かつてXRPは、通貨と通貨をつなぐ「橋」になろうとしていました。
異なる金融世界の間に横たわる川を越えるための中間資産。人々は、それを使えば世界中の通貨を効率よく行き来できると信じていました。

しかし、現実はすでに大きく変わっています。
Ethereumを中心としたEVM互換圏――Ethereum L1、L2、そして各種EVM互換チェーンが形成する巨大なエコシステムでは、もはや「川そのもの」が埋め立てられているのです。通貨も取引も、最初から同じ陸地の上で動いている。橋を架ける必要がありません。

USDステーブルコインとEURステーブルコインは、Uniswap、Curve、BalancerといったDEXを通じて直接交換されています。これらの取引はスマートコントラクトによって自動的に実行され、約定から清算、台帳更新までが完全にオンチェーンで完結します。特定の中間管理者も、専用のブリッジ通貨も不要です。

この仕組みを支えているのが、数百に及ぶDEXの流動性です。
Ethereum L1を中心に、L2やEVM互換チェーンに広がるDEX群は、アグリゲーターやルーティング用スマートコントラクトによって横断的に接続されています。その結果、流動性は複数のDEXをまたいで合成され、アルゴリズムが常に最も効率的な取引ルートを選択します。表面上は分散して見えても、裏側では一つの巨大な流動性プールとして機能しているのです。

そして、この巨大な流動性の中心にあるのがETHです。
ETHは単なる通貨ではありません。ガスとして必須であり、担保資産であり、DEXの流動性ペアの軸であり、価格発見の基準でもあります。ほぼすべてのDEXでETH建ての取引ペアが形成され、流動性は構造的にETHへと集約されていきます。
言い換えれば、かつてXRPが構想していた「通貨と通貨をつなぐ橋」の役割は、すでにETHによって内部から完成しているのです。

さらに、L1・L2・EVM互換チェーンを横断するこの巨大なエコシステムでは、ユーザー体験そのものも統合されつつあります。AgglayerやEILのような仕組みは、複雑な内部構造をすべて裏側に隠し、ユーザーには単一のEthereumを操作しているかのような体験を提供します。
開発者も同様です。EVM互換アプリを一つ作るだけで、この膨大な流動性とユーザーベースを最初から利用できる。結果として、Ethereum圏全体は「一つの巨大な大陸」として機能し始めています。

これは偶然ではありません。
ETHは投機ではなく実利用を通じて基軸性を積み上げ、L1・L2・EVM互換チェーン全体で不可逆的に定着しました。一方でXRPは、このEVM互換圏のネイティブ資産ではなく、DEX流動性の中心でもありません。仮に一部で流動性を形成できたとしても、数百のDEXとチェーンにまたがる合成流動性全体を置き換えるには、現実離れした資本と採用が必要になります。構造的に不可能なのです。

そして最も重要なのは、この構造がすでに金融インフラの領域にまで波及している点です。SWIFTでさえ、外部接続型の従来モデルではなく、この巨大なオンチェーン経済圏に歩み寄ろうとしています。ブリッジ通貨を挟む必要のない世界、ETHを軸とした大陸の上で金融が完結する世界は、すでに「構想」ではなく「現実」になりつつあります。

結論は明確です。
XRPが目指した「ブリッジ通貨」という役割は、すでにETHに奪われています。EVM互換圏という土壌において、XRPが基軸通貨や橋として存在する余地はほとんどありません。供給過剰のXRPは、基軸にもブリッジにもなれない。
それは期待や感情の問題ではなく、冷酷な構造的現実です。市場は物語では動かない。売れるうちに売られ、流れが変われば連鎖的に加速する――それが、これまで何度も繰り返されてきた現実なのです。XRPは早めに売ったほうがいいのです。