かねて防衛相としての入閣を望んでいた岩屋。「事実上『最後』となる安倍内閣で、派閥領袖の麻生副総理の推薦でねじ込んでもらった」(官邸事情通)のが実情だ。5日の記者会見では、新任の玉城デニー沖縄県知事が「米海兵隊訓練を海外に移転できれば、辺野古基地建設は不要」と主張したことについて「平素から(日米)合同で訓練する必要がある」と早速、官邸と足並みをそろえる主張を展開した。

 沖縄県で米軍による事件が頻発していたことを念頭に2002年に発足した日米地位協定の改定を目指す自民党議連に所属。副会長を務めた岩屋は当時、「(日米)互いの信頼のためにも改定する必要がある」と勇ましかったが、今月2日の就任会見では「協定のあるべき姿を不断に追及していく」と話すだけだった。

「岩屋氏は議連として米国に要望を伝えたこともあったが、聞き入れられなかった。当時の経験は“敗北”以外の何ものでもない。『もう恥をかけない』と、表立った発言は控えるしかないようだ」(沖縄県政関係者)

●2度の落選

 1957年、大分県生まれ。鹿児島県のラ・サール高校を経て、早大政経学部を卒業後、鳩山邦夫衆院議員事務所の秘書を務める。無所属で出馬した90年衆院選で初当選後、自民党に入党。93年に離党し新党さきがけの結党に参加したが、同年の衆院選で落選。96年衆院選では新進党公認で出馬したが、再度落選。「さきがけ時代から政治改革を標榜したが、浸透しなかった」(政界関係者)という。2度目の落選後、自民党に復党した。

●カジノ推進の旗振り役

 10年に発足した超党派のIR議連の幹事長に就任し、自民党のカジノPT座長も務めるなど、徹底したカジノ推進派。一方、「週刊文春」18年7月19日号で、米カジノ業者のパーティー券購入リストに岩屋の名前が記されていたことが発覚し、実際、14年からの2年間で計74万円のパー券を買ってもらっていたことが問題視された。

地元関係者を官邸に招き、階段にひな壇状に並ぶ“組閣ごっこ”の写真を15年8月、フェイスブックに投稿し大炎上。

「記念撮影自体はよくあることだが『SNSに投稿しないように』と関係者に注意喚起するのが普通。自分から投稿してしまうとは……ちょっと考えられませんね」(自民党中堅議員)

「勉強家」の評もあるが、脇はユルユルだ。

日刊ゲンダイ
2018/10/10 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/239118/