攻撃的な姿勢はマイナスイメージにも

 「安倍首相にとって、12年前に失脚したトラウマは相当大きい。だから今回は『何としても野党に勝つ』と既に戦闘モードに入っていて、その高揚感が態度に出ているのでは」と、鈴木さんは分析。そしてこう指摘した。

 「国会審議で首相が激高していては、質の高い議論はできません。多くの課題を抱えた中で、攻撃的な姿勢が多くなれば、逆にマイナスイメージとなって、参院選の勝敗に影響することもありえます」

 実際、17年7月には、東京都議選の投開票前日に東京・秋葉原で行った街頭演説で、「辞めろ」コールを叫ぶ聴衆に「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と声を荒らげ、都議選での自民の歴史的な惨敗の一因になったと指摘されている。

「計算した上での発言」

 一方で、国際医療福祉大の川上和久教授(政治心理学)は「『こんな人たち』は感情にまかせた発言だったが、今回は戦略的にやっている印象を受ける」と語る。「野党との対決姿勢をアピールして『野党は揚げ足取りをしている』というイメージを国民に植え付けようとしているのではないでしょうか。野党も戦略を練り直す必要があるかもしれません」

終わり