ダイヤ「最愛のあなたへ」
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ダイヤ「ぅ。ここは……?」
ダイヤ(清潔なベッド。腕から伸びる点滴の器具。どこかから漂う消毒液の匂い……)
ダイヤ(病院。倒れたんですのね、私。確かに今日は暑かったから、熱中症でしょうか)
ダイヤ(ナースコール……呼んだ方がいいんですのよね、これ。気は進みませんが)ポチッ
ダイヤ「……」
パタパタパタ…
看護師「失礼しまーす。あ、目が覚めたんですね。こんにちは。気分はいかがですか?」
ダイヤ「……前より好調なくらいですわ。手厚い治療を施していただいたようで、ありがとうございます」
看護師「いえいえ。親切な方が119番してくださったんですよ。それがなければ、最悪、命はなかったかも」
ダイヤ「そうですか。確かに、親切な方だったのでしょうね」
ダイヤ「私のようなホームレスに救急車を呼んで頂けるなんて」 ダイヤ「はぁ――はぁ――はぁ――っ!」
果南「ゥ、ああぁあああ……っ!」
鞠莉「か、果南っ! 大丈夫、果南!?」
ダイヤ「――近寄らないでください!」
鞠莉「っ!?」
ダイヤ「ぜぇ、ぜぇ……。それ以上は、近寄らないでください鞠莉さん。もし近づこうと言うのなら」グッ
果南「んぎっ!?」
ダイヤ「果南さんの腕、もう2度と使い物にならなくなりますわよ……!」
鞠莉「……!」 ダイヤ「それでもなお近づこうと言うのであれば、今度は命の保証も出来かねます。心臓は別に、あなた達の物でも構いませんのよ」
鞠莉「やめて、ダイヤ! どうしてそんな、果南を人質みたいに……!」
ダイヤ「まさしく人質ですわ。正直に言いますが、まともに身体が動きませんもの。あなたに掴みかかられてはどうしようもない」
ダイヤ「あなたへの交渉材料として、果南さんは最適でしょう」
鞠莉「どうして!? 果南はただ、あなたのことを想っていただけなのに……!」
ダイヤ「そんなこと、承知しておりますわ。だから見れば分かるでしょう」
ダイヤ「私は果南さんの想いも何もかもを裏切って、今、こうしている……! あなた達の友としてでなく、切裂き魔として……!」
鞠莉「ダイヤ……」
果南「ダ、ダイヤ……鞠莉……っ」 ダイヤ「下がってください、鞠莉さん。私はこんなところで止まれない。7人でなど終われない」
ダイヤ「私の行動には、もう私の意思など介在し得ません、進むしかないっ!」
鞠莉「ダイ――、」
ダイヤ「……っ」グッ
果南「ぎ、ぁ……!」
鞠莉「っ!?」
ダイヤ「……下がってください。私は、本気ですわよ」
ダイヤ「もう7人も殺したんですもの。伊達や酔狂でこんなこと、出来ませんわ」
ダイヤ「下がりなさい、鞠莉さん」
鞠莉「ダイヤ……!」 ダイヤ「下がれと言っているのです! これ以上聞き分けがないのなら――っ!」ゴリッ
果南「あ、ぁぁあああ!?」
鞠莉「や、やめて――!」
ダイヤ「やめるかどうかはあなた次第ですわ! お願いです、私の言うことを聞いてください……っ」
ダイヤ「お願いします、下がってください。私は行かねばならないのです。だから、お願いしますっ!」
ダイヤ「もうこれ以上、私に。――果南さんを傷つけさせないで……ぇ」ポロポロポロ
鞠莉「――っ」
鞠莉「ダイヤ……」
ダイヤ「行かなくてはならない。途中では終われない。ルビィを救うまで終われない。それが私の背負った十字架……!」
ダイヤ「7人殺した。あなた達を裏切った、果南さんを傷つけた! 私にはもう何もないっ、ルビィを救うことしか、もう――!」
鞠莉「……分かった」 鞠莉「ねぇ、ダイヤ――」
ダイヤ「っ、ち、近寄らないでくださいっ!」
鞠莉「大丈夫よ。私には、あなたを止める気はないもの」
鞠莉「ねえ、ダイヤ。教えて? 私は何をしたらいい?」
ダイヤ「なに、を……?」
鞠莉「警察のかく乱? あなたのアリバイ作り? 凶器を手配すればいい? それとも――」
鞠莉「私が誰かを、殺してくればいい?」
果南「鞠、莉……?」
