ダイヤ「もちろん十千万だけではありません。鞠莉さんのホテルも、果南さんのダイビングショップも、花丸さんのお寺も」

ダイヤ「善子さんや曜さん、梨子さんの親御さんにだって世間の目はある。無論、黒澤家など言わずもがな」

ダイヤ「生活できなくなりますわよ。あなたのご家族も、みんな。みんな」

千歌「……ダイヤさんは、私を脅してるの?」

ダイヤ「結果的にはそうなってしまいますわ。申し訳ありません」

ダイヤ「ですが、私もそんなことは望んでいません。だからこそ、可能な限り証拠を残さぬよう犯行を重ねたつもりです」

ダイヤ「私は逮捕は怖くない。絞首台へ立てと言うなら喜んで立ちましょう。ですが――みなさんに迷惑をかけることだけが、怖い」

千歌「……酷いよ。酷すぎるよ。そんなの、いくら何でも我が侭だよ……」

ダイヤ「そうですわね。なんと虫の良いことをと、自分でも思いますわ。ですが、それが偽らざる本当の気持ち」