「安心してください。この4月、5月、6月で余りあるくらい全部行き届くように(ワクチンの)確保をすることができました」

 遅々として進まない新型コロナワクチンの接種に国民が苛立つ中、そう胸を張るのは公明党の山口那津男代表(68)。5月19日に東京都内で開かれた講演会での発言である。他にも、

“海外からワクチンを入手できたのは公明党のおかげ”

“無料接種の実現も公明党の要求があったから”

“後遺症が出たときの救済措置も公明党の働き”

 と、まるでワクチンの成果は全て自分たちの手柄と言わんばかりだが、これにはとある事情が。

「彼らの頭を占めるのは、一にも二にも7月4日投開票の都議選です」

 と、都政担当記者。

「公明は現有議席数と同じ23人の候補を擁立していますが、いつものように全員当選が至上命令。ところが、支持母体の創価学会はコロナ禍における“人と人との接触自粛”の直撃を受け、活動が大きく停滞。6月にはワクチンが行き届くとの山口発言は、都議選に向けて学会員にエンジンをあたためておくよう訴える意味もあったのでしょう」

 高齢化が進む学会の実動部隊を東京に集めるためにも、ワクチン確保は不可欠だ。ある学会関係者が言う。

「実際、各地の都道府県組織では“都議選に協力を”と、緊急事態宣言解除後の“東京突入令”が出されています。ワクチン接種率が数%にとどまる中、強い焦りが窺えます」

 山口氏は、迅速なワクチン接種のため、自治体に接種会場の確保を要請しているとも宣(のたま)うのだが、

「学会は、3月に約400億円で大阪の結婚式場『太閤園』を購入。ああいう施設を率先して接種会場に差し出せば、学会の株も上がるのでしょうが……」(同)

 宗教団体の施設を接種会場に、というのは突飛な話ではない。

 今年4月、東京都杉並区にある立正佼成会の「法輪閣」が接種会場に指定されているのである。

 同会の広報いわく、

「新型コロナウイルス感染症の早期収束と地域社会に貢献する方針を示し、貸し出しが決定しました。杉並区との間で、災害発生時の帰宅困難者を受け入れる災害協定も結んでおり、地域における防災拠点の役割を担わせて頂いております」

 創価学会も負けじと、

「自治体からの要請に応じて検討します」

 と回答。

 全国の会館が接種会場となる日も近い? 

「週刊新潮」2021年6月10日号 掲載

デイリー新潮
6/14(月) 5:56
https://news.yahoo.co.jp/articles/ab52ccdaec4d6fa1e707474d8f871985f484823a