ダイヤ「あなたは、何を言って」
鞠莉「あなたを独りにさせないわ、ダイヤ。あなたがその十字架に圧し潰されるというのなら、私も一緒にそれを背負う」
鞠莉「――共犯者になるよ。だから何でも言って?」
ダイヤ「な……っ!?」
果南「……ま、り」
鞠莉「……」ニコッ ダイヤ「あなたは、自分が何を言っているか分かっているのですか……?」
鞠莉「分からないで言っていると思う? 大丈夫よ。勢いは否定しないけど、それなりには考えて出した答えだから」
鞠莉「あなたの覚悟は伝わった。硬度10にどれだけ説得したって聞いてくれないこともよく分かった」
鞠莉「私も果南と同じなの。ただダイヤが心配なだけ。だから、ダイヤが私たちの言葉を聞いてくれないのなら」
鞠莉「――寄り添うよ。あなたが嫌だって言っても、絶対にそうする」
鞠莉「星にお祈りしたんだもの。ずっと一緒よ」
ダイヤ「鞠莉さん……」
鞠莉「それに私だってルビィのことは大切だし。利害も一致するなら、それでいいじゃない」
鞠莉「ね?」
ダイヤ「……本当に、私に手を差し伸べると?」
ダイヤ「あなたが私と、同じ罪を背負ってくれるというのですか……?」 鞠莉「独りで、辛かったね。ダイヤ」
鞠莉「もうムリしなくていいんだよ……?」
ダイヤ(ああ、この人は本当に。何でこんなにも、私のことを)
ダイヤ(私は本当に幸せです。殴ってでも道を正そうとしてくれる友人と、誤った道であっても共に歩もうとしてくれる友人と)
ダイヤ(その両方を得られたなんて――なんて幸福な)
ダイヤ「……こちらへ、来て頂けますか。まだ立つには少し、辛いもので」
鞠莉「うん。肩、貸すよ」スッ
鞠莉「大丈夫? ダイ――、」
ダイヤ(だからこそ) ダイヤ「――ぅ、ぁああっ!」
ダイヤ(だからこそ、動かない身体に鞭打ってでも)
ダイヤ(この大切な友人を、巻き込まないように――)
鞠莉「――ぐっ!? ダ、イ……?」ミシミシッ
ダイヤ「……頸動脈、絞めさせて頂きますわ。大丈夫です、痛くはしません」
鞠莉「ぁ、か……っ」
ダイヤ「ありがとうございます。本当に、本当にあなたには感謝してもし足りませんわ」
ダイヤ「だから、あなたは幸せになってください。こんな地獄になど来ずに、日の当たる場所で、どうか……」
鞠莉「ぐ、ぅぁ、ダ、イ、ヤ……」
ダイヤ「おやすみなさい。鞠莉さん。あなたと友達で、本当に良かった……」
鞠莉「か――、ぁ……」ガクッ
鞠莉「……」
ダイヤ「ふー……」 果南「ま、鞠莉……ダイヤ……」
ダイヤ「果南さんも、手荒な真似をしてしまって申し訳ありませんでした」
ダイヤ「あなたの拳、あなたの優しさが伝わってくるようで――とても痛かったです。きっと一生、忘れませんわ」
ダイヤ「それでは。私はこれで」ズル、ズルズル
果南「ま、待って! 待ってよダイヤ、待って――づ!? ぐ、ぅぅぅ……」
ダイヤ「安静にしておいた方がよろしいですわよ。早めに誰かと連絡を取って、手当てしてもらってください」
ダイヤ「……ごめんなさい」ズルズル
果南「待って! ダイヤ、ダイヤ――!!」
ダイヤ「……」ズル、ズル
ダイヤ「……おや」
善子「……やっぱり、この山小屋に戻ってたのね」
梨子「奥の2人は……」 ダイヤ「善子さん、梨子さん……いらしたのですか」
ダイヤ「奥の2人は無事とは言いませんが、殺してませんわ。……ああ、ちょうどいい。2人を介抱してあげてください」
善子「あなたは、これからどうするの?」
ダイヤ「夜まで身を潜めますわ。本当に、いい一撃をもらいました……しばらくまともに身体が動きそうにありません」
梨子「ダイヤさん。……これを。スポーツドリンクとカロリーメイト、あと使い捨てのカイロ」
ダイヤ「ふふ……気の利くことですわね。助かりますわ」
果南「待ってよ、ダイヤ! 善子、梨子、ダイヤを止めて――っ!」
善子「……早く行ったら」 ダイヤ「そうしますわ。あの声を聞くたびに、胸が締め付けられるようで」
果南「何で、何でぇ!? ダイヤを止めてよ! 何でダイヤが、人なんか殺さなきゃいけないのさ!?」
