「これはまずい。1秒でも早くビットフライヤーの価格を外せ」。
2017年12月9日土曜日。午前9時半に仮想通貨交換業者のGMOコイン(東京・渋谷)のオフィスに、
当時社長だった若松剛史(38)の号令で主要メンバーが緊急集合した。同社が損失が無限に
膨らみかねない危機に直面していたからだ。ビットコインは前日に円建て価格が初めて200万円を突破。値動きも大きくなっていた。
損失の原因は午前8時半ごろに起きた取引所大手ビットフライヤー(東京・港)のシステム障害だ。
GMOコインは顧客の売りと買いを付け合わせる他の取引所と違い、自己勘定で注文を受ける。
価格は他の取引所価格から算出するが、ビットフライヤーの障害で更新が止まり、下落傾向だった
市場実勢から離れた。外部の投資家はすかさず、他の取引所でビットコインを買ってGMOコインに高い値段で売る「さや取り」に走った。

 ビットフライヤーを外す対応を取り、10時すぎに正常な価格に戻った。
その間に1億円程度の損失が出たようだ。「高い勉強代だった」。GMOフィナンシャルホールディングス社長の鬼頭弘泰(50)は振り返る。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26040270T20C18A1EA1000/