「有価証券報告書の過少申告では、脱税がセットになってくる。一般的にウン十億円規模の脱税額なら、立件されれば一発実刑。とはいえ、ゴーン容疑者を刑務所送りにはできないだろう。
世論を考慮して起訴はするだろうが、保釈も認められるはず。ゴーン容疑者は直ちに日本を離れるだろう」

 保釈金の歴代最高額はハンナン牛肉偽装事件(2004年)の浅田満元会長の20億円。保釈金は事件の内容や被疑者の資産などによって決まる。財界関係者は「ゴーン容疑者なら
史上最高額更新は間違いない。見当もつかないが、50億円以上は堅いのではないか」と話す。

 保釈されると、裁判所の許可があれば海外旅行も可能。保釈金とは逃亡させない“人質”だ。逃げると保釈は取り消され、保釈金は没収。「数十億円をドブに捨てるわけはないだろう」
というのが一般的な考えだろう。

 だが、保釈金を支払ったゴーン容疑者が国内にとどまるとは考えられない。関係者によると、ゴーン氏は妻のいる米国のほか、フランスや幼少期を過ごしたブラジル、両親の祖国である
レバノンなどに不動産を所有する。

 この日、新たに日産の経費や投資資金を流用してオランダ、フランス、ブラジル、レバノンの4か国に不動産を購入していたことが判明。とりわけ国籍を持つレバノンでは英雄扱いされている。
逮捕を受け、レバノン外務省は「困難な状況にある彼が公正な裁判を受けられるよう力を尽くす」と異例の声明を発表した。

「言い方は悪いが、保釈されたゴーン容疑者がレバノンにたどり着けば、特捜部は何もできないし、レバノン政府がゴーン容疑者を守ることも考えられる。そうこうしているうちに“なあなあ”に
なるのが良いと考え、検察側も“海外逃亡”を黙認する可能性がある」(別の法曹関係者)

 この件では警鐘作家の濱野成秋氏も「(検察の一部が)ゴーンをそっと無傷で海外に逃がす準備を始めたと聞く」とした上で次のように語る。

「ここでもし、ゴーンを無傷で国外に逃がしたら、それこそ日本人の恥である。威信にかかわる。勝ち逃げを許すな。国税庁、検察、それから政府の判断ぶりを全国民はしかと確かめようでは
ないか。彼の脱税額は国によっては死刑に値する。日本でも直近の判例をみても実刑50年が妥当だ」

 特捜部のお手並み拝見だ。