自民党の河井案里参院議員(46=広島選挙区)の秘書ら3人が、昨夏の参院選を巡り車上運動員に違法報酬を支払ったとして公選法違反(買収)の疑いで逮捕された事件で、案里氏の運動員経験者が広島地検に対し、案里氏が広島県議として4回目の当選を果たした2015年4月の県議選でも、同様の報酬が支払われたと説明していることが10日、関係者への取材で分かった。

報酬の法定上限は日当1万5000円だが、昨夏の参院選では倍額の3万円が支払われた疑いがある。案里氏の夫克行前法相(56=自民、衆院広島3区)の7回目の当選となった17年10月の前回衆院選でも、違法報酬疑惑が明らかになっている。地検は河井夫妻の選挙で3万円の支払いが常態化していた可能性があるとみて実態解明を進めているもようだ。

買収容疑の公訴時効は3年で、県議選は時効が成立している。

案里氏は03年に県議に初当選し4期務めた。この間の09年、知事選に出馬したが落選。昨年7月の参院選広島選挙区は自民党が2議席独占を狙い、新人の案里氏を擁立した。自民の現職溝手顕正氏、野党系無所属現職を含む三つどもえの戦いの末、溝手氏が落選した。

今回の事件では、案里氏の公設秘書立道浩容疑者(54)、克行氏の政策秘書高谷真介容疑者(43)、陣営元スタッフ脇雄吾容疑者(71)が参院選投開票日の約2カ月前、違法報酬の支払いを共謀して決めた疑いが持たれている。

広島地検は、既に河井夫妻を任意で事情聴取。克行氏は事実上、案里氏の選挙活動を仕切っていたとされ、夫妻が報酬支払いに関与したかどうか確認したとみられる。(共同)

日刊スポーツ
2020年03月10日14時00分
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