【SS】 リリーのアトリエ
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直後にID変わってしまいましたがありがとうございます
以前埋められたやつの立て直しです そのまんまアトリエネタ
オトノキアカデミーからやってきた一人の女の子があれこれするほのぼの物語
梨子「ハァ、ハァ……水……」フラフラ
彼女は今作の主人公 桜内梨子ちゃんです
梨子「あ、町が見えてきた……これで……」フラッ
バタッ
梨子「………………」
しかしさっそく死にかけているようです
善子「ん? 誰か倒れてる……」
梨子「…………」
善子「行き倒れかしら?」ツンツン
梨子「ぅぅ………」
善子「しょうがないわねぇ…」グイッ
――――――
―――
梨子「う…………」
善子「あら、目が覚めたのね」
梨子「あれ…ここは……?」ヨロ
善子「私の家よ。あなた町の入り口で倒れてたのよ、覚えてる?」
梨子「あ、はい……すいません、ご迷惑を…」
善子「いいわよ、はい、これでも飲んでなさい」
梨子「これは…?」
善子「ミスティカティよ、知らないの?」
梨子「あ…いえ、でも私の知ってるミスティカティと少し色合いが違うなって…」
善子「アレンジしてあるからね、元気になるわよ」
梨子「わぁ、おいしいー」コクコク
善子「でしょ?」
梨子「ホントにありがとうございます」
善子「構わないわよ。それよりあなた町では見かけない顔よね、どこからきたの?」
梨子「えっと、オトノキアカデミーです」
善子「あらそうなの。あ、もしかして卒業試験?」
梨子「知ってるんですか?」
善子「この町にも試験真っ最中の子がいるからね」
梨子「そ、そうなんですか」ガバッ…
梨子「って、な、なな、なん…!?」
梨子ちゃんは全裸でした
梨子「わた、私の服!? なんで?」ワタワタ
善子「ああ、ボロボロだったから」
梨子「だからって、ああもう…」
善子「卒業試験ってことはこれから役場に行くのでしょう?」
梨子「そうですけど……」
善子「だったらあんなカッコはダメよ、これをあげるから着ていきなさい」
梨子ちゃんは祝福の衣を頂いた
梨子「これけっこう上物じゃないですか?」
善子「うん」
梨子「ありがたいのですけど…まだそんなにお金は……」
善子「いいわよ、あげる」
梨子「え? でも……」
善子「別にお金以外を要求するつもりはないわよ、ただ応援したいだけだから」
梨子「応援?」
善子「私はすべての錬金術師の味方なの」
梨子「あ、あなたは一体……」
善子「私は堕天使……堕天使ヨハネよ!」バッ
津島工具店 店長津島善子ちゃん 錬金術師を目指していたけ過去あり
梨子「ありがとう、津島さん」
善子「ヨハネだってば!」
梨子(店の看板に津島工具店、店長津島善子って書いてあるけど…まぁいいか)
梨子ちゃんは善子ちゃんにお礼をし、街の役場を目指します
梨子(大きい町ね…慣れるまで慎重に……)
梨子ちゃんは5分で迷子になりました
梨子(あれ、この通りはさっき見たような……あれー?)
花丸「どうかしたずらか?」
梨子「え?」
花丸「見ない顔だね、観光客?」
梨子「あの、私さっきこの街にきたばかりで……」
花丸「おのぼりさん?」
梨子「おの……」
梨子ちゃんは田舎者扱いされると怒ります
梨子「確かにここはそこそこ大きい町みたいだけど、オトノキアカデミーだって…」
花丸「はいはい、それよりどこに行きたいの?」
梨子「え…あっと、役場に……」
花丸「ふむ、じゃあこの道まっすぐ行けば立て看板があるからそれに従っていけばいいずら」
梨子「そうなんだ……」
花丸「ん、なんならおらが案内してあげようか?」ニヤ
梨子「結構です! あ、ありがとうっ!」ダッ
花丸「ふむ……この時期に来るという事は、また後で会いそうずらね〜♪」
親切な人のおかげで梨子ちゃんはようやく町の役場に辿り着く事が出来ました
梨子「ここね、ヌマヅタウンホール。大きい建物ねー」
ギイィィ…
梨子「すいませーん」
曜「はーい」
花丸「ん、なんならおらが案内してあげようか?」ニヤ
梨子「結構です! あ、ありがとうっ!」ダッ
花丸「ふむ……この時期に来るという事は、また後で会いそうずらね〜♪」
親切な人のおかげで梨子ちゃんはようやく町の役場に辿り着く事が出来ました
梨子「ここね、ヌマヅタウンホール。大きい建物ねー」
ギイィィ…
梨子「すいませーん」
曜「はーい」
梨子「あの、私オトノキアカデミーから来ました桜内です」
曜「ああ桜内さんね、連絡はきてるよ〜」
梨子「はい」
