日本学術会議の会員の選び方などを見直す法律の改正案について、政府は、今の国会への提出を見送ることになりました。学術会議との今後の議論で改正案の内容に理解が得られなければ、政府は、会議を国の機関から切り離して民間法人にすることも含め検討する方針です。

国の機関である日本学術会議について、政府は、会員の選考に関与する第三者委員会の設置などを盛り込んだ法律の改正案を、今の国会に提出する方針でした。

しかし、学術会議は「独立性が損なわれる」として、改正案に反対しているほか、立憲民主党の安住国会対策委員長も「これだけ当事者が反対する中で提出すれば、蛮行と言える」と述べるなど、野党側も反発を強めていました。

岸田総理大臣は20日、法案を担当する後藤経済再生担当大臣と協議し、これ以上、会議との対立が深まるのは避けるべきだとして、今の国会への提出を見送ることを決めました。

岸田総理大臣は「後藤大臣に対し、改めて学術会議と丁寧に議論し、早期に結論を得るように伝えた」と述べました。

政府としては、法案は、国の機関としての存続を望む会議の意向を尊重した内容で組織の独立性も確保されているなどとして、引き続き、理解を求めていく考えです。

一方で、会議側の理解が得られない場合には、国の財政支出など、会議が主張する要件も満たしつつ、国の機関から切り離して民間法人にすることも含め検討する方針です。

NHKニュース
2023年4月21日 5時14分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230421/k10014044421000.html