果南「何で……ぇ」
ダイヤ「……」
梨子「……また。みんなで一緒にいられるよね。ルビィちゃんと、ダイヤさんと、みんなで」
ダイヤ「……そうありたいものですわね」
ダイヤ「では」ズルズルズル
果南「ダイヤ、ダイヤぁぁぁ!」 そうだよなぁここで止まったら殺した7人無意味だもんなあ
7人殺した意味を見出だすためにもあと3人殺すのが正しいと思えてきてしまうのが恐いわ ダイヤに賛同したのがギルキスでダイヤを止めないといけないと思ったのがアゼリアなの、変な言い方だけど面白い >>457
急にバトルパートに入ったのもあいまって
正直笑ってしまいそうになった 戦闘描写もいいね
鞠莉の覚悟を決めた救済と
鞠莉を思うダイヤの気持ち
熱いね… 凶器使うかと思ったら果南を素手で制圧するダイヤちゃん 今更だけどナチュラルに戦闘能力の高い果南ちゃんに誰も疑問を持っていないのが面白い 12月22日。内浦、路上
ダイヤ(寒い……さすがにレインコートで冬の夜の寒さを凌ごうというのは無理がありますわね)
ダイヤ(梨子さんから頂いたカイロ、本当に助かります。ピッキングもありますから、手が冷えるのは致命的ですもの)
ダイヤ(でも、もういい頃合いでしょう。夜は深まり、月も高く昇っている……。人も草木も、眠る時間)
ダイヤ「……行きましょう。これが最後ですわ」
ダイヤ(――っ、果南さんからもらった一撃、まだ完全には回復していませんわね……)
ダイヤ(けれど時間は待ってはくれない) ダイヤ(今夜は、3人。時間の猶予など、一切ないのだから)
ダイヤ(標的はこのお宅――)
「――待ってたよ。ダイヤさん」
ダイヤ「……っ!」
ダイヤ「……驚きました。どうしてここに?」
ダイヤ「花丸さん」
花丸「簡単なことずら。ダイヤさんが殺さなきゃいけない人数は10人。今日までに7人だから、残りあと3人」
花丸「この状況で次の日にまで持ち越すとは思えない。ダイヤさんは今夜、3人をいっぺんに殺す計画を立てるはず……」
花丸「そしてオラがもし3人殺すんだとしたら――ここにするずら」
ダイヤ「なるほど、お見通しという訳ですか……。推理小説家でも目指せるのではありませんか」 花丸「ああ、確かにいいネタだよね。本物の切裂き魔から取材とか、そうそう出来る体験じゃないし」
花丸「でも、ちょっとこの推理は陳腐過ぎるずら。小説にするには弱いかな」
ダイヤ「ふふ、それは申し訳ありませんわ。私も小説の物語みたいにスタイリッシュにしたいところですが、現実の切裂き魔はいっぱいいっぱいでして」
ダイヤ「それで? 花丸さんはここへ来て、何をしようと? まさか社会見学という訳でもないのでしょう?」
花丸「当たり前だよ。ダイヤさんを止めに来た」
ダイヤ「私を、あなたが? こう言っては何ですが、あなたに私を止められるとは思えませんが」
花丸「もちろん力ずくで、なんてつもりはないずら。説得をしに来たんだ」
ダイヤ「説得、ね」 ダイヤ「そんなことで止まるとでもお思いですの? 言葉などで止まれるようなら、私はもう、とうの昔に止まっていますわ」
花丸「止まるよ。止まってくれるよ。だって目の前にいるのは、狂った切裂き魔じゃない。殺人鬼じゃない」
花丸「マルたちがよく知っている、ダイヤさんだもん」
ダイヤ「……」
ダイヤ「買いかぶりですわよ。私は狂った切裂き魔で、殺人鬼。黒澤ダイヤという人間はもう、死んだも同然ですもの」
花丸「そんなことないよ。今もこうしてオラの話を聞いてくれていることが、その証明だと思う」
花丸「恐ろしいことに、想像したくもないけど、……ダイヤさんは7人も殺しておいてまだ、自分の理性と信念を維持してる」
花丸「狂った方がずっと楽だと思うけどね。そう出来ないのはやっぱり、ダイヤさんがダイヤさんだから、なのかな」
ダイヤ「……私には今の自分を正気などとは、とても思えませんが」
花丸「マルにはいつものダイヤさんに見える、それでいいずら。そして、だからダイヤさんと――問答をする。そのために来た」