曜「卒業試験のために自立して工房を3年間運営するんだって?」
梨子「そうなんです」
曜「すごい伝統というか、おもしろいことしてるねーオトノキって」
梨子「はぁ……」
曜「2年前にも一人卒業試験だって子が来てね、まだがんばってるよ」
梨子(そんな話も聞いた事があったような……)
曜「とりあえずこの書類にサインして〜」サッサッサッ
梨子「え、こんなに?」
曜「住民登録のほかにオトノキから給付金でてるのと、保険と…あと家屋の使用申請と…」
梨子「は、はあ……」
梨子ちゃんがたくさんの書類にサインしている頃には陽は傾いていました
曜「それじゃこれがこの街の全体地図と、周辺の簡単な地図ね」
梨子「ありがとう」ツカレタ…
曜「もしウチウラに行く用事がある時はキャラバンが出てると思うからそれを利用してね」
梨子「はい」
曜「んで、これがお家の鍵ね。電気水道はもう通ってると思うよ」
梨子「はあ、ようやく休める……」
曜「工房を開くってことは、お仕事とかもするんでしょ?」
梨子「はい、そのつもりです」
曜「それなら街の中心にある宿屋兼大衆酒場に行くといいよ」
梨子「酒場ですか…」
曜「この街の情報はだいたいそこで手に入るし、求人が張られてる事もあるからね」
梨子「あー…すっかり日も暮れてる……」
梨子ちゃんは地図と家の鍵と1000G手に入れた
梨子「私の家は……あ、ちょうど街の中心を通るのね……あ…」グー
ハラペコ梨子ちゃんは酒場で晩御飯を食べようと足を運びました
梨子「それにしてもこの街……」
ザワザワ… ガヤガヤ…
梨子「活気があって……ん、いい街だわ……」
梨子「ここね、確かにすごい人だわ……」
- 十千万旅館 & 酒場クニッキー -
梨子「とりあえず酒場のほうに……」キィ
ガヤガヤ…
梨子「わぁ、繁盛してるのねぇ……」
花丸「いらっしゃいま〜せ〜ずらっ」
梨子「あれ、あなたさっきの?」
花丸「やっぱり来たね」クスクス
花丸「カウンターしか空いてないけどいい?」
梨子「一人だしいいですよ」
花丸「はこれメニューね。お酒飲む?」
梨子「お、お酒はいいです。それより食べ物を……」グー
花丸「んふっ、だったらおらのおすすめがあるけど?」
梨子「正直どんなメニューがあるのかわからないので、それでお願いします」
花丸「はーい、ピルツ定食一つ〜〜」
<ハイヨー!
梨子「あなたここの店員さんだったのね」
花丸「ん、店員というかまぁ……関係者ではあるずら」
梨子「私今日からこの町でお世話になる、桜内梨子です。よろしくね」
花丸「梨子ちゃんか、可愛い名前ずら。マルは国木田花丸」
梨子「花丸さんね」
花丸「さんはいらないよ、たぶんマルのほうが年下だと思うし」
梨子「そうなの?」
花丸「梨子ちゃん、アカデミーの卒業試験で来たんでしょ?」
梨子「え、知ってるの?」
花丸「この時期に地方からくる女の子の一人旅って、ほぼほぼそれだからね」
梨子「そういえばこの町で今も卒業試験に臨んでる人がいるって…」
花丸「いるねー」
梨子「エリーのアトリエ?」
花丸「工房の名前ね。そこの主は絢瀬絵里ちゃんって子ずら」
梨子「私の先輩なんだよね……名前は聞いた事ないかな」
花丸「2年前にこの街にきて工房を開いてね、今じゃこの街でも1、2を争う人気の工房ずら」
梨子「すごいですね…」
花丸「梨子ちゃんも明日からがんばるなら、ちょくちょく酒場には顔をだしておくといいよ」
梨子「情報…ですか?」
花丸「それもあるけど、単純に顔を知ってもらえるのが一番の理由かな。あっちの席に男性が3人いるでしょ?」
梨子「えっああ…そうですね」
花丸「あの3人は左から古美術商の店主、診療所の先生、網元の頭目ずら」
梨子「すごい面子なんですね」
花丸「この酒場では簡単なものからそこそこ大きい求人募集まで出したりしてるけど、あの3人からもちょくちょく貰ってるずら」
梨子「なるほど……」
花丸「梨子ちゃんも仕事をしていくのなら知名度は大事になるずらよ」
梨子「そうですね、ありがとうございます」
花丸「ま、わかんない事があったらマルに聞きに来るといいずら」
梨子「これからお世話になると思います」
その後梨子ちゃんはピルツ定食でお腹いっぱいになり満足して酒場を出ました
梨子「わー、もう真っ暗ね…」
街灯を頼りに夜の街を歩く梨子ちゃん
5分ほどして迷子になりました
梨子「あれー…地図だとこの辺りに家屋があるはずなんだけどなあ……」トボトボ
善子「おやそこにいるのは新米錬金術師さん?」
梨子「ひゃうっ…って、津島さん?」
善子「ヨハネよ! こんなところで何してるの?」
