「サクマ」ドロップは、2つの別々の会社が販売している。つまり、「サクマ」ドロップは2つあるのだ。

その一つが、1988年4月に公開されたスタジオジブリのアニメ映画「火垂るの墓」で主人公・清太の妹、節子が大切にしている甘いお菓子、「サクマ式ドロップ」だ。

明治から大正、昭和、平成まで続く超ロングセラーで、1908(明治41)年に佐久間惣次郎商店(現・佐久間製菓)が「サクマ式ドロップス」を発売したのがはじまり。
1913(大正2)年には、定番となった缶入りが発売された。それまで日本でつくられていたキャンディーと異なり、クエン酸を使って「夏でも溶けにくい」、保存性の高いキャンディーをつくった。
2008年には、誕生100周年を記念して戦時中のデザインを再現した復刻版を発売している。
発売元の佐久間製菓(東京・池袋)によると、「サクマ式ドロップス」は赤い缶に、三本の菱形の中心にヨットの絵が描かれているマーク(商標)を用いている。
いちご、レモン、オレンジ、パイン、りんご、ハッカ、ブドウ、チョコの味は、「伝統を重んじており、これまで味を変更したことはありません」と語る。

2つの「サクマ」ドロップが存在することについて、佐久間製菓は

「太平洋戦争がはじまり戦況の悪化とともに徐々に原材料の供給が止まり、会社は解散になりました。
戦後、元社員が旧『佐久間製菓』の商標権を買い取り、1948(昭和23)年に設立したのが現在の佐久間製菓になります」

一方、「サクマドロップス」を製造・販売する「サクマ製菓」(東京・目黒)は、1947年に旧佐久間製菓の山田弘隆社長の三男、隆重氏が
ドロップス以外のキャンディーを製造。翌48年には「サクマドロップス」のネーミングで製造を開始した。

「佐久間製菓」と「サクマ製菓」のホームページのURLも末尾が、前者が「.co.jp」と後者が「.com」の違いしかなく、「何ともややこしい」