衆参両院の議院運営委員会は7日開かれ、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言再発令について西村康稔経済再生担当相から説明を受けた。野党は政府対応が「後手」で「小出し」だと批判し、自ら国会に出席しない菅義偉首相が説明責任を果たしていないと追及。営業時間短縮で損害を被る飲食店などへの支援充実を強く求めた。

 衆院の質疑で野党のトップバッターに立った立憲民主党の枝野幸男代表は、冒頭で「多くの国のリーダーは先頭に立って国民に直接呼び掛けている」と指摘し、首相の姿勢を「リーダーとしての自覚に欠けている」と批判した。

 共産党の塩川鉄也氏も感染の再拡大について、「社会全体の危機感が薄れたとすれば、責任は政府自身にあったのではないか」と指摘。さらに「(旅行需要喚起策)GoToトラベルに固執し大人数の会食を続けた首相の対応が、感染拡大抑止に逆行するものとなった」と西村氏に詰め寄った。

 参院でも立憲の吉川沙織氏が、緊急事態宣言により政府方針が感染防止最優先に転じたとして、「今まで首相は『感染拡大防止と経済活動を両輪として回していく』とおっしゃっていたから、本来ならここで首相が質問に答えるのが筋だ」と訴えた。

 首相に代わって政府方針を説明した西村氏だが、「担当大臣としてさまざまな事態を想定しながら対応してきた」「(政府の)分科会の提言を受けながら対応を進めてきている」と述べるにとどめ、首相不在の理由について説明はなかった。

 これまでの政府対応についても、政府が「勝負の3週間」と位置づけた昨年11月以降もGoToトラベルを続けたことなどを問題視する意見が相次いだ。枝野氏は「感染拡大防止より経済優先の姿勢が後手後手の対応を招いた」と指摘し、宣言の対象地域、業種の範囲とも「不十分」で、「制限を広く強くしてでも短期間で感染者を減少させた方が経済への影響は結果的に小さくなる」のではないかと訴えた。塩川氏は「今の協力金対応で時短に協力してもらえると思っているのか」と、飲食業界への更なる支援策も求めた。

 また日本維新の会の遠藤敬氏は、時短要請などの実効性を高めるため新型インフルエンザ等対策特別措置法への罰則規定を盛り込む改正は急務だと主張。「(政府は)補正予算が先だと(言う)。その間に爆発的な感染があった時どうするのか」と改正作業の加速化を求めた。

 これに対し西村氏は「専門家の意見も聞き今後の対応を判断していきたい」「必要な支援策を機動的に講じていきたい」などと釈明に追われた。

 首相の対応について野党からは「答弁能力が不安なので、国会に出てきたくないのだろう」(立憲幹部)との見方が出ている。【水脇友輔、野間口陽、立野将弘】

毎日新聞
2021年1月7日 18時57分
https://mainichi.jp/articles/20210107/k00/00m/010/226000c