悔やんでも悔やみきれないのが新型コロナウイルスの自宅死だ。入院し適切な治療を受けていれば、助かった可能性があるからだ。感染拡大に見舞われても、何としても自宅死は食い止める――住民の生命と財産を守る首長の最低限のミッションのはずである。

 今週、コロナ自宅死の実態が次々と判明。最多は大阪だ。吉村知事はパフォーマンスでやってる感をアピールするが、ワースト知事であることが数字で示された。

 9日の毎日新聞は自治体へのアンケート結果を報じた。自宅療養・入院待機中に亡くなった人は「第3波」(昨年12月〜今年2月)が27人に対し、3月〜先月末の「第4波」は48人に急増。トップは大阪19人で兵庫16人が続いた。

 警察庁のまとめによると、コロナに感染し自宅などで体調が悪化して亡くなった人が、昨年3月から先月までで全国で少なくとも500人以上に上ったことが9日、分かった。先月は97人で大阪が24人と最多。兵庫12人、東京、北海道が10人だった。

 9日のアドバイザリーボードで公表された厚労省のまとめでは、2月〜先月末の自宅死54人のうち、大阪は15人で兵庫の6人を圧倒している。

 どの調査も大阪が最多である。4、5月、大阪は感染力の強い英国株に見舞われ、病床がパンク。希望しても入院できないコロナ患者があふれた。その深刻さが自宅死最多という結果で表れたのである。

 吉村知事は9日に1時間10分、10日は50分のぶら下がり取材を受け、記者の質問が尽きるまで対応した。ところが、「大阪自宅死最多」について、吉村知事に質問する記者は一人もいなかった。

■突っ込まない在阪メディア

 在阪メディアが吉村知事に甘いことは有名だが、これほどの重大ニュースをスルーするとはあまりに腰抜けだ。こんなメディアに囲まれているから、ワースト知事は過ちを繰り返す。

日刊ゲンダイ
21/06/12 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/290414