ダイヤ「問答……?」 花丸「ダイヤさんがしようとしていることは――ただルビィちゃんを苦しめるだけだって、理解している?」
ダイヤ「……」
ダイヤ「……死ぬよりは、いいはずです」
花丸「オラにはいいとは思えないずら。ルビィちゃんは助かったとしても、その魂に10人もの命という重荷を負う」
花丸「ダイヤさんは自分だけが苦しめばいいと思っているかもしれないけど、そんなことはない。このことで一番心を痛めるのは、黒澤ルビィをおいて他にないずら」
花丸「それをダイヤさんは、理解している?」
ダイヤ「……繰り返します。死ぬよりは、いい」
花丸「――嘘だよっ!」 花丸「分かってるんだよね、本当は……! 罪を重ねて血で汚れて外法を犯して、それを全部ダイヤさんに抱えさせて生き永らえて……!」
花丸「そんなこと、ルビィちゃんが望む訳ないずら! もう一度言うよ、ダイヤさんがやってることは、ただルビィちゃんを苦しめるだけ!」
花丸「マルは、ルビィちゃんにそんな業を背負って欲しいなんて思わないっ!」
ダイヤ「……っ」
花丸「マルだってダイヤさんと同じだよ。ルビィちゃんが生きていてくれるなら何だってやる、たぶんダイヤさんと同じことだって……。でも違う、そうじゃない!」
花丸「どんなに大好きで、どんなに辛くても……大好きだからこそ、曲げちゃいけないことがあるずら! そうでしょ、ダイヤさん!?」
ダイヤ「……お話はそれだけですか」
花丸「お願い、止まってダイヤさん! ルビィちゃんを想うなら立ち止まって!」 花丸「今のダイヤさんは逃げてるだけだよ、ルビィちゃんに一番向き合えてないのはダイヤさんだよ!」
花丸「ルビィちゃんにそんなものを背負わせちゃダメずら、ダイヤさんが逃げちゃダメずらっ!」
花丸「ルビィちゃんの手を握って最期を看取ってあげるのは、ダイヤさんがやらなきゃいけないことなんだよ……!」
ダイヤ「花丸さん」
ダイヤ「――ありがとうございます。ルビィのことをそんなにも真剣に、想ってくれて」
花丸「わ、分かってくれたの――、」
ダイヤ「これからもずっと、あの子の親友でいてあげてください。あの子はこれから、きっと辛い思いをするだろうから。あなたが、支えてあげて」
ダイヤ「私はもう、あの子のそばにはいられませんから……」
花丸「……っ、この、分からず屋っ!」 ダイヤ「いいえ、分かっていますとも。あなたが正しいのだと、分かっています。そんなことは最初から」
花丸「じゃあどうして!?」
ダイヤ「そんなこと……。あなたの言う通りですわよ。私は逃げているだけですわ」
ダイヤ「ルビィを喪う悲しみを拒絶して、子供にすら劣るような我が侭を通そうとしているに過ぎない……」
ダイヤ「ルビィがどう思うかなんて、分かっていながら見ないようにして」
花丸「そんな我が侭、許されるわけないずら!」
ダイヤ「ですが。私にとってその我が侭は、己が人生も魂も、他者を踏みにじることになろうとも。すべてを犠牲にしてでも果たしたい我が侭なのです」
ダイヤ「……ねえ、花丸さん。黒澤の家って、とても躾が厳しいのです。私は果南さんや鞠莉さんともっと遊びたいのに、お母様はそれでは駄目だと習い事をさせる」
ダイヤ「もちろん、それが母の愛であることは知っています。だから私は我慢を重ね、己を律し、常に黒澤家の長女としてあるべき姿を追い求め続けてきたつもりです」
ダイヤ「我が侭なんて、言った覚えがないくらいなんですのよ……?」
花丸「……何が、言いたいの」 ダイヤ「ねえ、花丸さん。私はそんなに酷い我が侭を言っていますか? たったひとりの妹に生きていて欲しいと願うことは、そんなにも罪深いことですか……!?」
ダイヤ「この世界はっ、あなたですら! 私のこんな有り触れた、たった一度きりの我が侭を諫めようと言うのですか!?」
ダイヤ「間違っているから! 悪いことだから! ルビィにとって負担だから! そんな理由で、私の願いをあなたは否定するの、国木田花丸!!」
