なぶり殺しにするつもりなのではないか──。ほとんど“詰んで”いるのに、かたくなに「大臣レクはなかった」「総務省の文書は不正確だ」と訴えつづけている高市早苗経済安全保障担当相。

 さすがに、自民党内からも「このままでは傷を大きくするだけだ」「タイミングを見て交代させてやった方がいいのでは」との声が上がっている。

 ところが、岸田首相は、23日の参院予算委でも一切、かばおうとせず、「捏造という言葉の使い方は、高市氏から丁寧に説明させたい」と、冷たく突き放している。まだまだ矢面に立たせるつもりだ。これまで4人の大臣を更迭しているが、高市氏は更迭もしない方針だという。

 なぜか内閣支持率が上昇している岸田首相は、機嫌がよく、最近「自分に取って代わって首相になれる議員がいるのか」「いま俺を辞めさせるヤツなんていない」と口にしているという。実際、いますぐ後を襲うような「ポスト岸田」は不在だ。

「岸田さんの強みは、いつのまにか強いライバルがいなくなっていることです。“ポスト岸田”が不在なら、“岸田降ろし”も起きづらい。岸田さんは、この際、有力な“ポスト岸田”になりかねない高市さんを、完全に潰すつもりなのではないか。高市さんが『文書は捏造』と主張していたのに、総務大臣が早々と『文書は本物』と認めたのも、岸田官邸がゴーサインを出したからではないか。都合がいいことに、高市さんが火だるまになっても、内閣支持率は下がるどころか、上がっている。岸田首相は、内心、ニンマリしている可能性があります」(政界関係者)

「ポスト岸田」への野心を隠さない茂木幹事長についても、岸田首相は抑え込む自信があるらしい。

「岸田周辺は、茂木さんの耳に入るように、意図的に『岸田首相は再選を目指さない』『総裁任期を迎える来年秋に退陣する』『後継は茂木さんだろう』という情報を流している。岸田首相が、安倍さんからの禅譲を期待して身動きが取れなくなったのと同じ構図をつくっています」(官邸事情通)

 連日、袋叩きにあっている高市氏は、岸田首相の術中にはまっているのではないか。

日刊ゲンダイ
23/03/25 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/320524