梨子「ええっと……」
梨子ちゃんは素直に迷子になった事を伝えて助けを乞いました
善子「ふと気づいたんだけど…」
梨子「ん?」
善子「オトノキからここまでってそんなに複雑な道筋でもないわよね」
梨子「は、はぁ…」
善子「それなのに行き倒れになるまで疲弊して辿り着いたって……もしかして……」
梨子「///」
梨子ちゃんは方向オンチでした
善子「ここね」
梨子「ありがとう……」
善子「そっか、ここの工房をあなたがね……」
梨子「?」
善子「なんでもないわ、それより明日からがんばんなさいよ」
梨子「ホントに色々ありがとう、津島さん」
善子「ヨハネだってば!」
梨子ちゃんは善子ちゃんにお礼をし、ようやくお家に辿り着く事が出来ました
梨子(どんなところなのかな、ちょっと楽しみ…)
ガチャ… ギイィ……
梨子「…………」
期待に胸膨らませる梨子ちゃんでしたが、現実は厳しいものでした
梨子「なに、これ……」
室内は荒れ果てていて、廃墟も同然でした
いくつか確認できる錬金術に必要な道具も散乱し、壊れている物もありました
梨子「けほっ、埃もすごい……これじゃとても使えないよ…」
かろうじて設置されていた電灯を点けると、室内の荒れ具合がよくわかりました
梨子「これじゃ、明日は一日掃除して終わりかな…」
ガチャッ
梨子「う、寝室……よね、ここ……?」
工房の状況からも予想していた通り、寝室も埃まみれでした
梨子「家具一式そろってるっていうから荷物は軽い物しか持ってこなかったのに…ハァ」
梨子ちゃんは終始グチを漏らしながら備え付けのベッドを掃除、持参した毛布一枚で就寝しました
桜内梨子の卒業試験『校外での錬金術実習』はこうして始まったのでした
カランコローン
善子「いらっしゃいまーせ〜」
梨子「こんにちはー」
翌日梨子ちゃんは朝一で津島工具店に買い物に来ました(若干迷いながら)
善子「あら昨日の……」
梨子「おはようございます、昨日はお世話になりました」
善子「構わないわよ。それで、何かお買い物?」
梨子「えぇ…えっと……」
善子「ふふっあなたが何を求めているか、この紅朱の魔眼を通して当ててみせましょうか…」スッ
梨子「はぁ…」
善子「ズバリ、あなたが探しているのはこれね!」
お掃除道具一式
梨子「え、すごい…それです、どうして?」
善子「ふふ、この堕天使ヨハネに見えないものは無いのです」
梨子(もしかして本物なのかな?)
善子「言ったと思うけど、私は錬金術師の味方よ」
梨子「そういえばそうでしたね…」
善子「ってことで、特別料金で売ってあげるわ」ビシ
梨子「ありがとう、津島さん」
善子「ヨハネよ!」
梨子「ありがとう、ヨハネさん」
善子「ん……わ、わかればいいのよ///」
梨子ちゃんはお掃除道具一式を購入しました
善子「それとうちの店には錬金術に使う道具等も色々取り揃えているから、よければ買っていってね」
梨子「そうみたいですね、すごい品揃え」
津島工具店には錬金術で使う基本的な道具から、プロ用の一級品まで置いてありました
しかし当然、それらの物は値段もお高いのでした
梨子(でも今あるお金である程度の環境を整えるのが先だし、無理に買えないなぁ…)チラ
善子「?」
梨子(ああでも、あのろ過機、3層構造の最新モデルか…欲しいなぁ…)
善子「………」
梨子(あっちの棚にあるのって、ときめき分類学の本……)
善子「………」
梨子(んー…一週間の食費を切り詰めれば……)
善子「これが欲しいの?」ガタッ
梨子「えっ!? あ、いや……はい……」
善子「なかなかお目が高いって言いたいとこだけど、生活が安定するまでは厳しいんじゃない?」
梨子「そうですね……またにします……」
善子「…………」
梨子「………ハァ」
善子「そ、そんなに落ち込まなくても」
梨子「ああいえ、そういうわけじゃ…」
善子「…………」
梨子「…………」
善子「いいわ、このろ過機安くしてあげる」
梨子「えっ……で、でもこれ最新の……」
善子「勿論ただ安くするわけじゃない。仕事を受けてくれたらの話よ」
梨子「仕事ですか…」
善子「立派な錬金術士を目指すんなら丁度いい内容なんだけど、どうする?」
梨子「や、やります!」
梨子ちゃんは最新モデルのろ過機の魅力に、二つ返事で引き受けました
久々来たら懐かしいSS発見した
前のμ'sのベテランさんいなかったっけ? 梨子「蒸留水ですか?」
善子「そうよ、生活の必需品でもあり錬金術の初歩でもある蒸留水の製作依頼が仕事よ」
梨子「わ、わかりましたっ! がんばります」
