自民党の菅原一秀前経済産業相(58)=衆院東京9区=の秘書が代理で香典を渡すなどした公選法違反疑惑で、東京地検特捜部が秘書ら関係者を一斉聴取したことが分かった。やむを得ない場合を除き、大半は自身で弔問していたなどとして、特捜部は近く不起訴(起訴猶予)にするとみられる。

 不起訴になれば、刑事告発した市民は処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てるとみられる。

 菅原氏は昨年10月、東京都練馬区で行われた有権者の通夜で、公設秘書が香典を渡すなどしたと週刊誌に報じられ、経産相を辞任した。公選法は香典を議員本人が持参することは認めているが、秘書が代理で渡すことは禁じている。

 菅原氏は16日の記者会見で、秘書による香典の持参や故人の枕元に飾る枕花の提供が、2017〜19年に年平均で約30万円あったと説明。「9割は私自身が香典を渡していたが、海外にいたり国会で夜遅くなったりして、秘書に渡してもらうこともあった」と述べていた。

 特捜部は今月、菅原氏や複数の秘書らを集中的に聴取しており、捜査は最終段階に入っている。

 元事務所関係者は本紙の取材に、「菅原氏の指示を受けた秘書が、『衆院議員 菅原一秀』と書かれた香典袋に現金を入れ、通夜や葬儀に持参していた」と証言した。

東京新聞
2020年06月25日 02時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/37693