https://www.sankei.com/west/news/190513/wst1905130030-n1.html


【8050の実像−中高年ひきこもり61万人】(上)「お前のせいで」母と子、十数年の葛藤

インターネット通販で購入した商品の空き箱に、夜中にごみ置き場から拾ってきた古本や廃棄物の山。40年以上、家族と暮らしたわが家にはもう、足の踏み場もない。

 「お前のせいでこうなった」。京都府の松江みやこさん(73)=仮名=は、十数年のひきこもり生活でごみの山を築いた長男(42)から、幾度もなじられてきた。

 「息子はもう私の言うことを聞かない」。こう嘆く半面、「病弱だからと甘やかしてきた私も悪いんです」と自分を責める。

 夫と長女、長男との4人暮らしだった。約20年前に亡くなった夫は、子供たちに厳しく、特に長男との間には深い溝があった。

 そうした家族関係もあってか、長男は幼い頃からおとなしく、小学校ではからかわれることも。中学では周囲と関係が築けず休みがちになり、志望高校の受験に失敗。入学した高校は進級できず、中退した。

 その後自宅にひきこもりがちになった。一時、ひきこもり支援に取り組む市民団体の協力で、精神障害者の就労支援所で事務員として働きはじめたが、職場近くでトラブルを起こし退職。30代になると、ほとんど家から出なくなった。