貴方の事が好きです」っていう意味に捉えられると思うんだ。
でも、貴方は気付いてくれないんだよね……
ダイヤ「はしたないですよ千歌さん」
そういってタオルをかけてくれたり、服を整えてくれる。
貴方はいつもそうしてくれる。
それはとっても優しいなって思うけど、
でも、それは千歌の求めてる事じゃなくて…… ダイヤさん、私は貴方の事が大好きです。
そう言えたらどんなに楽なんだろう。
友達同士なら「好き」とか「大好き」なんて軽々しく簡単に言えるのに……
本当に好きになった相手には、ちっとも言葉に出せないなんて不思議だよね。
でも言えないくせに、こんな誘うような行動はとれちゃうんだから、それもとっても不思議で…… 同性同士でこんな事したってなんの意味もないのに、
なんで私、こんな事するんだろう?
ダイヤさんに襲って欲しいのかな?
ダイヤさんがそんなことするわけないのにね。
それでも今日もね?
ダイヤさんの部屋で勉強を教えてもらうふりをして、さりげなく胸元をはだけさせてみるの。 ダイヤ「……」
ダイヤさんはそれに気付くとチラッと千歌の胸元を見る。
でも、まばたきする頃には視線を元に戻してお決まりの台詞。
ダイヤ「千歌さん、だらしないですよ」
そういってボタンをしめてくれるの。
……ボタンは『しめる』じゃなくて『とめる』とか『かける』だっけ?
もし声に出してたらダイヤさんに指摘されてただろうなぁ……
なんて、ダイヤさんが面白くない事するから、千歌も面白くない事を考えてみる。 ダイヤ「まったく、身なりはきちんとしなさい」
千歌「……」
きちんとしてるよ……
学校でこんな事してないでしょ?
遊びに行く時もこんな事してないでしょ?
ダイヤさんと二人っきりの時以外でこんな事したことある?
思い返してみてよダイヤさん。
それで気付いて千歌の気持ち……
ダイヤ「返事は?」
千歌「……はーい」
気付いてくれないかなぁ……ダイヤさん。 〜〜〜
千歌「はぁ〜終わった〜」
ダイヤ「お疲れさまです」
二人っきりなのに、全然いいムードにもならない。
それどころか特別話が弾む訳でもなく。
ただただダイヤさんの部屋で勉強するだけの毎日。
それをここ最近ずっと繰り返してる。 千歌「はぁ」
好きな人と一緒にいられるだけで幸せだって思ってたけど、
流石にこうも勉強ばかりだと明日は曜ちゃんと遊ぼうかなとか、
梨子ちゃんと買い物にでも行こうかなとか、
果南ちゃんに海に連れてってもらおうかな、なんて考えたりしちゃう。
でも、
ダイヤ「明日も、うちで勉強します?」
その一言に今まで考えてた事をあっさり放棄して。
千歌「うん」
そう笑顔で返事をする。 ダイヤ「そうですか」
そう答えるとね?
ダイヤさん少しだけ嬉しそうに笑うの。
この顔が見たいから、ダイヤさんからのお誘いは断れないんだ。
千歌のお誘いには乗ってくれないのにね……
あーあ、いっそのことダイヤさんの方から誘ってくれないかなぁ。
なんて、無理だよね。
だってダイヤさんは別に千歌の事なんて好きじゃないだろうし…… 〜〜〜
勉強が終わるとね。
ダイヤさんが本格的なお茶をいれてくれて、それを和菓子と一緒に嗜むの。
ダイヤ「どうですか?」
千歌「とってもおいしいよ♪」
勉強が終わったら後は自由な時間。
こんなふうにお茶を飲んでお喋りしたり、一緒にテレビを見たり雑誌を読んだりする。
それがとっても幸せで、ずっとこんなふうに過ごしていたいなぁって思っちゃう。
恋人になれたら、ずっとこんなふうに過ごせるのかな……? 千歌「……」ピタッ
貴方と恋人になりたいです。
そんな意味を含めて肩にもたれかかってみる。
でも、貴方は気付いてくれないの……
あまりに鈍感すぎて、もしかしたら気付かないふりをしてるのかも……なんて思っちゃうくらい。
ダイヤ「もう、重いですわよ千歌さん」
それは体重が?それとも気持ちが?
千歌「……ごめんなさーい」
ダイヤ「疲れたならベットに横になってなさい」
千歌「はーい」 ダイヤさんは千歌にあんまりベタベタくっつかれるのが好きじゃないみたい。
ルビィちゃんにはくっついたりくっつかれたりしてるのにズルいなぁ。
果南ちゃんや鞠莉ちゃんとも抱き合ったりするのに……
なんで、千歌の事は避けるんだろ?
