しかし、最も深刻なのは、メータパネルではありません。ボディ骨格の方です。

LEXUS LS、Mercedes S、BMW 7、AUDI A8を比較してみて下さい。
LEXUS LSだけが、200kgもの重量差があるのです。この差には、
愕然とさせられます。

欧州車はこの20年、必死に軽量化に取り組んできました。鋼・アルミ複合構造や
複合材料の導入。スポット溶接から、連続溶接+接着剤への転換等々です。
その歩みは、困難の連続でした。VW・ゴルフなぞ、製造コストの問題から
所定のモデルライフを早めてのフルモデルチェンジを2度も強いられています。
それでも 未来の自動車あるべき姿を目指して一大技術革新へと邁進し続けてきたの
です。

その間、日本車の骨格構造は「マイナーチェンジ」で足踏みしたまま、
欧州車の進化をただ傍観してきました。高張力鋼板の採用は進んだものの、
ハイエンドモデルでも昔ながらの鋼板製。漸く、構造用接着剤を導入が始まっていますが、
依然スポット溶接が主役です。

スポット溶接は、鋼板を重ねて「点」溶接を行いますが、接合面積が少ないため、
接合強度に劣ります。一方、連続溶接では突合せ溶接が可能なため、重ね代は不要な上に、
接合面積が広いため、高い接合強度を誇ります。そのため、日本車はこれを見越して「頑丈」
に強度設計を行わねばならず、その分重量が200kgも嵩むという訳です。

にも関わらず、頑なにスポット溶接を重用するのは、
生産性のメリットがあるからです。スポット溶接は「速い」ですが、連続溶接は兎に
角「遅い」のです。