善子「近くの川の場所はわかる?」
梨子「地図を頂いたのでなんとか」
善子「それじゃー…えっと、期日は10日、必要数は…これだけあればいいわ」サッ
梨子「え……こ、こんなに?」
善子「最新のろ過機を安くしてあげるんだから、これくらいはがんばってよね」
梨子「うぅ……が、がんばります……」
善子「基礎中の基礎だけど、品質によっては少し色をつけてあげるわ」
梨子「それはとてもたすかるのですけど……どうしてそこまで?」
善子「言ったでしょ、私は錬金術師の味方だって」
当面の目標とお仕事を頂いた梨子ちゃんですが、今日はそれより優先する事がありました
梨子「掃除……一日で終わるかな……」
梨子「でも、ようやく始まった卒業試験だし、弱音を吐いてる場合じゃないよね」グッ
改めて気合を入れなおす梨子ちゃんにお客さんが来たのはお昼を過ぎた頃でした
コンコンッ
梨子「ん、はーい!」ガチャ
梨子「あれ、誰もいない?」
チョイチョイ…
梨子「ん、下……あっ!」
りん「こんにちー」
ぱな「はじめましてです?」
そこにいたのは梨子ちゃんの膝くらいまでの小さな生き物、妖精さんでした
梨子「え、うそ…本物の妖精さん!?」パァッ
りん「ぎょい」
ぱな「ごきんじょつきあいするです?」
梨子「はわ、か、可愛い〜」
錬金術師の元にやってきては身の回りのお世話やおつかいをしてくれる妖精さん
授業で聞いていただけで、初めて本物を目にした梨子ちゃんは感動します
梨子「あれ、でも妖精さんって妖精の腕輪を持ってる者のところにしかこないって…」
りん「たんちき」
ぱな「このおうちからうでわのはんのうするです?」
梨子「え、そうなの?」
梨子(まだ細かいところまで見れてないけど、前に使ってた人のがあるのかな?)
チョイチョイ…
梨子「ん?」
りん「ごけーやく」
ぱな「きゅうじんばいりつはいかほどです?」
梨子「け、契約って…あ、そうか……」
梨子(錬金術には時間が多くとられることもあるから、細かい作業から雑用はお手伝いさんにって授業で…)
りん「♪」クルクル
ぱな「〜♪」クルクル
梨子(でもまだ普通の生活も安定していないのに雇うなんて余裕は……)チラ
ぱな「?」ニコニコ
梨子「はわぁ〜可愛い〜」
りん「ごけつだん」
ぱな「しょるいにはんこおすです?」
梨子「うぅ……雇いたいけど、まだお金に余裕がなくて……ごめんなさい」
りん「……せちがらいよのなか」ショボン
ぱな「しゅうしょくなんみんです?」ショボーン
梨子「ううっ」ズキズキ…
クル トボトボ…
梨子(あぁ…もしかしたらこんな機会もうないのかも……!!)
梨子ちゃんはわりと出たとこ勝負でした
梨子「ま、まって妖精さん!」
りん「?」
ぱな「?」
梨子「け、契約します! だからお手伝いしてください!」
りん「!」
ぱな「ごりようはけいかくてきです?」
梨子「だ、大丈夫! なんとかなります!」グッ
梨子(妖精さん二人くらいならなんとかなるよね?)
りん「けいやくかんりょう」クルクル
ぱな「いしょくじゅうがやくそくされたです?」
梨子「ふふ、可愛いなあ」
りん「さっそくとりぷるあたっく」
ぱな「ぜっこうのおひろめびよりです?」チョイチョイ
梨子「……ん?」
ヒョコッ
梨子「え、まだいたの!?」
まき「……」ムスッ
梨子(な、なんか睨んでる……でも)
梨子「可愛い〜」
まき「まき」ムスッ
りん「り〜ん」クルクル
ぱな「ぱな〜」フワフワ
梨子「おお、か、かわいい決めポーズ!」
梨子(でもあの子だけ目つきわr……するどい)
梨子「というか、今のがあなた達のお名前でいいのかな?」
りん「こうてい」
ぱな「すえながくよろしくです?」
まき「………」ムスッ
妖精さんを雇った梨子ちゃんは手始めに工房の掃除をお願いしました
そして出来た時間を利用し、仕事である蒸留水制作に努めます
梨子「えっと、これで準備はいいかな…」ガサッ
ぱな「おでかけです?」
梨子「ちょっと近くの川に水を汲みに行ってくるだけだよ」
ぱな「おてつだい?」
梨子「大丈夫よ水汲みだけだから。それよりもお家のお掃除お願いね?」
ぱな「おまかせあれです?」
水汲みにでかけた梨子ちゃんが迷子となり、生き倒れているところを発見されたのは三日後の事でした
-梨子ちゃんの部屋
善子「まったくなにやってんだか……」
梨子「うぅぅ……ごめんなさ〜い……」
善子「ちゃんとやってるか様子を見に来てみれば、妖精が部屋で踊ってるんだもん」
ぱな「そうさくだんすです?」
妖精さんはお仕事が終わり、することがなくなるとみんなで踊りだすのだ!
