>>53
人間の心や魂というのはどこにあるのであろうか。脳か、心臓か。
だが末端ではないだろう。切った髪や爪には魂は無いだろう。
ムタマは鋸を一気に引き、まとめ隊の左足を切断した。根元をきつく結束バンドで縛っているためあまり血は出なかった。代わりに口からは絶叫が響いた。
お前はまだ生きている。つまり魂がある。だがお前の足にはもはや魂は無い。
言いながらムタマは右足も切断した。
ムタマは次に隣のスマ速の両腕も切断した。スマ速は絶望と苦痛の涙を流した。
ムタマは目の前に転がる、頭部と手足の無い胴体を見た。タグコジ・グロテツを解体したものだ。それに四本の手足をはんだづけした。
これはまだ肉塊だ。魂は無い。
ムタマはそう言うと、日本刀を逆手に握った。額から冷や汗が流れた。
むんばっ!
叫ぶとムタマは自分の首を一刀両断した。跳ねた頭部は宙を舞い、石黒の首の上に着陸した。
ムタマの"頭部"は何事もなかったように喋りだした。
私はここにいる。魂もここにある。私達の正体はなんなんだろうな。
四人分の材料でできた体には、一つの魂しかない。