ところで、2021年7月発売のBURST OF DESTINYは多くの決闘者達に衝撃を与えたラインナップであったが、
評価に精通したものであれば当然「相剣」罠と《クロニクル》のシナジーに気付いたのではなかろうか。
「相剣」罠は任意の場所から除外されるだけでレベル4チューナーを生成することができるのだから、
《クロニクル》を発動して「相剣」罠3枚を除外するだけで大量のチューナーを作り出すことができる。
このギミックは召喚権を消費せず、ほとんどの手札誘発に引っかからない点でも優れている。
当然、多くの決闘者がこのコンボを念頭に【クロニクル相剣】の構築に取り組んだものと思われるが、
残念なことにその結果は芳しくない。
【相剣】は墓地から展開できるデッキではなく、《クロニクル》の手札コストはあまりにも重いのだ。

では、【相剣】以外のギミックにチューナー以外のモンスターを供給させればどうなるか?
答えは簡単である。
手札0枚からモンスターを2体も3体も展開できるテーマならば、わざわざ《クロニクル》を使用せずとも
十分な盤面を築き上げられる。上振れ要因にしかならない《クロニクル》は不要……それが現代の遊戯王だ。
手札0枚から2体のモンスターを展開できる「勇者」ギミックを考えてみれば分かりやすいだろう。
相剣トークンによるエクストラデッキからの特殊召喚制限も厳しく、むしろ盤面が弱くなることさえありえる。
(そもそも大量の「相剣」罠カードが腐りつづけるのは現代遊戯王においては致命的と言える)
ゆえに、【クロニクル相剣】ギミックは可能性こそ秘めておきながら、ついぞ日の目を見ることなく、
長き遊戯王の年代記の果てに沈んでしまったのである。

そんな【クロニクル相剣】を深き闇から救い出したのは、年代記の最深に君臨する、かの伝説のカードであった。