善子「で、あなたがどこに行ったか聞いて見れば水を汲みにいったって言うじゃない。三日前に」
梨子「あは…は……」
善子「絶対なにかあったと思って捜索隊に連絡したら、隣町の畑に転がってたって……」
梨子「最後、トマトに囲まれて死ぬんだなーって思いました」
善子「方向音痴なのを自覚してるなら、誰かに同行してもらえばよかったじゃない」
梨子「地図だとすぐ近くにあるって思って……大丈夫だと思ったんです……」
善子「それで死にかけてたんじゃしょうがないでしょ〜」
梨子「まだここに来たばかりで、一緒に採取しに出かけてくれる知り合いなんていないし……うぅ」
善子「あーもう、泣かないの、ほら」グシグシ
梨子「ぅぃ……すいません……」ズビ…
善子「…………」
善子「ちょっと待ってなさい、紹介状書いてあげるから」
梨子「紹介状?」
善子「町の自警団よ。依頼すれば採取にでかけるとき、護衛として雇う事ができるわ」
梨子「へー……あ、でも……」
善子「どうかした?」
梨子「雇うほどお金に余裕が……その…妖精さん雇ったし…」
善子「いきなり三匹も雇うからよ…」
梨子「それは…雇ったら増えたというか……」
まき「………」ムスッ
善子「な、なんで睨んでるのよ…」
梨子「ああ、その子そういう目つきなんです。どうしたの?」
まき「………」スッ
善子「あら、パンとお水……これ、この子に?」
まき「………」コクッ
梨子「ありがとう、頂くね」
まき「………」ムスッ
善子「よくわかんない子達雇ったわねー」
善子「とりあえず今日はこのまま寝てなさい。無理して体壊したら意味ないんだし」
梨子「はい……」
善子「それと、妖精に後で私の店にくるように言っといて」
梨子「えと、それは…?」
善子「さっき言ってた紹介状と、簡単なサポートをしてあげるわ」
梨子「うぅ……またお世話になってしまって……ほんとにありがとう…」
善子「その気持ちは依頼の達成と、出世払いでいいわよ」
梨子「が、がんばります…っ!」
その日は一日休む事にした梨子ちゃん
そんな梨子ちゃんの元に善子ちゃんから届けられたものがありました
梨子「これ……最新式の、ろ過機……どうして?」
ぱな「おてがみあずかったです?」スッ
梨子「えっと…こっちは自警団への紹介状だね。それともう一通……」
-ろ過機貸してあげるから、蒸留水の依頼とは別にろ過水の制作もよろしく!
必要数は----で、期日は----。報酬はこのろ過機ね、がんばって!
梨子「……………」
ぱな「どうしたです?」
梨子「……ぅっ」ポロポロ
ぱな「ピィっ?」
梨子「ご、ごめんね、大丈夫よ…」ズビ
ぱな「おからだおだいじにです?」
梨子「うん。ホント……がんばらないとね」
りん「ごはん」
まき「………」ムスッ
梨子「そうだね、ごはんにしようか」
ぱな「ぱな〜♪」
ぱなちゃんはごはんが大好きです
次の日から梨子ちゃんは気持ちを新たに、新生活をがんばります
一度行った場所ということで水汲みを妖精さんに頼み、午前は依頼の蒸留水作りに専念します
午後には町中で迷子にならないよう、まだ足を運んでいない場所を散策です
梨子「このあたりは市場なのね、おいしそうな匂いがする…」
「いらっしゃ〜い、野菜買ってってー!」
「あら見ない顔ね。旅人さん?」
梨子「あ、先日この町に越してきました桜内です。よろしくお願いします」
「まぁ、あなたが噂の新人錬金術師さんね〜」
「かわいいわ〜」
梨子「え、噂…?」
この町は古くから錬金術との繋がりがあるためか、錬金術師には皆親しみを持ちます
そんな錬金術師の新人さんが来るとなるとその話は一日で町中に広まっているのでした
「あんだこんな若いのにたいしだもんだでな」
「んだんだ」
梨子「ど、どうも……」
きがつくと梨子ちゃんはおじいちゃんおばあちゃん達に可愛がられていました
「ほれ、これもお食べーさ」
梨子「ありがとうございます」
「ほんに立派だ。孫の嫁にこんけ?」
梨子「え、よ、嫁!?」
「べっぴんさんやし、かわいいひ孫が見たいのう」
梨子「あ、あの…それはちょっと……」
「えんきんじゅつゆーんで、わしの老眼治らんかの?」
梨子「遠近? それはちょっと違うような……あぁでも老眼鏡とかも作れたりするのかな…」
「んー、もうちょっと太らんと、丈夫な子生めんぞな」サワ
梨子「きゃっ! だだ、大丈夫です!」
「こっちのもおいしいでよ」
「孫の嫁に…」
「えんきんじゅつでー…」
「ばあさんのケツはほんにようできとってのぅ…」
梨子「あうぅ……」
花丸「ほーら、じいちゃん達っ! 梨子ちゃん困ってるよー?」
梨子「はっ!?」
