ああ、セミの鳴き声がうるさい。

海未「……姉さん、どうしていってしまったのですか」

海未「どう、して」


 涙は、出ませんでした。

海未「おぇ……ふぅ、ふぅ……」

海未「また……」


 代わりの吐き気が断続的に襲ってくるのです。姉のことを思うと、もう会えないと思うと。

 小さい頃から私の相談に乗ってくれて、きさくに笑うあの人はもういない。


海未「――大好き、でした」


 蝉が鳴き続ける夏の始まりで、私は一つの終わりを体感したのでした。