大炎上中の統計不正問題。毎月勤労統計の賃金伸び率が昨年1月からハネ上がる原因となった「データ補正」は誰がどんな目的でやったのか。2015年から賃金が高く出るよう調査手法変更の議論が開始したのはなぜなのか――。国会には、そのキーマンがチョロチョロと出てくるものの、木で鼻をくくったような答弁の連続。国民の“心の残尿感”は募るばかりだ。

 18日の衆院予算委の集中審議で、酒光一章元政策統括官が、ようやく登場。本来、厚労省が全数調査すべき都内の500人以上の事業者への不正な抽出調査について、17年冬ごろに部下から報告を受けた“キーマン”のはずが、「抽出調査が行われているのはたまたま聞いた」とスットボケ。なぜ1月からデータ補正が行われたかについても、「私は全く分からない」とゼロ回答だった。

 酒光氏の後任の大西康之前統括官は8日の衆院予算委で、昨年7月の就任時に「抽出調査もデータ補正も知らなかった」と答弁。不自然なデータ補正を知り得た立場のキーマン2人が、共に知らぬ存ぜぬなのだから統計不正の闇は深まるばかりだ。

 そこで、さらに新たなキーマンとして浮上してきたのが、酒光氏に不正な抽出調査を報告した石原典明雇用・賃金福祉統計室長(当時)だ。実は、予算委初日の4日から既に野党は大西、酒光、石原3氏の招致を求めていた。与党も同意して一気に全員を呼べば、解明はもっと早く済むはずだ。それを、もったいぶってチョロチョロと出すから、時間もかかり、国民のモヤモヤ感も増すのである。

 一方、毎勤の調査対象事業所の変更を巡り、15年3月末、厚労省職員に「問題意識」を伝えた当時の中江元哉首相秘書官(現・財務 省関税局長)は15日に続き、18日も出席。野党に問題意識の伝達は官邸の指示か、圧力じゃないかと追及されたが、「私個人の考えを話した。安倍首相の指示ではない」と言い張った。この問題でも、当時、中江氏と接触した厚労省職員の招致を与党は見送りだ。

「15年当時、調査手法の変更に関する厚労省内の検討会で、政府の意に反し『変更の必要はない』と中間報告をまとめた阿部正浩座長についても、与党は招致に応じていません。余計な発言をされると困るからなのでしょうか」(永田町関係者)

2につづく

日刊ゲンダイ
2019/02/19
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