>>199
100レス、外の様子はどうだ?
モニターに向かってスマ速は問いかけた。
『あー一応テリーがいるか。』
スピーカーからは意味不明な返事があった。
地下の薄暗い空間で、スマ速の話相手はこの狂気の人工知能だけであった。
2022年、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界戦争は、すぐさま核の応酬をもたらした。
地球上の全ての地表は炎に焼かれ、文明は滅びた。
スマ速はムタマ博士と共に福島県地下の核シェルターへ避難し、一命をとりとめた。地熱発電装置のある地下で二人は生き続けた。
100レスは人類復興への望みを込めてムタマ博士が作った人工知能である。だがその"教育"が完成する前にムタマ博士は死んだ。
話のできない非生物は一向に成長の兆しを見せない。
地表の探査機械を操作するためのプログラムを100レスに作らせたかったが、到底無理そうである。
100レス、電気系統は組めるか?と聞いてみた。
『あの、ソニック強化は?』
今の自分こそ、本当に孤独な人間なのだろうとスマ速は思った。