本当は千歌の事、嫌いだったりして。
なーんて、嫌いだったら家に誘ったりしないよね。
相手は家族と幼馴染みだもん。
最近、仲良くなった千歌なんかと比べたって仕方ないよね。 千歌「……」キュッ
でもね、
ダイヤさんは千歌が嫌い。
さっき冗談で思ったことだけど、それだけでとっても胸が苦しくなる。
もし本当だったら、心臓が潰れて死んでしまうかもしれないね。
千歌「……」ゴロンッ
だからベットに寝転がりながら願う。
どうか本当じゃありませんように…… 〜〜〜
千歌「んっ……」
あれ……寝ちゃってたみたい……
たぶん、長い時間は寝てないと思うけど、
まだ目を開ける前だからわからない。
時計を見たら何時間も経ってるかもしれないし、窓の外を見たら朝になってるかもしれない。
まぁ流石にそんなわけないと思うけど、一応ゆっくりと目を開けて確認しようとする…… 千歌「……えっ」
ダイヤ「……」
するとダイヤさんとパチリと目が合っちゃった。
なんでだろ?
千歌の寝顔を見てたのかな?
寝てる千歌を襲おうとしてたのかな?
なんて期待するけど、どうせ体が冷えないように、
ダイヤさんがタオルをかけてくれようとしていたタイミングで、千歌が起きちゃっただけだよね。
だって、ダイヤさんは優しいから。
そんなダイヤさんが大好きで……
そんなダイヤさんが面白くない…… ダイヤ「千歌さん……」
千歌「……んっ……なに?」
ダイヤ「なんで……泣いてるんですか?」
千歌「……えっ?」
急に何を言うんだろ?
寝起きで頭がまわらないから、目を覚まそうと瞳を擦る。
すると目のまわりが濡れているのがわかった。
千歌……泣いてたの?
なんでだろ?
変な事、考えながら寝ちゃったからかな。 ダイヤ「千歌さん……何かあったのですか?」
千歌「なにもないよ……」
ゴシゴシ涙を拭いながら返事をする。
ダイヤ「もしかして、気付いていたのですか?」
千歌「……?」
なんの話だろ?
まだ頭がまわらないからかな、理解が追い付かない。 千歌「なんでもない……なんでもないから」
ダイヤ「千歌さん」
大丈夫という意味で手を前に出すと、その手をギュッて握ってきて心配そうに名前を呼んでくる。
その呼びかけには「話して?」っていうニュアンスも含まれていて、
これ以上余計な心配をかけるのも悪いし、上手く誤魔化せるほど頭もまわらないから、正直に答えることにした。
千歌「……ダイヤさんにね……嫌われてたらどうしようって考えてたの」
ダイヤ「えっ?」
千歌「そんなこと考えながら寝ちゃったからかな、きっと泣いちゃったんだね」
ダイヤ「私に嫌われてる?」
千歌「うん、そう思ったらとっても悲しくて苦しくて……辛かったの……」
ダイヤ「……」
千歌「辛かったんだ……」
そう答えて握られた手を握り返した。
でも、言ってから凄く恥ずかしい事を口にしちゃったんじゃ……と気付いて顔が一気に熱くなる。
こんなの、まるで千歌の事嫌いにならないで!って駄々をこねたみたいだよね。
千歌「ごめん……何言ってるんだろう……気にしないで」
さっき言ったことを撤回しようとして握った手を離そうとした……
そうすると…… ダイヤ「嫌いになんかなるわけないでしょう?貴方の事を」
グイッて手を引っ張られてダイヤさんの胸の中に体が吸い込まれていったの。
千歌「えっ……」
一瞬の出来事で何が起きたのかわからなかったけど、気付けばギュッて体を抱き締められて、頭をよしよしって撫でてくれていた。
ダイヤ「変な事、考えないでください」
とっても優しい手つきで頭を撫でてくれたの。 千歌「……」
そんな事されたから、まるで自分が小さな子供に戻ったみたいな感覚になって、感情とか思いとかがコントロール出来なくなっちゃう。
千歌「だって……ダイヤさん千歌の事避けるもん……」グスッ
ダイヤ「避けてませんよ?」
千歌「千歌が抱きついたらすぐ離そうとする……」
ダイヤ「それは」
千歌「ルビィちゃんや果南ちゃん、鞠莉ちゃんには何も言わないくせに」
ダイヤ「あの人達と貴方は違いますわ」
千歌「なにが違うの?やっぱり嫌いだから?千歌の事嫌いなの」
ダイヤ「そんなわけ……」
千歌「嫌いにならないで……」ギュッ
すがりつくみたいに抱き返してダイヤさんの頬に自分の頬を擦り付ける。 ダイヤ「千歌さん」
千歌「やだよ、嫌いにならないで……だって千歌はダイヤさんの事……」
好きなのに。
そう言いたかったけど、こんな状態になっても、その一言だけが言えなかった。
まるでその言葉だけを封じ込められたみたいに、言葉に出せないの。
ダイヤ「千歌さん……?」
千歌「……」パク…パク…
今すぐ、好きって伝えたい……
でも言葉に出そうとすると苦しくなって、まるでそういう呪いにかけられてるみたい。 千歌「……」
だから、好きに代わる言葉を探すけど……
それも見つからなくて……
千歌「ダイヤさん……」
ダイヤ「っ!」
だから、ダイヤさんの頬にキスした。
これで気持ちが伝わってくれるように。
それで伝わらないならダイヤさんの手をおもいっきり握ったり……
潤んだ瞳で見つめてみたり……
背中に手を回して指先でくすぐるみたいに触れたりしたの。
これで気付いてくれるかな、千歌の気持ちに…… ダイヤ「どうしたんですか……千歌さん……」
それでも、まだ気付いてくれないの……?
