【七月五日・穂むら】

穂乃果「ありがとうございましたー!」

あんじゅ「揚げたてのお饅頭よ。早く食べたいわね♪」

英玲奈「ああ。急いで帰ろう」

【秋葉原】

英玲奈「これ、おみやげだ」

ツバサ「へえ。揚げたての温かいお饅頭なんて珍しいわね…蒸したり焼いたりするだけじゃないのね」

あんじゅ「今日はセイロン・サバラガムワにしましょうか♪」

英玲奈「ちょっと待て。なぜ当たり前のように紅茶を淹れようとしているんだ」

あんじゅ「サバラガムワはアッサムよりスッキリとした味わいの紅茶よ。油で揚げたお饅頭にはこれが合うわ」

英玲奈「江戸時代から続く老舗和菓子店の饅頭だぞ。日本茶が一番合うはずだ」

あんじゅ「日本茶が合わないとは言わないけど、和菓子だから紅茶が合わないと決めつけるのは偏見よ。特に脂分が強い物には紅茶がいいってことは世界中で知られてるんだから」

英玲奈「世界というが、コーヒーを好み紅茶はあまり飲まない国も多いぞ。紅茶とコーヒーは飲み方が似通っているが日本茶は全く違う。だからこそ和菓子に日本茶の組み合わせが長い間親しまれているんだ」

シュシュシュ ピーッ

ツバサ「ふふふん♪ふふふーん♪」カチャ

ツバサ「はい、お茶いれたわよ」コト

えれあん「えっ」

ツバサ「じゃあ食べましょ。いただきます♪」フー フー

英玲奈「紅茶…ではないな。これは…烏龍茶?」

あんじゅ「ホントだ。この香り…リーフの烏龍茶なんていつの間に買ったの?」

ツバサ「うん。脂分の多い食べ物には烏龍茶でしょ?」パク

ツバサ「ん、おいしい♪」ハフハフ

英玲奈「悪くはないが、穂むらの饅頭だぞ。日本茶でいいと思うが…」

ツバサ「ふふん。英玲奈は知らないの?饅頭の起源は中国なのよ。中国茶である烏龍茶が合うのは宿命よ」

英玲奈「むう…」

あんじゅ「中国茶っていうけど、種類もいろいろでしょ。烏龍茶はいいけど、お饅頭に合わない物のほうが多いんじゃない?」

ツバサ「そうかしら?…二人はどれくらい中国茶を飲んだことがあるの?」

英玲奈「いや、烏龍茶以外は多分ないな。そもそも私は日本茶派だ。日本で簡単に手に入る種類も圧倒的に多い」

あんじゅ「そうは言っても東京で手に入る日本茶って品質の悪いものも多いじゃない。その点、紅茶はちょっとしたティーバッグでも充分おいしいわよ」