持続化給付金 大学生グループが不正受給か ネットで詐取指南「簡単に手に入る」
2020年08月08日 05時50分

 新型コロナウイルスで収入が半減した個人事業主や中小企業への持続化給付金を、関東地方の大学生のグループが不正受給していた疑いがあることが、関係者への取材で分かった。
迅速な支給のため手続きが簡素化されている点につけ込んだとみられる。友人の誘いで不正受給に加担した大学生は警察の摘発を恐れ、被害弁済の手続きを始めたという。(井上真典、藤川大樹)

◆友人の大学生からSNSでメッセージ
 「持続化給付金が簡単に手に入る。君たちも申請すればもらえるからやってくれないか」
 関係者によると、4月下旬、関東地方に住む20代の大学生に、友人の他大学の男子学生から会員制交流サイト(SNS)でそんなメッセージが届いた。
友人は他にも首都圏の学生を十数人集め、インターネットのビデオ会議システムを使って受け取り方法を指南。「確定申告の書類を作れるやつがいるから、大丈夫」「あとは(その書類を)近くの税務署に出すだけ」などと説明した。

◆申請書類がPDFファイルで送られてきた
 大学生が住所や銀行口座などの個人情報を指南役の友人に知らせると、税務署に申請する書類がPDFファイルで送られてきた。
大学生は前年度、収入がなかったが、個人事業主として確定申告するよう言われ、収入があったと偽って最寄りの税務署で確定申告を済ませ、ネットで持続化給付金の受給を申請した。
 5月中旬、口座に100万円近い給付金が振り込まれ、当初の約束通り、大半を友人に渡した。後日、犯罪行為に当たると知り、国民生活センターや弁護士に相談した。
 大学生は現在、持続化給付金事務局のコールセンターを通じて被害弁済の手続きを進め、警察への自首も検討している。周囲には「友人を信じ切っていた。申し訳ない」と話しているという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/47721