あるラーメン店。そこは行列のできる人気店として有名だった。
しかしそこのラーメンは、化学調味料たっぷりのスープに、豚の脂が一センチも膜をはって浮いている。
さらに、冬場でもさほど湯気が立たない。湯気は脂の膜が包んでしまうので立ちにくくなっているわけだ。

常連の客は、ニンニクや胡椒を鼻がまがるほどぶちこみ、汗をだらだら垂らして飲み込んでいく。
主人のおじさんは顔色の悪くなった常連客と並んで記念写真を撮る事がある。
壁に飾られたポラロイド写真は既に五十枚以上はあった。

「みんな死んじまった。」おじさんは真新しい写真を指さした。
「この人は肝臓ぶっこわして、ついこないだおだぶつだ
こっちの人は入院してるが病院抜け出してウチに食いに来てるから、もうじきだろうな。」