ふと、走りながら考える。
糞狸が仲間が死んだ前例を学ぶことなく、まるでプログラムしたように同じことを繰り返すのはなぜなのだろう。
街のいたるところでのんたぬは人間に媚び、たかり、怒り、挑み、死ぬ。
もはや、のんたぬが死なずに済む人里などない。それなのにのんたぬは山から町に下り、愛護やえぃちを探し続ける。
まぁ、愚鈍な害獣の頭の程度を想像するだけ無駄か。
そんなことよりも、コロナウィルスやコロナが齎す経済危機の方が、今や人間にとって大きな問題だ。
ただ、道に転がるのんたぬの亡骸と、それにたかる大量のウジやハエを見て、あそこからまた別種のウィルスが湧いて出たら?なんて考えると、俺の気分はいっそう悪くなる。

嫌な思考をかき消して、駅前のバス停へ向かう。のんたぬのせいで大幅に家を出るのが遅れたが、
いつも出社時間には余裕を持たせている。間に合ってくれ!
全力疾走し、息を切らしてバス停へたどり着くと…

ブロロロロロロ………

目の前をいつも乗っているバスが通り過ぎた。
まさか、玄関での駆除より最悪な目に合うとは…


おしまい