ネット右翼に足を引っ張られた佐喜眞候補【沖縄県知事選挙 現地レポ〜敗北の分析】
古谷経衡
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20181001-00098867/
【1】ドキュメント9・30
お通夜状態
佐喜眞氏と陣営にとって、あまりにも残酷で冷徹な夜
【2】デニー氏、史上最大の圧勝
宜野湾・石垣・宮古島以外の全ての都市でデニー氏に敗北
自民党が無党派層へ訴求すると睨んで沖縄に送った小泉進次郎氏を筆頭とする「総力戦体制」はこのように脆くも崩れ去った
【3】荒唐無稽な在沖縄ネット右翼活動家の蠢動
名護市長選挙に於ける渡具知武豊氏の勝利の方程式を踏襲した格好
外野
それは翁長前知事が健在であった時代から、反翁長(反オール沖縄)の姿勢を鮮明にして、主にネットやCS放送局などを利用して勢力を高めてきた在沖縄のネット右翼活動家達のことだ。
地元新聞とは「琉球新報、沖縄タイムス」の二紙を指す
「中国の沖縄侵略」ではなく「沖縄侵略隠し」を訴えているという点で、極めて陰謀論的世界観
沖縄に於いて中国の侵略が現に行われて居るが、「琉球新報、沖縄タイムス」の二紙がそれを故意に隠している、という主張を繰り返した
【4】『在日特権』から『中国による沖縄侵略』へ
巨大な既成のマスメディアが、重大な真実を遮蔽し、隠蔽している―という世界観を私は拙著『ネット右翼の終わり』(晶文社・2015年)の中で『マトリックス史観』と名付けた。
『在日特権』というデマゴーグ
いくら探しても『在日特権』を示す根拠が発見されなかったから
それに代わって登場してきたのが、『中国による沖縄侵略』というデマゴーグである。
BPO案件となった『ニュース女子』問題
【5】フェイクニュースとも戦ったデニー氏
「デニーが知事になると沖縄は中国にのっとられる」などと主張するようになった。
「インターネット上を中心に自身に関する事実誤認のデマが拡散しているとして、名誉毀損の疑いで那覇署へ刑事告訴の手続きに入った」
【6】ネット右翼が佐喜眞氏の印象を悪くしたのか?
却ってマイナスの材料になったのではないか?
「玉城デニーが知事になったら、沖縄は中国にのっとられます」
「玉城デニーが知事になったら、中国の工作員が沖縄を破壊します」
トンデモ陰謀論とも思える連呼とセットに佐喜眞氏を応援することで、常識的な感覚を持った有権者の多くは、むしろ佐喜眞氏へのネガティブイメージを持つに至ったかもしれない。
「親方思いの主倒し」
ネット右翼による「親方思いの主倒し」の典型
他でもない沖縄県民が一番よく知っている
【7】争点にすらならない「中国沖縄侵略説」
「工作員妄想」
「中国の沖縄侵略」とか「沖縄二紙の問題」は、有権者の中で争点にすらなっていない
実際には「保守」「ネット右翼」という自閉した巨大なサークルの中でしか通用しないジャーゴン(組織内言語)に他ならない。
佐喜眞陣営にとって痛打以外の何物でも無い。
【8】オウンゴールと沖縄民意の確定
「携帯電話料金を4割値下げ」など、知事の職権では実現不可能とされるアピールを行ない、後に修正したというオウンゴールもある。
中央政府は沖縄県民の民主的決定に従い、アメリカに対し「普天間基地の無条件返還」を突きつけるべきだ。
「唯一の解決策」という信仰を捨て去り、「民主的プロセスで辺野古移設は不可能になった」と中央政府はアメリカに通告する義務を有する。
【9】沖縄保守の静かな憤慨
「どうして、在沖縄のネット右翼活動家らを放っておいたのですか。却って佐喜眞さんの足を引っ張っただけじゃ無いですか」
「連中、星条旗と日章旗を一緒に掲げて中国の侵略がどうのこうのと・・・。正直、やめて欲しかった。勘弁して欲しかった。冗談じゃないよ」
静かな憤怒
害毒