総務省行政評価局が行った「クールジャパンの推進に関する政策評価」の調査のうち、一部は総務相の承認を受けておらず、統計法違反に当たることが本紙の取材で分かった。同省は関係した行政評価局の調査責任者を口頭注意したが、不正の事実を公表していない。

 問題の調査は、行政評価局が二〇一六年四月から同年七月まで実施した。経済産業省が日本のアニメなどを海外に売り込むクールジャパン戦略を推進するため、アニメ作品の字幕を作成する企業などに費用の一部を補助する事業が適正かどうかなどを評価するために行われた。

 調査は国の行政機関が行う「一般統計調査」という種類で統計法上、行政評価局の職員が書面調査票を作成したあと、総務省政策統括官(統計基準担当)がチェックした上で、総務相の承認を受ける必要があった。

 不正が発覚したのは一七年春、総務省コンプライアンス室に内部通報があったからだ。同室から連絡を受けた政策統括官は問題だと指摘したが、その後の対応については行政評価局の判断に委ねた。行政評価局は再調査など必要な対応をしなかった。

 他府省庁が進める政策に税金の無駄がないか調べ、改善を求める立場の総務省が、自身に対して甘い対応をしていたといえる。

 行政評価局の調査責任者(当時)は本紙の取材に、不正について「意図的ではなく、うっかりしていた」と説明。後任の責任者は必要な対応をしなかった理由について「(誰からも)いけないと言われなかったのだと思う」と話した。

 官房秘書課は処分について「ルール上の懲戒処分にあたらなかったため、口頭での注意にとどまった」としている。

  (坂田奈央)

東京新聞
2019年3月8日 朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201903/CK2019030802000154.html