どうしたら気付いてくれるの……?
千歌「……っ」
もうどうしたらいいのかわからない。
だから、自分の服に手をやってみた。
ダイヤさんの目の前で裸になったら気付いてくれるかなって思って、ボタンを1つ1つ外そうとしたの。
千歌「……?」
でも、外そうとしても、
外すボタンが1つもなくて……
千歌「えっ……?」
なんでだろう? 自分の体に視線を移すとブラウスのボタンは全部外されていて、
なんだか、カッコつけたベストの着こなし方をしてるみたいになってる。
開いた部分からはブラジャーと無防備なお腹が見えていて、そこから下はスカートを履いていた筈なのに何故かパンツだけの姿になっていて……
なんでこんな姿になってるの?
まさか、寝惚けて脱いじゃったのかな……
今までそんな事したことないのに……
わからないけど、でもそんな自分の姿を見たら恥ずかしくなって思わず手で隠しちゃう。
さっきまで裸になろうとしてたのに不思議だよね。 ダイヤ「……」
もしかして、ダイヤさんが寝てる間にしたのかな?
でも、そんなこと……ダイヤさんがするわけ……
ダイヤ「千歌さん」
千歌「ひゃっ!」ビクッ
いきなりダイヤさんの手が首筋に触れて体がビクッてはね上がっちゃう。
急にどうしたの?ビックリしちゃったよ?
でも驚いた千歌なんて気にもせずに、首筋をなぞるようにして耳元まで手を滑らせると、
今度は耳回りの髪の毛をくしゃくしゃってしながら、親指で耳の中をくすぐるみたいに触れてくる。 千歌「きゃっ……ダイヤ……さん?」
名前を呼んでも返事はなくて、その代わりにベットへ押し倒されていた。
千歌「……」
ダイヤ「……」
お互い黙って見つめ合う。
さっきまでぼんやりしていた頭もすっかり冴えて、
ふと、ダイヤさんが自分と同じ気持ちだったら?という考えに及ぶ。
ダイヤさんが千歌と同じ気持ちだったら……どうなんだろう?
だから千歌を避けてたのかな?
だから、くっつかれるのが嫌だったの?
だから、誘うような事しても全く興味がないみたいに振る舞ってたの?
だから、千歌が寝てる時に……こんな事したの? 本当は千歌の事が好きで、千歌の体が見たくて寝てる間に脱がしたのかな。
それに気付いて千歌が泣いてると思ったから、「気付いてたんですか?」なんて言ったのかな?
千歌「……」
ダイヤ「……」
ずっと見つめ合ってると……
たぶん、そうなんだって思えてきた。
言葉は交わさなくて見つめ合うだけで相手の気持ちが伝わってくるの。 だって、それだけ熱を帯びた視線を千歌に向けてくれてるから。
ダイヤさんも千歌と同じ気持ちで、
向こうもこっちの気持ちに気付いてる。
でも、お互いに「好き」って言葉だけが口に出せなくて、
きっとその言葉が口に出せたら、お互いが求め合うみたいに愛し合えるのに……
なぜか口に出来なくて苦しいの……
だから…… 千歌「……」チュッ
好きの代わりに口づけを交わした。
言葉にしなくても伝わるように……
ダイヤ「千歌さん……」
キスをし終わる頃には、私達の関係はさっきまでとはもう別のものに変わってしまった。
勉強したり、お茶を一緒に飲んだり、ふざけあったり……
そういったことはきっとこれからも変わらず出来るけど。
でも、さっきまでの私達じゃ絶対に出来ないことが出来るようになったの。
まるでキスによって呪いが解かれたみたいにね。 起きませんように起きませんようにと思いながらも興奮を抑えきれない表情で
一つずつボタンを外しているダイヤさんを想像すると少し笑ってしまう ほんわかな雰囲気から女と女の空気になるの本当たまらない
おつおつ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています