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“日本製品不買運動”が再燃

ラファエル・マリアーノ・グロッシ 〔PHOTO〕gettyimages

 日本政府が処理水を海洋放出すると発表した結果、最近和らいでいた“日本製品不買運動”に再び火が付いた。

 イーマートやロッテマートなどの大型マートでは「原発事故が起こった2011年から日本産の水産物は販売していません」と旭日旗にバツマークをつけた張り紙を貼り、商品の安全性を主張。ロッテ百貨店や新世界百貨店など大手デパートでも、ほぼ同時期から日本産の水産物は扱っておらず、今後も扱わない計画であると発表した。

 また、韓国の農協が運営するハナロマートでも「われわれの売り場では日本産の水産物を取り扱いも販売もしません」という横断幕を掲げ出した。

 韓国の農村経済研究院の発表によると、原発事故発生直後、韓国国内の水産物消費量は77.5%減少したとある。当時も今も日本産水産物は厳格な基準を超えたものだけが市場に流通しているのだが、それはともかく、韓国の各小売店は風評被害で大打撃を受けたわけだ。だから今回は先手を打って、消費者に対してこのようなアピールを行ったことになる。

 日本産の水産物を取り扱う水産市場では、放射線量を明示し何とか販売に繋げようと努力している姿が見受けられる。

 ソウル市内にある鷺梁津(ノリャンジン)水産市場では、日本産の水産物を対象に週3回、放射線量の測定を行っている。ただでさえ新型コロナの影響で売り上げが減少している最中、文在寅政権が日本の処理水放出に大反対したため、客足がさらに遠のいているという。

 文在寅政権は国際海洋法裁判所への提訴を検討していると公言したが、日本政府の決定は国際原子力機関(IAEA)からの支持を得たものだ。

 国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長は、「海洋放出はどこでもやっている。目新しいことではなく、スキャンダルでもない」と言及している。

 また、米国のプライス報道官も「この特別かつ厳しい状況で、日本は選択肢と効果を検討し、その決定に関して透明かつ国際的に受け入れられる核安全基準を満たしてアプローチを採択したものとみられる」と述べている。

 そして、アントニー・ブリンケン国務長官も「我々は、日本が福島第一原発から出た処理水を処分する決定をする上で、努力をしてくれたことに感謝する」と自身のツイッターに投稿している。

 国際原子力機関事務局長の発言通り、日本が予定している処理水の海洋放出はどこの国でも行っていることで、日本より濃度の高い処理水を放出している国も多くある。韓国もそのうちのひとつだ。

 韓国が放出している処理水よりも低濃度の処理水を放出するだけであり、国際機関からもお墨付きを得た科学的事実に基づいた方針であるにもかかわらず、文在寅政権が必要以上に騒ぎ立てたため、一般市民や企業にブーメランとなって返って来ているようだ。

 この構図は、2019年に日本が韓国を貿易管理上の優遇措置を受けられる“ホワイト国”から除外した時とよく似ている。この時は、韓国の航空会社などが倒産した。
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(略)