近江家 4月3日
─チュン チュン
しずく「ん…ふあ…」
彼方「すやぁ…zz」ムギュウ
しずく「…あぁ、かなたさん…」
しずく(わあ、すごく顔近い…)ナデナデ
彼方「えへへぇ…」zzZ
しずく(…かわいい)ナデナデ
彼方「付き合っていくってそういうものなんじゃないかなって思うしねぇ」
しずく「……彼方さん…」
かすみ「…彼方先輩ってすごいですよね」
璃奈「…うん、すごい」
彼方「んー……?ふふ…はぁい出来たよ〜♪食べよ食べよ〜」
ジュゥゥ…
────
──
─食後
愛「うーわ!結構食べたねーみんな…」
しずく「うー…おいしすぎてちょっと食べすぎちゃいました…ごちそうさまでした、それとありがとうございます、愛さん」
彼方「もんじゃ出そう〜…ごちそうさま〜」
かすみ「ごちそうさまでした…ていうか今日断トツで可愛くないこと言わないでくださいよ彼方先輩…」
璃奈「圧倒的満足…ごちそうさま」
从||๑><๑||从
愛「…ふふ、お粗末さま〜!あぁりなりー、口ついてるぞー」フキフキ
璃奈「ん…」
歩夢「…みんな美味しそうに食べるから、私までお腹空いてきちゃったなぁ」
愛「うん!愛さんもお腹空いてきちゃったよー…お店終わったら一緒に食べよーねー歩夢!」
歩夢「いいの?わぁ楽しみ」
彼方「…ふふ、じゃあ…彼方ちゃん達はそろそろ行こっかぁ」
しずく「…ん、そうですね」
愛「えーもう行っちゃうの?」
彼方「うんー、気付いたら夕方だし…彼方ちゃん達はあんまり遅くまで遊べないからねぇ」
歩夢「あ…そっか、明日お引越しでしたもんね、彼方さん」
愛「あっ、そっかそっか!」
彼方「そーそー、それにしずくちゃんの家もここから遠いしねぇ」
しずく「はい、それから私も明日演劇部の方で少し用事があるので…だから、ここからはお話でもしつつ駅まで歩こうかなって」
璃奈「…ごめん、もっと二人でいたかったよね」
彼方「んーん、一緒にわちゃわちゃできて楽しかったよ〜?」
しずく「ダブルデートっぽかったですしね」
かすみ「2人が満足ならいいですけど…」
しずく「うん、大満足だよ」
璃奈「後でしずくちゃんの発狂シーン、送っておくね」
しずく「…!撮ってたの!?」
彼方「璃奈ちゃんがっつり撮ってたよね〜」
愛「えーなになに?発狂シーンって」
しずく「く、食いつかなくていいですから…」
かすみ「是非見て欲しいです!ほんとに酷かったですから!」
しずく「さ、さっき謝ったじゃん…もぉぉ恥ずかしいなぁ…」
歩夢「S字開脚を越える恥ずかしさはないと思うけどね…」
しずく「それだけは真っ先に忘れてください」
彼方「発狂もS字もどっちもかわいかったよ〜?」
かすみ「発狂は百歩譲るとしてS字開脚がかわいいとか気は確かなんですか…」
彼方「あばたもえくぼというやつだよ〜」
璃奈「あばた扱いされてる時点で…」
愛「きゃははっ、まぁS字チャレンジが広まってる時点でみんな正気じゃない気がするけどねー!アタシは好きだけど!」
しずく「…はは、ありがとうございます…もう一刻も早く忘れてくださいね…」
jΣミイ˶º - º˶リ
彼方「ふふ、じゃ…もう行こっかぁ、しずくちゃん」
しずく「……ああ、はい。今日はありがとう。かすみさん、璃奈さん」
璃奈「こちらこそ」
从||^ᵕ^||从
かすみ「うん、またねしず子、彼方先輩も」
彼方「うん、2人とも本当にありがとぉ。またね〜?」フリフリ
しずく「ごちそうさまでした」フリフリ
愛「うんっ、じゃあねーっ」フリフリ
ガララ
ピシャリ
歩夢「……あ、かすみちゃん達はこれからどうするの?」
かすみ「んー、ここで少し休んでからりな子の家にお邪魔しようかなと思ってます」
璃奈「久しぶりのお泊まり会…」ワクワク
愛「いいなーりなりーん家!私も歩夢ん家とか泊まりに行こうかな!」
歩夢「愛ちゃん食器片そっか」カチャ
