東京23区と大阪市の住民を対象に17日始まった新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け大規模集団接種のウェブ予約で、実際の接種券に記載されていない架空の数字を入力しても予約ができることを、毎日新聞記者が複数の数字で確認した。予約の対象は65歳以上だが、65歳未満となる生年月日を入力しても予約できることも確認。架空の数字を使って予約枠を「占拠」することもできるとみられ、予約システムの信頼性が問われそうだ。

 17〜23日の予約は東京23区と大阪市に住む65歳以上の人に限定されており、地方自治体から送付された接種券の6桁の市区町村コード▽10桁の接種券番号▽生年月日――を打ち込んで、希望日と会場を予約する仕組みだ。

しかし、予約システムが正常に機能するかどうかを検証するため、記者が防衛省のウェブサイトから、架空の市区町村コードに加え、架空の接種券番号の10桁の数字を入力すると、手順が進んで接種会場と時間帯の指定ができ、予約が完了した。65歳未満となる生年月日を入力して予約できることも確認した。記者が試した予約はすでにキャンセルした。

 この方法で予約をしても、実際の接種券の番号と一致しないためにワクチン接種はできないとみられる。しかし、この方法で何枠も予約が取れるとみられ、実際に接種を希望する人が、望んだ日時に受けられない可能性もある。

 防衛省によると、今回の予約システムは、予約画面で、市区町村から配られた接種券にある「市区町村コード」と「接種券番号」以外の数字を打ち込んでも、そのまま予約を進めることが可能な仕様になっている。市区町村の予約システムと連結しておらず、接種券番号の情報を収集していないためだという。同省はシステム改修の可否を検討している。同省人事教育局の担当者は「入力する人の善意に頼ったシンプルな予約システム。いたずらで予約されては本来必要な人の予約が取れず、ワクチン接種ができなくなる。絶対にやめてほしい」と呼び掛けている。【北山夏帆/デジタル報道センター、松浦吉剛】

毎日新聞
2021/5/17 18:47
https://mainichi.jp/articles/20210517/k00/00m/040/165000c