2020年12月10日午後。東京都港区にあるオフィスビルの一室で、経営者ら十数人を集めた「融資説明会」が開かれていた。金融機関の融資についての説明文書とともに、参加者にはなぜか自民党の入党申込書も配布された。司会者に促され、説明会の途中で姿を現したのは現職の自民党国会議員だ。議員が顔を出した理由は何か。毎日新聞はこの説明会の様子を録音した音声データを入手した。取材を進め、明らかになったのは――。(ログインした方は音声データを視聴できます)

 関係者によると、この説明会は千葉県のコンサルタント会社が主催したもので、融資のスキーム(枠組み)を紹介するとの名目で開かれた。

 司会を務めた同社代表は100%政府出資の金融機関の名を挙げ、融資スキームの資料を示しながら説明を始めた。「新型コロナウイルスの影響で返済が滞っている方も借り換えができます」「平均融資額は500万〜4000万円で金利は1%前後です」

 その上で、代表はこう強調した。「(金融機関の)担当者宛てに、弊社にご協力いただいている議員さんの秘書の方からお電話がかかります。この連絡が入って一般枠でなく別枠になります」

 議員秘書の電話で別枠になる――。突然の説明に参加者は疑問に思った。

 代表は配られた自民党の入党申込書にも触れた。「融資希望者や融資希望者を紹介する方には全員に書いていただいている。お金はかからないので気にしないで記入していただければ」「これを書けば、議員さんに強くお願いしやすくなるんです」

 代表に促され、外で待機していた男性が会場に入ってきたのは説明会から約30分が経過した後だった。その男性は…

毎日新聞
2021/6/8 12:00
https://mainichi.jp/articles/20210607/k00/00m/040/181000c