立憲民主、共産、国民民主、社民の野党4党は10日、国会内で党首会談を開き、菅内閣への不信任決議案の提出も視野に、16日までの国会会期を3カ月間延長するよう政府・与党に求める方針を確認した。だが、コロナ禍での衆院選に慎重な立憲の枝野幸男代表からは不信任案の提出に前向きな言葉はなく、他の野党からは「グダグダだ。不信任案が『さびた刀』になっている」と、煮え切らない姿勢に不満の声が上がっている。

 ◇野党4党首、延長要請方針確認

 枝野氏は党首会談終了後、会期延長についての回答を、訪英する菅義偉首相が帰国する14日までに求め、与党が拒否した場合は「新たな対抗措置をとる」と記者団に語った。「新たな対抗措置」の内容については明言を避けた。

 共産の志位和夫委員長は記者会見で「今日は、新たな対抗措置を講じるという以上の議論をしていない」と述べ、不信任案の提出は明示しなかったと明らかにした。国民民主の玉木雄一郎代表は「新たな対抗措置は当然、内閣不信任案だと思っているが、決まったことは枝野氏が発表された通りだ」と記者団に語った。

 不信任案を巡っては、自民党の二階俊博幹事長が、提出された場合について「ただちに(衆院)解散の決意はある」と述べて野党をけん制しており、衆院解散を誘発しかねないとの見方がある。

 枝野氏は不信任案について、5月10日に「現状で衆院解散・総選挙ができる状況ではない」と当面は提出しない考えを示した。その後、会期内の不信任案提出も「可能性はゼロではない」と軌道修正したが、与党から「コロナ禍の解散で政治空白を作るのか」と批判されることを警戒し、提出の大義名分づくりに苦慮している。

 立憲のベテラン議員は「そんなに解散が怖いのか。自分の過去の発言に縛られすぎだ」と枝野氏を批判。別の立憲議員も「会期延長しないなら不信任案という理屈は、永田町でしか通じない」と不満を漏らす。

 別の野党幹部も「不信任というのは水面下で調整して、刀をいきなり出すから意味がある。不信任が『さびた刀』みたいになる」とあきれ、「首相の帰国まで与党の回答を待つ必要はない。事前に与党に話を通しているのではないか」と指摘。野党第1党の迫力不足を嘆いた。【大場伸也】

毎日新聞
6/10(木) 19:40配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/1864f8bf03cba4c5b2df02d2072cfec800d14606