かすみ「華麗にスルーされてますけど」
愛「そういうとこもいいよね!」
かすみ「は、はぁ…そういうもんですか…」
璃奈「愛さん、ハート強いから」
愛「ふふん、ハートの強さは誰にも負けないからねー♪」
かすみ「羨ましいくらいポジティブですもんね…」
かすみ「…」
璃奈「…?どうしたの?かすみちゃん」
かすみ「…本当に良かったなぁって思って」
璃奈「…しずくちゃんと、彼方さん?」
かすみ「うん、彼方先輩が言ってたけど…2人なら失敗も怖くないって言えるのは素直にすごいなって…」
璃奈「…私も、かすみちゃんとなら胸を張って言い切れると思う」
从||>ᴗ<||从
かすみ「……そっか」
かすみ「…ふふ、うん…かすみんもそうかも」ニコ
ポツ ポツ
歩夢「あ…雨…」
─
──
何でこういうのってみんなくっつけようとしちゃうんだろうな
────
─
ザァァ
しずく「わぁぁ、本格的に降ってきちゃいましたね…」
彼方「予報になかったのにねぇ…屋根つきのベンチがあって良かったよー」
しずく「……ですね、通り雨でしょうし……少しのあいだ雨宿りしましょうか」
彼方「そうだねぇ、しずくちゃ〜んお膝かしておくれ〜」
しずく「ん、どうぞ?疲れちゃいましたよね」ポンポン
彼方「うーん…映画も…、買い物もしたし…ゲームもプリクラも…沢山したしねぇ…」ゴロン
しずく「最後のエアホッケーで大分体力使ってましたもんね」
彼方「あはは…2対2でやった時は本当に熱い戦いだったよ〜…」
彼方「まぁ、疲れちゃったけどぉ…すごく楽しかったな…」
彼方「何より…しずくちゃんの色んな表情が見れて良かったよ」
しずく「…私も、楽しかったですから」
彼方「うんうん」
しずく「でも…ここでこうしてのんびりするのもいいですよね」
彼方「……元々本当は、最後にこうしたかったんじゃないの?しずくちゃん」
しずく「えっ…どうしてそう思うんですか?」
彼方「しずくちゃんなら傘くらいスクールバッグに入れてそうだな〜って思って」
しずく「えっ…ぅっ…ばれてましたか…」
彼方「ふふ…なんとなくねぇ、まぁ時間もまだあるし…彼方ちゃんも今こうしたかったから…」
彼方「彼方ちゃんだって少しでも長く一緒にいたいもん」
彼方「だから、前にも言ったけどわがままくらいいつでも聞くよ〜?」
しずく「うぅ…はい、ありがとうございます…彼方さん」
彼方「…うんうん」
しずく「…なんだかこうして制服姿で膝枕してるの…虹ヶ咲に戻った感じがしますね」
彼方「彼方ちゃんもそう感じるなぁ…でも、この為に制服デートしたかったところはあるんじゃない?」
しずく「雨は流石に想定外でしたけど…それもありますね」
しずく「メインは彼方さんと制服デートしたかっただけなんです」
彼方「ご満足〜?」
しずく「はい、ご満足です」
しずく「…本当は、彼方さんが虹ヶ咲にいる内にもっと沢山…デートとか、膝枕とかしたかったんですけどね…あの日よりもっと早くに気持ちを告げて…」
しずく「諦めずにいたら変わったのかなぁ…なんて…時々考えてしまうんですよね」
しずく「…色々、遠回りになっちゃったのかもしれません…」
彼方「…あの時点で自分の気持ちに気付けなかった彼方ちゃんがいうのもなんだけど…きっとあの時しか無かったんじゃないかなぁ」
彼方「色々な出来事が重なって今があるんだと思うよ、やっぱり」
しずく「…そっか、そうですよね」
彼方「まぁ、これが遠回りになるんだとしたら…時には遠回りも悪くないなぁって思うよ〜」
しずく「…遠回りも悪くない…か…うん、確かにそうかもしれないですね」ナデナデ
彼方「んふふーそうでしょ〜?」
彼方「私はね、この特別な繋がりを…しずくちゃんとの繋がりを、すごく大切にしたいんだ」
彼方「だから…彼方ちゃんが進学先でこれから多忙になって、会える機会が少なくなっても…別れを受け入れようだなんて…そんな風に思わないで欲しいんだ」
