匿名性に関してはDashとZcashが有名だが、どちらも取引のタイプに通常モードと匿名モードがあり、自分から匿名モードの取引を選ばない限りBitcoinと同じような完全に透明な取引になる。
そして実際にはほとんどのユーザが通常モードを選ぶため、匿名モードで取引をしてもカムフラージュに使える他のユーザ数が絶対的に少なくなってしまい、実質的には匿名性が機能しないらしい。

Dashでは一定額以上のコインを保有するユーザがMasternodeになる権利を持ち、MasternodeによってコインのMixingが行われるが、このMasternodeの多数が攻撃者によって占められることで匿名性が失われる懸念がある。

Zcashでは匿名モード取引機能がそもそも壊れていて使えないとか、匿名の取引を生成するのに必要な計算リソースが大きすぎる(8GBのメモリが必要)とか、
ブロックチェーンを開始する最初の最初にどうしても行う必要があるTrusted Setupという儀式がたった6人の仲間内だけで行われたこととか、懸念が山ほどあるらしい。
コア技術としてzkSNARKというゼロ知識証明に関する非常に新しい理論を使っており、もし理論が正しければ、ゼロ知識なのでMoneroのリング署名よりも匿名性は高いことになる(ミックス相手がブロックチェーン全体になるようなもの)が、
この理論が発表されてからまだ2年くらいしか経っておらず、本当に間違いが無いかは誰にも分からない。
またオリジナル論文(http://zerocash-project.org/media/pdf/zerocash-oakland2014.pdf)自体も非常に難解で(自分も読んでみたが理解できなかった)、創始者のZooko Wilcoxさえも技術的によく理解できていないらしい。
https://www.reddit.com/r/zec/comments/59xoi6/zooko_wilcoxohearn_i_dont_understand_how/

Moneroでは匿名モードでない取引というものが存在しない(オプションとしてビューキーや取引秘密鍵によって限定的に取引内容を第三者に証明する機能はある)。
コインをミックスするのにMasternodeのようなアクティブな仲介者に頼る必要はなく、Traceable Ring Signature (Fujisaki & Shimada 2006)という古典的な技術を使って、他の誰にも頼らずにミックスできる。
またRingCTという金額を隠す技術(元々Bitcoinの将来の機能として考案されたものをMonero用に改造したもの)を実際に運用する初めてのコインとなるので、これは暗号通貨業界ではかなり革命的なことだと思われる(年明け1月5日から)。

要するに、実用上はMoneroが最も匿名性の高いコインだと考えて間違いないと思う。