新型コロナウイルスによる肺炎拡大を受け、大分県は4日、中国人旅行客の宿泊キャンセルに関する調査結果を公表した。中国人宿泊者が多い県内16宿泊施設のうち2施設で予約が全てキャンセルになるなど、大きな影響が出ている。

 調査は1月27日、同県別府市や由布市など6市町の「中規模以上のホテル・旅館」を対象に電話による聞き取りで実施。「営業への影響を考慮し」(県観光政策課)詳細な調査地やホテル名などは非公表とした。

 調査によると、2施設ではこれまで春節(旧正月)に合わせ予約の半数近くを中国人団体客が占めていたが、中国政府が団体旅行を禁止した影響などで全て予約がキャンセル。このほか「10〜20%程度の減少」が3施設、残り11施設は「5%未満」。

 同県日田市では1月25日〜2月2日、4施設で計94人の団体客がキャンセル。天ケ瀬温泉旅館組合の阿部信明組合長(60)は「春節は稼ぎ時。ダメージは大きい」と肩を落とす。

 県の観光統計によると、春節と重なった2019年2月の中国本土からの県内宿泊客は1万154人。日韓の関係悪化で韓国人客が激減する中、春節への期待は大きかった。広瀬勝貞知事は4日の定例記者会見で「韓国に続き今度は中国。集中的にアジアから誘客している施設もあり大きな痛手だ」と語った。 (岩谷瞬、笠原和香子)

西日本新聞
2020/2/5 6:00
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/581515/