ダイヤ「たった一度きりの我が侭くらい、聞いてくれてもいいじゃない……っ!」ポロ、ポロ
花丸「――、」
花丸「ダイヤ、さん……」
ダイヤ「……っ」グシグシ
ダイヤ「お退きなさい。私は立ち止まるつもりなど、ありませんわ。それがたとえ子供じみた我が侭でも」
花丸「……」
花丸「……ッ」 ダイヤ「言葉がないのであれば、下がりなさい。私を止めるだけの意思が、もうないと言うのなら」
花丸「……オラは、ダイヤさんは間違ってると、思う。ダイヤさんのためにも、ルビィちゃんのためにも、止めなきゃいけないって、思う」
ダイヤ「……ええ。きっと、そうなのでしょうね」
花丸「でもそんなダイヤさんの姿を見たら。オラにはもう――何が正しいかなんて、分からないずら」
花丸「ごめん。ごめんなさい、ルビィちゃん。ごめんなさい、ダイヤさん……! マルは2人のために、もう何も出来ないよ……っ!」
ダイヤ「……」
ダイヤ「ありがとうございます。あなたが私の我が侭を聞いてくれたこと、決して忘れはしませんわ」
ダイヤ「ルビィを、よろしくお願い致します」スタスタスタ… 花丸「うぅ、うぅぅぅぅぅ!」
花丸「うああああ……! ごめんなさい、ごめんなさい……っ。マルは、マルは2人の友達失格ずら……!」
花丸「あああぁぁぁ……っ」
ダイヤ(……謝るのはこちらの方ですわ、花丸さん。こんなにも私たち姉妹を想ってくれるあなたに、私は仇しか返せなかった)
ダイヤ(果南さん。花丸さん――まさか人間の断末魔より、友の嘆きの声の方がよほど胸を締め付けるだなんて)
ダイヤ(知りたくなかった……そんなこと) ダイヤ「……さて。始めましょうか」ゴソゴソ
花丸「……」
ダイヤ(花丸さんが、後ろにいます。どうやらついて来たようですが……邪魔しないのであれば、いいでしょう)
ダイヤ(そんなことは気にせず、カバンからピッキングの道具を)
ダイヤ「……」カチャカチャ
ダイヤ「……よし」カチャ、カチ、 ガチャッ
花丸「!? ――は、はや……」
ダイヤ「5件目ですもの。慣れますわよ」
ダイヤ「それよりも、ここから先へは入りませんよう……。少々、刺激的な光景ですので」
ダイヤ「私としても自分が誰かを殺している様子など、見て欲しくはありませんし」
花丸「……うん」
ダイヤ「では。行ってきますわ」ガチャッ ・
・
・
ザスッ
ブシャァァァァァ…
ダイヤ(まず、1人……)
ダイヤ(解体は後回しです。この家にいる者を皆殺しにして、安全に作業に入れる状況を作りましょう)
ダイヤ(残り2人。……行きましょう)
ギシッ…
ダイヤ(――?)
ダイヤ(今のは……)
ギシッ、ギシッ…
ダイヤ(あ、足音……!? まずい、家の者が起きていますっ! しかもこの足音は――)
ダイヤ(2人分――!!) ギィィィ
男性「……」 女性「……」
ダイヤ(しかも、武器を持っている、警戒されていましたか……!? 男性がゴルフクラブ、女性が包丁!)
ダイヤ(長柄に刃物! 危険な組み合わせですわね……!)
男性「あ、あぁ……」
女性「ひっ……」
ダイヤ(ですが、この光景にまだ理解が追い付いていない、今ならやれますわ!)
ダイヤ(どちらを先に狙うべきか。長柄の男性は厄介ですが……刃物はそれ以上に……! 一太刀あびれば私の血が残ってしまうっ)
ダイヤ(まずは、そちらを――!) ダイヤ「は、あああああ!」
ダイヤ(獲物からしても交戦は危険です! 一撃で仕留める!)
ダイヤ(ならば狙うは――その脳天!)
ザンッ
女性「が――、」
ダイヤ(しまっ――、鉈が刺さって、引き抜けない……っ!?)
男性「うっ、うあああああああ!」ブンッ
ダイヤ「く――っ!」バッ
ダイヤ(無手で挑むしか、ありませんわ……! 大丈夫です、落ち着いて対処すれば、素人の振り回す鈍器など……) 男性「あああああああっ!」
ダイヤ(問題ありません、動きは単調! 入身から、まずゴルフクラブを叩き落として――)
ダイヤ「――あぐっ!?」ガクッ
ダイヤ(果南さんからもらった肝臓打ち――まだ、ダメージが……まずい――!?)