しずく「っ…ど、どうして…」
彼方「ふふん、わかるよ〜?…きっと未だに…彼方ちゃんに対して負い目とか感じてるんだよね?しずくちゃんのことだから…」
しずく「………」
彼方「もう、私の前で雨を隠さなくていいんだよ」
彼方「この先しずくちゃんの上に大粒の雨が降るなら…彼方ちゃんはどんなに遠くにいても傘をさしに行くんだから」
しずく「…っ、急に詩人みたいなこと言うんですね」
彼方「えへへ〜、言ってみたかったんだ」
しずく「彼方さんの言う通り…いつか別れの日が来るかもしれないって思ってました」
しずく「その時はもう、受け入ようって…私は過去に彼方さんを傷付ける様なことをしたんだから…って」
しずく「でも、さっきの彼方さんの…一緒に間違えて、答え合わせして付き合っていきたいって言葉を聞いて…改めて気付かされました」
しずく「本当に大切に想って貰ってるんだなぁって…」
しずく「だから…私も、彼方さんに雨が降るならどこからでも傘をさしに行きます」
しずく「もう二度と彼方さんを雨で濡らしたくないですから」
彼方「お天気的な意味でも来てくれるー?」
しずく「…ぜ、善処します」
彼方「あはは、そっちは善処かぁ…」
彼方「でも…何でもない日はさ」ムクリ
しずく「……?」
彼方「実際に雨が降ってても…降ってなくても…いつでも雨宿りしにきてほしいな」ゴソゴソ…スッ
しずく「え…これ…え?鍵ですか…?」
彼方「お引越し先の合鍵…」
しずく「ど、どうして…」
彼方「…いつだってしずくちゃんに会いたいから」
しずく「…っ…かなたさん…」
しずく「ありがとうございます…うれしい」
しずく「でも、下手すると本当に毎日会いに行ってしまいそうなので…本当に雨が降った時だけにしますね?」
彼方「あははっ…そうだねぇ、彼方ちゃんも毎日来てくれたら帰したくないー!ってなっちゃいそうだから」
彼方「今から…雨が楽しみだなぁ」
しずく「梅雨時は毎日会えるかもしれませんね」クス
彼方「おおっ、確かに…!」
彼方「…でも、いつか一緒に住もうよ、しずくちゃん」
しずく「へ?」
彼方「どれくらい先の話になるのか分からないけど〜…しずくちゃんと一緒に住みたいなって、それで一生一緒にいられたらなぁ…なんて、ダメかな?」
しずく「…断る理由がないです」
しずく「是非、その時がきたら…迎えてくださいね?」
彼方「おお、やったぁ。勿論だよ〜!」
彼方「…約束だからねぇ?」
しずく「はい、約束です!」
しずく「それまでは、雨の日に訪問しますね」
彼方「ふふ、うんっ。やったぜ〜っ」ニコニコ
いつか未来の…かなたの約束を、私たちは雨の下で交わした
一生一緒にいようだなんて…まだ早い約束かもしれないけれど
私は彼方さんとの未来を約束出来たことがとても嬉しくて…幸せで、私と同じように喜んでくれる彼方さんが更に愛おしく思った。
しずく「……彼方さん」ズイ
彼方「…!……うん」
しずく「ん…」
彼方「…ん、っ」
しずく「っ…はぁ…」
彼方「…えへへ、久しぶりだね…」オデココツン
しずく「…ゎ…//」
彼方「もんじゃの味したけどね」
しずく「そ、それは言わなくてもいいじゃないですか…彼方さんだってしましたよ?もんじゃの味」スリスリ
彼方「マジかー…お互い様だね。ふふ、やっちまったぜ」ギュ
しずく「……」
しずく「……幸せ、こうしてるの」ギュウ
彼方「ん、彼方ちゃんも……ねぇ、しずくちゃん」
しずく「はい…?」
彼方「…大好きだよ」
しずく「へ…っ//は、はい…私も、彼方さんが…大好きです」 微笑
彼方「ふふ…嬉しい」
しずく「改めて言われるとちょっと、恥ずかしいですけどね…」
ポツ ポツ
……シーン
彼方「…おお、止んだねぇ」
しずく「…ですね…」
さっきの雨空が嘘のように、夕日が公園を照らす
