やはり私がネット上で予測していたとおりだった。4月30日、御代替わりを前に執り行われた「退位礼正殿の儀」で安倍晋三は、「天皇皇后両陛下には、末永くお健やかであられますことを願って……あらされますことを願っていません」と発言。失礼にも程がある。これについて、「願って已みません」を誤読したのではないかとの指摘が広がったが、その可能性はゼロに近いと私は言っておいた。云々(でんでん)、背後(せご)、腹心の友(ばくしんのとも)……。安倍が漢字が苦手なのは誰もが知っている。よって原稿は総ルビかひらがなだろうと。

 首相官邸は当初沈黙していたが、騒ぎが大きくなったためかツイッターで弁明。該当部分は「『や』みません」とひらがなであり、「一部」で報道されているような漢字の読み間違いではないとのこと。

 原稿の「あらせられます」を「あられます」「あらされます」と読んだのは滑舌が悪いからだろうが、「いません」の部分は滑舌とは関係ない。聞き取りやすく、そう発声している。よって、2つの可能性が考えられる。

@「願ってやまない」という日本語を知らなかったので、知っている言葉に勝手に置き換えた。要するに、重要な儀式にもかかわらず事前に原稿チェックも練習もしなかったということ。

A緊張して、つい本音が口をついて出てしまった。これは心理学の対象。

 どちらにせよロクでもない。これまでの安倍の皇室に対する姿勢も常軌を逸している。

 2016年8月、陛下(上皇)が「お気持ち」を表明されると、官邸は宮内庁長官の首をすげ替えた。明らかな嫌がらせである。また、安倍は震災被災者に寄り添う陛下のものまねをしてちゃかし、カーペットに膝をつきながら「こんな格好までしてね」と吐き捨てたという。これは亀井静香が明らかにしていたが、国民に寄り添おうとする陛下の存在が疎ましいのだろう。

 安倍は大統領制を唱えていた橋下維新(今はトーンダウンして首相公選制)と改憲でタッグを組む意欲を見せている。これが何を意味するのか、皇室を大切に思う日本人はよく考えたほうがいい。安倍にとって皇室は自分の支持を高めるための小道具に過ぎず、いみじくもトランプに説明したとおり、天皇の即位など「スーパーボウルの100倍」程度の価値に過ぎないのだから。

日刊ゲンダイ
19/06/08 06:00
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