夏鈴は緑の灯火を信じていた。

年を追うごとに我々の前からどんどん遠のいていく、陶酔に満ちた未来を。

それはあの時我々の手からすり抜けていった。

でもまだ大丈夫。明日はもっと早く走ろう。両腕をもっと先まで差し出そう。

そうすればある晴れた朝に・・・。

だからこそ、我々は前へ前へと進むのだ。流れに立ち向かうボートのように、絶え間なく過去へと押し戻されながらも。