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XRPLにおける2025年2月の約64分間のネットワーク停止は、従来の「混雑」や「障害」とは本質的に性質の異なる、極めて深刻な事象であった。
この停止は、トランザクション負荷による処理遅延でも、明確な外部攻撃によるものでも、既知のソフトウェアバグとも断定されていない。原因が特定できないまま、バリデータからの validation が突如として出なくなり、台帳の承認そのものが完全に前進しなくなった。これは単なる処理の詰まりではなく、「ネットワークとして合意が成立しなくなった」ことを意味する停止であり、コンセンサスレイヤーそのものが機能不全に陥った状態であった。

さらに重大なのは、その復旧プロセスである。Ethereum の PoS や多くの BFT 系チェーンで見られるような、アルゴリズムによる自動的な最終収束は起こらなかった。XRPLでは、一部の UNL 運用者が人為的に「この台帳を正とする」と判断し、その台帳に全体を強制的に戻すという形で復旧が行われた。これはすなわち、最終的な台帳の正当性が、暗号学的・自動的に確定したのではなく、特定の運用主体による裁量判断によって決められたことを意味する。

そして、より深刻なのは事後対応である。64分停止について、Ripple社CTOである David Schwartz 自身が「正確な原因はいまだに分かっていない」と発言して以降、最終的な事故調査報告書や、恒久的な再発防止策は、現時点においても公式に確定・公開されていない。すなわち、この停止は、「なぜ起きたのか」「次に同じ事象が起きない保証はあるのか」という最も重要な問いに、いまだ明確な答えが与えられていない未解決の重大インシデントという位置づけにある。

そして問題なのは、このようなコンセンサス停止という本質的かつ根幹的な技術リスクが未解決のまま放置されているにもかかわらず、Ripple社が買収を次々と進め、事業拡張や影響力の拡大を優先している点である。 本来であれば、ネットワークの根幹に関わる重大障害について、完全な技術的説明と再発防止策の確定が最優先されるべきであり、それを曖昧にしたまま対外的な成長戦略だけを加速させる姿勢には、責任ある企業倫理の観点からも強い疑問が残る。

この一連の事象は、XRPLが抱える UNL 依存型コンセンサスの構造的な脆さ、すなわち「合意が自動的に確定せず、人間の判断介入によって初めて台帳の正当性が決まる状況が現実に発生し得る」というリスクが、理論上の懸念ではなく、実際に顕在化した事例であることを示している。同時に、技術的説明責任と企業としてのガバナンスの双方において、重大な課題を露呈した事件であったと言わざるを得ない。