男性「おおおおおおおっ!」
ゴスッ
ダイヤ「づ、ぁ……っ」
ダイヤ(ひ、左肩にまともに受けた……!? この衝撃……肩の骨は大丈夫でしょうか――否!)
ダイヤ(たとえ大丈夫でなかったとしても――!) ダイヤ「カハァァァァァ――ア゛ア゛ア゛ッ!!」
ダイヤ(手首――もらった!)パシッ
男性「――あ」
ダイヤ(肘を固めて、返して――四方投げ!!)
男性「か、はっ――!?」ドサッ
ダイヤ「……コォォォォォ」
ダイヤ(首に腕を回し、固めて――このまま……!)
男性「が、がはっ、ぎ、あ、あ……っ」
ダイヤ(絞め落とすなんて生ぬるい真似はしませんわ! このまま――首の骨を折る!!)
ダイヤ「オオオ、オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛……!!」ミシ、ミシミシミシミシッ
男性「ぉ、ご、ぉ、あぁ……」
ダイヤ(男性の腕が、私の腕をタップします。ですが緩めるわけにはいきません。このまま、死んでもらいますっ)
ダイヤ(これで10人、おまえで10人! このまま――死ね!!)
ダイヤ「――アァッ!!」
ゴギッ… ダイヤ「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」
ダイヤ「やった……やった。やりましたわ。ふふ。あははは。10人です、これで10人。ついに、ついに……!」
ダイヤ「はは、あははははは。あはははははは……は」
ダイヤ(なんて。なんて虚しい、達成感……)、
ダイヤ(でもこれで、ようやく終わったのです。ようやく……)
ダイヤ「……いいえ。まだですわ。解体を、始めなくては」
花丸「ダ、ダイヤさん! 悲鳴がしたけど、大丈、――」
花丸「夫……あ……。ああぁぁぁ……」フラッ
花丸「――あ」ドサッ
花丸「……」
ダイヤ「……花丸さん。心配してきてくださったのですか……しかし、刺激が強すぎたようですわね」
ダイヤ「手袋はしているようで結構ですが……困りましたわね。これは……」 >ダイヤ(これで10人、おまえで10人! このまま――死ね!!)
本当に殺人鬼になってしまってる…… 確かにマルちゃんの言う通り、ルビィちゃんが生き返ったとしても10人分の業を背負わなきゃいけないんだよね… Aqoursメンバーそれぞれが罪を負うことになるのか…。中でもルビィは特に病みそう ルビィは知らない方が幸せなのだろうがまあバレるだろうな マジでAqoursメンバーの誰か犠牲になるかと思った まだ姿を現さない千歌が不気味
そしてルビィの運命や如何に 正直最初はルビィ以外Aqours皆殺しだと思ってたわごめんダイヤさん 蘇生されたルビィちゃんに人ならざる力が宿り、死んだ老婆たち十名を蘇生させてハッピーエンドやぞ!
台無しやぞ! でぇじょうぶだ
殺した10人はドラゴンボールで生き返れる 全員の姉妹に対する気持ちがしっかり描かれてて辛い、そして千歌ちゃんが怖い
犯行がバレて意見が食い違ってもAqours崩壊ってことにならないのがまた… ルビィちゃんなら死んでも
生き返ルビィするから大丈夫だと思う 同、12月22日。内浦、山中
花丸「ぅ、あ……」
ダイヤ「……起きましたか。花丸さん」
花丸「ダイヤ、さん……。ここは」
ダイヤ「山小屋へ向かっています。あなたのスマホに、善子さんから連絡が入っていました。ルビィを含めた全員が、あの山小屋に集まっていると」
ダイヤ「と言いますかあなた、スマホを持ってきてしまったんですのね……追跡されたらどうなることやら……」 花丸「あ……オラ、ダイヤさんに背負われてたんだ……」
花丸「ごめんね、重いよね。もう降ろしてくれていいからっ」
ダイヤ「づ――!? ……す、すみません。肩を怪我しておりまして、あまり動かないで頂けると……」
花丸「えっ、ご、ごめんなさいっ!?」
ダイヤ「は、花丸さんは小柄ですから重さなんて気にしなくていいですわ。それに……ごめんなさい。もう少しこうしていたいですわ」
ダイヤ「あなたは、お嫌ですか? 人殺しにおんぶされるのは」
花丸「……ううん。あったかいずら」
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