「おお、国木田さんとこの」
「花丸ちゃんじゃー」
「孫の嫁に…」
花丸「ばーちゃんとこのお孫さんはまだ5歳ずらよ」
梨子「え、そうなの?」
花丸「基本は話半分に聞いてていいずらよ」
梨子「いいのかな、適当にあしらっちゃったけど」
花丸「若い子とお話しするのが好きなじいちゃん達ずら。また今度話相手になってあげてずら」
梨子「う、うん」
花丸「工房のほうはどう? 問題なくやれてる?」
梨子「ん、まだ慣れたとは言えないけど、お仕事も受けたし、がんばらないと…」
花丸「もう依頼を受けたんだ。どんなの?」
梨子「蒸留水とろ過水制作です。色々お世話になった方からの…」
花丸「へーそうなんだ。誰からとか…聞いてもいいずら?」
梨子「えっと…津島工具店のヨハネさんです」
花丸「ヨハ……ああ、善子ちゃんか……」
梨子「ここに来たばかりの時に色々助けてもらって」
花丸「へー」
梨子「錬金術師の味方だって言って、ほんとにお世話になりっぱなしで…」
花丸「そう……善子ちゃんそんなこと……」
梨子「ん?」
花丸「んや、なんでもないずらよ。依頼がんばってね」
梨子「うん、ありがとう」
花丸「……………」
-それから数日後
梨子「よしっ、これで必要数の蒸留水は出来たかな」
りん「しゅくふく」
ぱな「おしごとぶじおえたです?」
梨子「ありがとう、みんなが手伝ってくれたおかげだよ」
まき「………」ムスッ
梨子「さて、まだろ過水の制作依頼があるけど、これはこれで先に届けに行こうかな」
ぱな「きじつないのうひん、しんらいどあっぷです?」
梨子「えっと、さすがに全部を一人で運ぶのは無理があるか……」
梨子「まきちゃんりんちゃん、津島工具店まで蒸留水運ぶの手伝ってくれる?」
りん「ぎょい」
まき「………」ムスッ
梨子「ぱなちゃんはお留守番しててね」
ぱな「じたくけいびいんです?」
梨子「ふふ、まだ誰かくるなんてこともないけどね」ガチャ
ぱな「いってらっしゃいです?」
梨子「これを届けたら今度はろ過水に必要な中和剤作らないと…」
りん「きそだいじ」
梨子「ホントだね。蒸留水は他にも使うからもっと必要だし、まだまだ落ち着くまで遠いなー」
まき「………」ムスッ
梨子「まきちゃんどうしたの? ん?」
花丸「善子ちゃんだって未練あるずら!」
善子「ないって言ってるでしょ!!」
梨子「あれ、お店の前にいるのって、花丸ちゃんとヨハネさん?」
まき「………」ムスッ
花丸「じゃあどうしてまだお節介続けるの?」
善子「お節介って…私はただ……」
梨子「あ、あれ……取り込み中かな?」
花丸「そのために取り寄せてる器具だって……あ…」
梨子「こ、こんにちは……」
善子「あなた……」
梨子(見つかっちゃった…)
花丸「…………」
梨子「あ、あの……依頼の品を持ってきたんですけど…」
善子「そう…。店の中で待っててくれない?」
梨子「は、はい……いくよー」
まき「…………」ムスッ
りん「のうひんのうひん」
梨子(なんだか穏やかじゃなかったけど…)
梨子「あ、まきちゃんこっちに置いて」
まき「………」ムスッ
善子「ご苦労様、今日持ってきたのは?」
梨子「あ、ヨハネさん……」
善子「…………なに?」
梨子「……ん、いえ……依頼されていた蒸留水です」
善子「そう……。どれどれ」
梨子(あんまり触れないほうがいいかな、さっきの事は……)
善子「量は十分ね。品質は……んー…普通かなぁ」
梨子「……………」ドキドキ…
善子「まぁそれでも慣れない新生活の中じゃよくやってると思うわ」
梨子「………ッホ」
善子「うん、これでいいわ。ご苦労様」
梨子「あ、ありがとうございます」
善子「代金用意するからちょっと待ってて」
梨子「はい」
りん「しょうだんせいりつ」
梨子「ふぅ……初めてのお仕事だったけど、うまくいってよかった」
まき「………」ムスッ
梨子「あ、まきちゃんも喜んでくれてるのね、ふふ」ナデナデ
まき「………///」ムスー
善子「お待たせ、これ代金ね」
梨子「ありがとうございます!」
善子「それで、ろ過水のほうはどう?」
梨子「それはこれからすぐに…まずは材料確保から」
善子「蒸留石の採取場所は把握してる?」
梨子「近いところだと日時計の草原にあるということなので明日行こうかなと…」
善子「まさか一人で?」ジロ…
梨子「一人……と言いたいところですが初めていく場所なのでこのあいだ頂いた紹介状を使おうかなと」
善子「まぁそんなに遠い場所でもないし、一番暇そうなヤツに頼むといいわよ」
梨子「そういうものなんですかねぇ……」
善子「それと、依頼のための材料集めも大事だけど、これから先必要になりそうな素材はどんどん集めなさい」
