カジノを含むIR=統合型リゾート施設の整備法案は、19日午後、参議院内閣委員会で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決されました。法案は20日、参議院本会議で可決・成立する見通しです。

カジノを含むIR整備法案を審議している参議院内閣委員会は、19日の質疑に先立って理事会を開き、与党側は質疑終了後、直ちに採決したいと提案しましたが、野党側は「審議が深まっておらず、時期尚早だ」と主張し、断続的に協議が行われました。

その結果、同日午後開かれた理事会で、参議院野党第1党の国民民主党が、付帯決議を行うのであれば、採決するのはやむをえないという考えを示し、19日の委員会で採決を行うことが決まりました。

そして、法案の採決が行われた結果、自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決されました。

法案は施設の整備区域について、当面は全国で3か所までとし、最初の区域認定から7年後に見直すとしているほか、事業者に対してカジノの収益の30%を国に納付することを義務づけています。

さらに、カジノに関する規制として、入場料を6000円とし、入場回数は1週間で最大3回、4週間で10回までに制限することや、事業免許を不正に取得した場合の罰則などを盛り込んでいます。

19日の委員会では、施設の整備区域数の見直しは、経済効果や治安などの負の影響を検証して慎重に検討することや、ギャンブル依存症対策の実効性を検証し、必要な措置を講じることなど、31の項目を盛り込んだ付帯決議も採択されました。

これを受けて、参議院議院運営委員会の理事会は、20日の本会議で、IR整備法案の採決を行うことを決めました。

法案は、与党などの賛成多数で、可決・成立する見通しです。

自民 藤川氏「災害対応優先の思い受け止める」
与党側の筆頭理事を務める自民党の藤川政人氏は記者団に対し、「大変な採決だった。豪雨災害のさなかであり、災害対応を優先すべきだという思いは、われわれも、真摯(しんし)に受け止めなければならない。法案としての完成度が低いという声もあったが、付帯決議の内容を、政府にもしっかり申しつけたい」と述べました。

立民 蓮舫氏「急ぐ理由分からない」
立憲民主党の蓮舫参議院幹事長は、記者団に対し、「今の国会で無理に強行採決しなくても、次の国会で継続審議にすればいいと思っていたので、急ぐ理由がわからない。優先すべきは人命で、豪雨災害の被災地の対応を急げば、助かる人がいる。安倍政権や自民党と公明党の議員の考えは全く理解できない」と述べました。

国民 舟山氏「付帯決議にこだわった」
国民民主党の舟山参議院国会対策委員長は記者会見で、「『優先すべきは、豪雨災害の対応だ』という思いはあるが、数の力で強行採決される中、懸念事項を突きつけ、ブレーキをかけることしか野党には出来ないので、付帯決議にこだわった」と述べました。

一方、舟山氏は、採決の際に一部の野党議員が、委員長席に詰め寄り、抗議したことについて「委員長席のマイクを奪うことで、採決が無くなり、廃案になるのなら、喜んでやるが、聞き捨てならないようなやじなどの品格を落とす行為は、いくら反対であっても、同じ立法府の人間として、残念に思う」と述べました。

NHKニュース
2018年7月19日 18時31分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180719/k10011540021000.html