曜ちゃんは俺の惨状を酷く引きながら見つつ、ため息を一つ。
 嫌味ったらしく漏らす。

「ここ私の部屋なんだけど、それどうしてくれるの?」

 冷やかな視線も兼ねてのその言葉。
 それに対して、俺は口の中に残る不快感を痰に絡めてティッシュに吐き出しながらも答える。

「曜ちゃんがあんな強引にするから……俺は悪くない」

「……」

 無言の圧力。

「……分かった。片付けるよ」 

 それだけで俺は直ぐに屈することになる。
 曜ちゃんは恐ろしい。
 体力も筋力も、男の俺より上。いや、それ以外でも俺が彼女を上回る部分はない。
 勝てない、それが分かりきってるからこそ俺は彼女に逆らうことができず、このように従順で言いなりになっている。

(くそっ、……くそっ)