梨子「んー…でも一度にカゴに入れて持ち運ぶにも限度があるし……」
善子「そこでこのビッグサイズの丈夫なカゴよ!」ドン
梨子「す、すごい…これならたくさん採取できそう……」ゴクッ
善子「採取量の確保は大事よ。今ならこのお値段だけどどう?」スッ
梨子「…………高い」
善子「このサイズだもん、当然よ」
梨子「うぅ……さすがに今無理して買うと生活に支障がでそうなのでやめておきます…」
善子「そう。まぁまだ在庫はあるから余裕ができたら買うといいわ」
梨子「そうします」
なんとか初めての依頼を達成し、気分のいい梨子ちゃんはそのまま外食コースです
妖精さん達を先に帰し、酒場クニッキーに足を運びました
花丸「いらっしゃいま〜せ〜ずらっ」
梨子「こんばんはー」
花丸「梨子ちゃんいらっしゃい」ニコニコ
梨子(さっきと別人みたい……)
花丸「どうかしたずらか?」
梨子「い、いえ…」
花丸「テーブル席も空いてるけどどうする?」
梨子「私はカウンターで」
花丸「はーい、ではこちらへどうぞ〜」
梨子「ピルツ定食ください」
花丸「はーい。気に入ってくれた?」
梨子「はい、けっこう好きな味付けでした」
花丸「それは良かったずら。ちょっと待っててね〜」タッタッタ
梨子(ヨハネさんと話してた事には触れない方がいいかな……)
花丸「あ、そうだ」ヒョコッ
梨子「は、はい!?」ビクッ
花丸「?」
梨子「い、いえ……なんでもないです」
花丸「入り口横のボードに新しい求人札が貼ってあるから。よかったら見てみると言いずらよ」
梨子「求人札…?」
花丸「誰かに何か頼みたい時に人に向けた札を貼ってあるんだよ」
梨子「お仕事の依頼ですか?」
花丸「内容は様々だから料理が出来るまで見てみれば?」
梨子「そうですね、じゃあ……」
花丸「さっき更新したばかりだから複雑なものから簡単なものまでたくさんあるずらよ」
梨子「へー……」
梨子「いろんな種類があるのねー……えっと…」
梨子「道具の制作依頼に素材の採取依頼か……あ、これ蒸留石の依頼とかもあるのね」
梨子「こっちは鋼やコメート納品……は、さすがにいい値段してるのね。でもちょっと今の設備じゃ厳しいかな…」
梨子ちゃんはたくさん貼りだされている求人札をまじまじと見つめています
集中して見ていたせいか、すぐ隣に人が立っているのにも気がつきませんでした
梨子「期日に余裕がありそうなのやってみようかな……えと、さっきの蒸留石の期日は…」スッ
ペリッ
梨子「あ……」
??「ん?」
梨子ちゃんが手に取ろうとした札を先に取ったのは隣にいた女の子でした
梨子ちゃんよりも少し背が高い、金髪のすんげー美人さんと梨子ちゃんは目があります
絵里「ごめんなさい、これ…あなたが?」
梨子「あ、いえ、どうぞ……」
梨子ちゃんは金髪美女のオーラに圧倒されます
絵里「そう。なら頂くわね」
梨子「はい……」
梨子(わぁ……すごい綺麗な人だなぁ……)
絵里「んー……これもいけそうかなっ」ピッ
梨子(今のってグラセン鉱石の依頼だったような…すごいな、いけるんだ…)
絵里「お、これもよさそうね……と、こっちも…」ピッ ピリッ
梨子「………」
絵里「んっと、後は……」
梨子(すごい、躊躇なく難しそうな依頼を一度に…この人は一体…)
??「あらエリーじゃな〜い!」
梨子「?」
絵里「ん…」
梨子ちゃんが金髪美女に圧倒されてる横に、さらにもう一人の金髪美女があらわれました
鞠莉「ひさしぶりね〜、元気だったー?」
絵里「鞠莉……」
梨子(わっ、またすっごい綺麗な人が……)
絵里「珍しいわね、あなたがこっちに来るなんて」
鞠莉「んー、たまには普通の依頼もやんなきゃね〜と思ってたからね。エリーもそうでしょ?」
絵里「私は生活がかかってるのよ」
鞠莉「あれだけ稼いでおいてよく言うわね。まぁいいけどっ」
梨子「」ドキドキ
鞠莉「あら?」
鞠莉「あなた見かけない子ね」ズイ
梨子「えっ、あ、は、はい…まだここにきたばかりで……」
絵里「…………」
鞠莉「ふむ………」ジー
梨子「……………」
鞠莉「なるほど、同業者さんね」
梨子「えっ?」
絵里「そうみたいね。もしかしてあなた、オトノキから来たの?」
梨子「ど、どうしてそれを……?」
鞠莉「こんなにハッキリと妖精さんの香りをまとってたらわかるわよ」
絵里「今の時期にこの町に来る錬金術師なんて、それこそオトノキの卒業試験しかないだろうし…」
梨子「う…………」
鞠莉「じゃあこの子、エリーの後輩なんだ?」
絵里「私は初対面だけどね」
梨子(ん……先輩……エリー……?)
