毎日新聞2017年8月19日 07時10分(最終更新 8月19日 10時16分)
https://mainichi.jp/articles/20170819/k00/00m/040/187000c
福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅を住人の元町議(88)に売却していた問題で、嶋野勝町長が早期売却に難色を示す当時の住宅課長を担当から外していたことが関係者への取材で分かった。早期売却を求める元町議との衝突を回避するため、住宅課長を排除するのが目的だったとみられる。
関係者によると、元町議は豪雨のため町営住宅近くの長浦川の護岸が崩れた2014年7月ごろから、住宅課長に再三にわたって早期売却を要求するようになった。行政財産は用途廃止をした上で町の取り決めに従って建物を解体して「普通財産」に変更するか、国土交通相の許可を得るかしなければ売却できない。住宅課長はその前提となる不動産鑑定も終わっていないことなどから早期売却には難色を示していた。
こうした住宅課長の対応に対し、元町議は同年8月中旬に町長室を訪れ、嶋野町長や住宅課長らに「売却が進まないのは住宅課長が悪い」などと叱責。嶋野町長は元町議らが立ち去った後、住宅課長に「元町議ともめるのは得策ではない。売却については係長に指示するので決まった内容には従ってほしい」と述べ、売却問題に関与しないよう指示した。
その後、住宅課の当時の係長が実質的担当者として売却手続きを代行。不動産鑑定はしたものの、売却に必要な普通財産への変更や国交相の許可取得などの手続きは踏まず、同年12月に土地を129万円で売却した。それ以前には土地の一部が県の護岸工事用地となることが決まっており、元町議は土地購入後に移転補償費約4600万円を受け取った。
住宅課長を担当から外したとの指摘について嶋野町長は「町長にそんな権限はなく、知らない」と否定。住宅課長は「組織の人間なので話せない」としている。【志村一也】
https://mainichi.jp/articles/20170819/k00/00m/040/187000c
福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅を住人の元町議(88)に売却していた問題で、嶋野勝町長が早期売却に難色を示す当時の住宅課長を担当から外していたことが関係者への取材で分かった。早期売却を求める元町議との衝突を回避するため、住宅課長を排除するのが目的だったとみられる。
関係者によると、元町議は豪雨のため町営住宅近くの長浦川の護岸が崩れた2014年7月ごろから、住宅課長に再三にわたって早期売却を要求するようになった。行政財産は用途廃止をした上で町の取り決めに従って建物を解体して「普通財産」に変更するか、国土交通相の許可を得るかしなければ売却できない。住宅課長はその前提となる不動産鑑定も終わっていないことなどから早期売却には難色を示していた。
こうした住宅課長の対応に対し、元町議は同年8月中旬に町長室を訪れ、嶋野町長や住宅課長らに「売却が進まないのは住宅課長が悪い」などと叱責。嶋野町長は元町議らが立ち去った後、住宅課長に「元町議ともめるのは得策ではない。売却については係長に指示するので決まった内容には従ってほしい」と述べ、売却問題に関与しないよう指示した。
その後、住宅課の当時の係長が実質的担当者として売却手続きを代行。不動産鑑定はしたものの、売却に必要な普通財産への変更や国交相の許可取得などの手続きは踏まず、同年12月に土地を129万円で売却した。それ以前には土地の一部が県の護岸工事用地となることが決まっており、元町議は土地購入後に移転補償費約4600万円を受け取った。
住宅課長を担当から外したとの指摘について嶋野町長は「町長にそんな権限はなく、知らない」と否定。住宅課長は「組織の人間なので話せない」としている。【志村一也】