夕日によって光る桜の花びらがとても綺麗で、見ていると幸福感も相俟って…自然とお互いの頬が緩んだ
彼方「あ…そうだ!しずくちゃん。もう一つプレゼント〜」ゴソゴソ
しずく「え?」
彼方「これ、彼方ちゃんのカーディガンだよ〜」
しずく「ええっ、いっいいんですか?」
彼方「うん、しずくちゃんに使って欲しいんだ。会えない間は彼方ちゃんだと思って欲しいなあ〜」
しずく「……じゃ、じゃあ…頂きますね?」
彼方「うん♪」
しずく「わぁ…あったかい…彼方さんの匂い…」ギュ…クンクン
彼方「っ、はっ恥ずかしいから嗅がないでしずくちゃん…//」
しずく「あ、あ…すみませんつい…でも、落ち着いちゃって…」
彼方「もぉ…」
彼方「…折角だからさ、着てみてよ〜」
しずく「い、今ですか?じゃあ…失礼して…」ファサッ…
彼方「……」
しずく「…どうですか?」
彼方「うん!ちょっと大きいかもしれないけどバッチり!」
しずく「ほっ…サイズ感は気にならないくらいですから、良かったです!」
彼方「折角だから…二人で写真撮ろっか?」スマホスタンバイ
しずく「!そうですね、撮りましょうかっ」
彼方「はい、にっこり〜」ズイッ
しずく「…」ニコ
パシャ
彼方「…うん、可愛い〜…ホーム画面にしとこう」スッ スッ
しずく「私にもくださいね?」
彼方「うん勿論!送っといたよ〜」
ピロン
しずく「わ…ありがとうございます。…ほんとにかわいく写ってますね、彼方さん…」
しずく(私もホーム画面にしよ…)スッ
彼方「…ふふ、しずくちゃん…改めて言うね?」
しずく「…?」
彼方「しずくちゃん、お誕生日おめでとう。その…生まれてきてくれて、ありがとね?」
しずく「っ!…うぅ…も、もぉ彼方さん!泣かせようとしてます…っ!?」
彼方「えへへ、ちょっとだけ狙っちゃった」
しずく「意地悪ですよもぉ…」グシグシ
彼方「でも、ちゃんと本音だよ?」
しずく「…だ、だから余計に泣きそうになるんですよ…もう…」
しずく「でも…本当にありがとうございます…彼方さん。私も彼方さんこうして一緒にいれて…生まれてきて良かったって思います」
彼方「……ふふ、良かったぁ」
彼方「…そろそろ、行こっか?」スクッ
しずく「ん…そうですね…」スク
彼方「手、繋ごう?」
しずく「ぁっ…はい」ギュ
その時…彼方さんから指を絡ませて、手を握ってきた
少し驚いたけど私もしっかり握り返して…そのまま公園を後にした
でもあと少ししたらこの手を離さなきゃいけない…
もっと、彼方さんと一緒にいたいな…
この時間はとても幸せ…だけど、歩を進めていくほど少しずつ憂鬱になってしまう。
毎日が今日だったらいいのに…なんてね。
彼方「………」テクテク
しずく「……あ、あれ?」テクテク
しずく「彼方さん?道間違ってませんか?」
彼方「んー?間違ってないよ〜?」
しずく「ええ…こっちの道の方が駅に近いですけど…」ユビサシ
彼方「うん、そうだけど〜駅まではこっちの道をこういって右に曲がって行った方がいいんだよ〜?」
しずく「ええ…全然知らない道なんですけど…そっちの方が近道なんですか?」
彼方「違うよ、しずくちゃん」
しずく「…?」
私の手を引きながら、迷わず前を進む彼方さんを不思議そうに見ていると、彼方さんはぴたりと立ち止まった
どうしたんだろう…そう思っている間に彼方さんはこちらを振り返って、微笑んで…悪戯っぽく呟いた
彼方「遠回りだよ」
お疲れ様!
とても良かったです
またかなしず書いてほしい
乙!めちゃくちゃ良かった
かなしずと遥ちゃんの距離感がすごく自分好みだったし、彼方ちゃんがちょっと達観した恋愛観なのも好き
乙!とても良かった
かなしずの続編も見たいけど、あいぽむ編も期待
素晴らしい…
二作とも好きだったので後日談感謝
それといつかあいぽむ編も書いてくれることを期待したい