梨子「あっ、エリーのアトリエのエリーさん!?」
鞠莉「あら、後輩にまで名が知れ渡ってるようよ、エリーさん」
絵里「どんな広まり方をしてるのやら……」
梨子「すごい! この町でも1,2を争う工房の錬金術師さんに会えるだなんて!」
鞠莉「だ、そうよエリーさん」
絵里「はじめて聞いたわそんなの」
梨子「わ、私桜内梨子といいます、よろしくお願いしますエリー先輩!」ペコッ
絵里「先輩って……別に私とあなたはそういうんじゃないけど……」
鞠莉「ふふ、可愛い後輩が出来て良かったじゃない? エリー先輩」
絵里「うっさい」
梨子「」キラキラ
絵里「いちおう自己紹介しておくわ。私は絢瀬絵里。知っているようだけど、この町で卒業試験真っ最中よ」
鞠莉「もうとっくにクリア水準突破してるけどね」
梨子「す、すごい……」
絵里「3年もあるんだからそれくらいはね……で、こっちが…」
鞠莉「oh-私も紹介してくれるの?」
絵里「このうるさいのは小原鞠莉。たぶんあなたが言ってた1,2を争ってる相手よ」
梨子「え…?」
鞠莉「んふ、マリーのアトリエっていう工房をやってるの。よかったら今度いらっしゃい」
梨子「え、えええぇ!?」
突如出会った二人の錬金術師。マリーとエリー
この出会いが梨子ちゃんにとって多大な影響を与える事になるのを、梨子ちゃんはまだ知りませんでした
エリーもマリーもだいぶ古……ゲフンゲフン、先輩だよな 睡魔には勝てません、寝ます…
埋まらない限り続きます… 花丸「そっか、二人とも来てたんだ」
梨子「あの二人は良く来るの?」モグモグ…
花丸「絵里ちゃんのほうは時折ご飯食べに来たり依頼を見に来たりしてるずら」
梨子「ふむ…」ムグムグ…
花丸「鞠莉ちゃんのほうは最近はめったに来ないかな。色々忙しいみたいだし」
梨子「マリーさんもやっぱりすごい人なの?」
花丸「すごいずらよ。遠方から鞠莉ちゃんを訪ねてくる人もいるし、国から依頼を受けたこともあるずら」
梨子「国から!? それって物凄い事じゃ……」
花丸「会ったらわかると思うけど、本人はあんな感じだからすごいっていうオーラはあんまりないけど」
梨子「そ、そんなすごい人だったなんて……」ズズ…
花丸「でも、鞠莉ちゃんも絵里ちゃんも最初は今の梨子ちゃんみたいだったずらよ」
梨子「え?」
花丸「かけだしの頃ね。鞠莉ちゃんはこの町で5年、絵里ちゃんは3年目だけどみんないきなりすごかったわけじゃないずら」
梨子「…………」
花丸「だから梨子ちゃんも気負いしてないでがんばるずら!」
梨子「う、うん……だね」
花丸「…………」
梨子「とりあえず今出来る事を確実にやっていくしかないし、がんばる」
花丸「地道なのが一番ずらよ」
梨子「ありがとう、花丸ちゃん」
花丸「…………………善子ちゃんもその気持ちを思い出せば」ボソッ
梨子「ん?」
花丸「なんでもないずら」
妖精さんへのお土産も購入し、梨子ちゃんは帰路につきます
さすがにこのあたりでは迷わなくなった梨子ちゃんですが、明日はまた新しい場所へでかけます
梨子「緊張してきたー……」
ぱな「じゅんびばんたんです?」
梨子「念のために色々持って行く予定だけど、あまり荷物を多くしても採取量が減っちゃうから…」
りん「りんきおうへん」
まき「…………」ムスッ
-翌日
ろ過水の生成に必要な素材、蒸留石を求めて梨子ちゃんは日時計の草原に挑みます
単独で採取に出かけて死の淵を味わった梨子ちゃんは護衛を雇う事にします
梨子「ここね……自警団詰所」
ギィ… バタン
梨子「ご、ごめんくださいーい…」
曜「はーい」トテトテ
梨子「あれ、あなた……」
曜「お、噂の新人錬金術師さんじゃん。どうしたの?」
梨子「えっと…町の外へ採取に出かけたいので、どなたか護衛をお願いしたいのですけど」
曜「護衛依頼ね、リョーカイ!」ビシッ
梨子(やっぱり、役場にいた受付さんよね?)
曜「期間はどれくらい?」
梨子「往復で4日、予備日に1日つけて5日間の予定です」
曜「場所は?」
梨子「日時計の草原を予定しています」
曜「ふむ……」サラサラ…
梨子「いけるでしょうか?」
曜「ちょっとまってね、今人員の確認するから…あ、それと誰かからの紹介状とかある?」
梨子「あ、そういえばあります!」サッ
曜「それがあると初回割引が受けられるからね、はい確認するね」
梨子(そういうものだったのね、ヨハネさんありがとう)
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