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2020/05/08(金) 07:46:41.38ID:fyZMqaI79商業施設は軒並みシャッターを下ろし、多くの飲食店の店先には「臨時休業」の紙が貼られたまま。この日から営業を再開する動きも一部でみられたが、「6日まで」という休業期間を示す文字の上に赤線を引き、「収束するまで」と書く店もあった。
路地裏には、空き缶やごみが重なっていた。地元の人によると、東京都の要請に応じて多くの飲食店が休業し、店周辺を掃除する人も減ったためという。「ずっと休んでいるのが不安になった」と、この日から居酒屋を再開することにした佐藤豊さん(52)はこうこぼした。「いつも輝いていた新宿が、よどんでいるように見えるね」
NTTドコモのデータによると、6日の新宿駅周辺の人出は昨年の大型連休と比べて8割減。大阪・梅田や福岡・天神といった国内有数の繁華街も8〜9割ほど減り、にぎわいが戻る見通しは、いまも見えない。
「まだ、この状況が続くんですね……」
特別措置法に基づく初めての緊急事態宣言が4月7日に出されてから1カ月。都内の派遣会社に所属する川崎市の女性(60)は連休が明けても仕事がなく、自宅アパートで一人、不安で胸が押し潰されそうな日々を過ごしている。
家庭用品のメーカーから業務委託を受け、全国に出張して製品の展示会やショールームの運営にあたってきた。月収の平均は13万円ほど。しかし2月末、メーカーが入るビルで新型コロナの感染者が確認された。出張は禁止され、展示会もキャンセルが相次いだ。3月の収入は2万円。4月はゼロになった。
今後について派遣会社からは、「自力で切り抜けてほしい」と言われるだけだった。メーカーの担当者からは「5月から出社してもらって、また考えましょう」と説明されていたが、宣言が延長されたことで、5月中に仕事が入る見込みもなくなった。
家賃6万円と食費、光熱費……。4月は8万円ほどでやりくりした。それでも8千円だけ、友人から借りた。4月7日、「減収世帯への30万円給付」という支援策が閣議決定され、期待をつないだが、ラジオから流れるニュースで「国民に一律10万円給付」と変更されたことを知った。一人暮らしの女性の手から、もらえると思った20万円がすり抜けていった。10万円すら、いつ手元に届くかは分からない。
宣言の延長は「感染の拡大を止めるため」と理解しているつもりだ。それでも、やるせなさが募る。「政府は給付や融資の対応を『すぐにやる』と言うけれど、約束がころころ変わる。少しの遅れが、こちらには命取りなんです」
沈んだアベノミクス 悩み続けた首相
緊急事態宣言を決断した安倍晋三首相はこの間、揺れ続けてきた。
「やむをえない。これから先のことを考えていこう」。4月末、宣言を延長する腹を固めた首相は周囲にこう漏らした。政権が「アベノミクス」で演出してきた経済成長の勢いは、すでに失われていた。宣言を延長すれば、経済がさらに悪化しないか。首相はギリギリまで悩み続けた。
「人の移動を避けるためには、47都道府県(の枠組み)を維持しないといけない」。4月25日、非公式に開かれた政府の専門家会議で委員の一人が発言し、流れは大きく傾く。日本医師会や全国知事会が相次いで全国一律の期間延長を求める声明を出し、外堀は埋まった。
5月4日の記者会見。「宣言をさらに1カ月続ける判断をしなければならなかったことは、断腸の思いだ」。首相はそう語ったうえで、今後に言及した。
「ある程度の長期戦を覚悟する必要がある」
朝日新聞
2020年5月8日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN577GMYN56UTIL00S.html