毎日新聞が情報公開請求した結核の集団感染に関する自治体の記録には、これまで表に出ることの少なかった発症の背景や治療の経過まで詳細に記されている。そこから浮かんでくるのは、慣れない日本社会で病気と孤独感に加え、周囲の偏見に苦しむ若者たちの姿だ。
2016年5月、島根県江津(ごうつ)市の縫製工場で集団感染が発生した。同県の浜田保健所の記録によると、最初に発病したのは30代の技能実習生の女性だった。
「人にうつすので入院を」。通訳を介して医師から結核発病を告げられると、女性は目に涙をためながらうなずいたという。
女性は2年前の来日時には健康に問題はなかった。だが、同僚と3人1部屋の寮での生活は、敷きっぱなしの布団に雑魚寝、食事は皆で皿を回して食べるといった劣悪な状況だったことが記録から分かる。
1年ほどたち、女性はせきに苦しむようになったが、マスクをしながら仕事を続けていた。職場の健診がきっかけで結核と分かったが、既に他の11人にも感染は広がっていた。
入院すると、女性は周囲が心配するほど気落ちし、「お母さんと話したい」と号泣することもあった。一方、職場にも動揺が広がり、「ここにいると怖い。帰りたい」と泣く実習生もいた。
約1カ月の入院治療で、女性は周囲にうつす心配がなくなり退院した。だが、職場では差別が待っていた。
同僚に露骨に避けられ、食事はいつも一人。「帰りたい。お母さんが帰って来いと言っている」。しょうすいする女性に、工場の上司は「日本で薬をしっかり飲んで治さないと」と諭した。半年間の服薬治療を無事終えた。
記録からは工場側の苦労もうかがえる。実習生を派遣した団体から「結核患者が出たところには新たな実習生は送れない」と言われたという。
職場が支えてくれずに帰国させられるケースもある。18年春、香川県さぬき市の農場で起きた集団感染では、ラオス出身の20代の技能実習生の女性が入国から間もなく発病していたことが判明し、そのまま入院。半年後、退院と同時に母国へ帰された。
外国人らの診療に携わる結核予防会の高柳喜代子医師は「実習生の中には多額の借金をして来日しているケースもある。人にうつらない状態になれば通院治療ができる。治療しながら働き続けられるようにする必要がある」と話す。【熊谷豪】
2につづく
毎日新聞
2019年3月17日 07時01分
https://mainichi.jp/articles/20190317/k00/00m/040/003000c.amp
【外国人労働者拡大】敷きっぱなしの布団に雑魚寝 同じ皿を回し食事 結核発症の実習生
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2019/03/17(日) 09:06:48.31ID:lxuu7FhY9■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています