奇妙、いえ、恐怖。とにかくその場にもういたくなかった。

恥ずかしいですが、脇目も振らずに家へと帰りましたよ。

……ええ。あの時息がいつもより上がっていたのは、そういうわけ。

あれは……結局、なんだったんでしょうね。

バックトラックと同じように、何かから逃げるための陽動として用いていたのなら。

いえ、それにしたって用意周到すぎます。

それならば……むしろ、逆だったのではないでしょうか。

何かから逃げるのではなく、何かを捕らえる。

好奇の目で近付いた獲物を、誘うための罠だとしたら――