0001名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/10(金) 18:14:09.66ID:4tkRF24K
「次、近江さんお願いします」
遥「…………」
「近江さん?」
遥「……近江遥です。よろしくお願いします。」
「……え、それだけ?」
遥「はい、すみません」
「……そうですか。……じゃあ次の……」
この教室にいる人間は、教壇に立つ先生以外は皆、えんじ色の陽気な制服を着ている。
その中で私ひとりが、制服と不似合いに、登校初日とは思えない程に暗い顔をしていた。
0056名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/10(金) 23:57:08.07ID:4tkRF24K
しずく『……私、どうしても学校に馴染めないの。周りの同級生も私のこと変だって言うし、私と遊ぶのはむずかしいからやだって言う』
しずく『……先生まで、もっと子どもらしくしたらって言ってきた。変な子、って感じの目で見てきた』
遥「うん」
しずく『これが私なのに……誰も分かってくれなかった』
しずく『春休みは楽しかった。嫌な人はまわりにいなくて、自分の好きなことをちゃんと好きって言えた』
しずく『でも学校にいる人は学年が変わっても変わらないから……』
しずく『それで、学校に行きたくなくて、お母さんが気分転換にお出かけに連れてってくれたの』
しずく『それで……』
遥「でも、それはしずくちゃんのせいじゃないよ」
しずく『だったらお姉さんのせいでもないよ』
遥「……」
0057名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/10(金) 23:59:26.89ID:4tkRF24K
しずく『お母さんは私に優しくしてくれたけど、もういない……』
しずく『そしたら、お姉さんが来てくれた。……そのままでいいって、したいようにすればいいって、お姉さんが初めて言ってくれた』
しずく『だから、お姉さん、私と……』
しずく『……』
遥「しずくちゃん?」
遥「……寝ちゃった……?」
今日一日、あれだけのことがあったのだから、仕方ないのだと思う。時計を見れば、とっくに日付が変わっていた。
ほとんど気絶のようなものかもしれないけど……。
遥「……おやすみ、しずくちゃん」
0058名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:02:41.27ID:5FXAO7ko
遥「……」
遥「……ああ、やっちゃった……」
目の前のテレビが、朝焼けに照らされている。
ベッドではなくソファで寝てしまったことで、身体はあちこちで痛みを生んでいるし制服はシワだらけだ。
遥「……制服っ!?」
そうだった、昨日家に帰ってきてから着替えることもしていなかったのだ。
遥「今日って写真撮影だよねっ!?」
遥「アイロンどこだっけ!?」
遥「っていうかお風呂入ってない!」
遥「ああもうっ!!」
0059名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:04:38.22ID:5FXAO7ko
ミナーサンオハヨウゴザイマス♪
遥「こんなときに誰っ!?」
遥「……しずくちゃん?」
遥「もしもし?どうしたの?」
しずく『……あ、おはようお姉さん。朝からごめんね』
しずく『昨日あのまま寝ちゃったから、謝りたくて』
本当にいい子だ。むしろ謝るのは私の方だと思うぐらいなのに。しずくちゃんの声にはまだ眠気が混ざっている。
遥「なんだ、そっか。大丈夫だよ。ちゃんと寝られた?疲れてない?」
しずく『疲れてない……ことはないかな』
遥「しずくちゃん、無理するのは絶対にダメだよ。私そんなことしたら怒るからね」
しずく『……うん、分かった』
0060名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:06:41.31ID:5FXAO7ko
遥「私こそごめんね、昨日は。しずくちゃんは悪くないのにあんな風に怒っちゃって……」
しずく『ううん、大丈夫だよ。私だって変なこと頼んでるって分かってるもん』
遥「ありがとう……あの、そのことなんだけど、もうちょっと考えさせてもらっていい?」
現実的には問題が多すぎる。ただの、それもなりたての高校生には出来ないこと、分からないことの方が多い。
しずく『いいよ。考えてくれるってことは、私と住んでくれるかもしれないってことでしょ?』
遥「いや、まあ、それは……そうなんだけど」
しずく『お姉さんは今日学校?」
遥「うん、そうだよ。写真撮影と身体測定……だったかな」
しずく『そうなんだ。頑張ってね』
遥「ありがとう、しずくちゃんもね。また明日」
0061名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:08:40.18ID:5FXAO7ko
遥「すみませんっ!遅れましたっ!」
「遅刻ですよ……え、近江さん?」
遥「……?はい、近江遥ですけど」
「……ああ、いえ、何でもないです」
遅刻して入った教室は、不意にざわついていた。
いや、私が入っていった後でざわつきはじめたというべきか。
理由が分からないまま、クラスメイトの不審な視線を集めながら、席に着く。後ろの席の人は昨日のように下を向いていて、更に顔を手で隠しているけど、可笑しそうにポニーテールが揺れているのが見て取れる。
遥「……なんなの……?」
0062名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:10:13.38ID:5FXAO7ko
「それでは、撮影場所に行きますので、付いてきて下さい」
先生の言葉に、各々席を立って教室の外に出る。
どうやら既にいくつかのグループが出来ているようだけど、そのどれもが私の方をちらと見ているのが分かる。
一体何だというのだろう。私が何かしたのだろうか。遅刻はしたけれど、それだけのはず。
「……あの、大丈夫ですか?」
遥「……っうぇえ!?……あ、すみません」
いつの間にか私の目の前に、顔があった。驚きで突拍子もない声を出してしまう。
「みなさんもう先の方にいますよ」
指さす方向を見やると、クラスメイトは既にかなり先の方を歩いていた。どうやら気を遣って声をかけてくれたらしい。
初めて見た顔で、初めて聞いた声だ。私より高い頭の向こうにわずかに見えるリボンからするに、私の後ろの席の人らしい。昨日私が自己紹介を聞いていなくて名前を知らない人だ。色々としずくちゃんに共通するところがある。
「行きましょう?近江さん」
向こうは私の名前を記憶してくれているらしい。釣り合わない関係に罪悪感を覚えて、何とか名前を思い出そうとする。
私の名字が近江なのだからせいぜいサ行から始まる名字のはず……。
0063名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:12:27.08ID:5FXAO7ko
「……あの、本当に大丈夫ですか?具合が悪ければ保健室に……」
遥「いえ、大丈夫です。本当に」
「そうですか、それでは行きましょう?」
遥「はい」
かなり離れてしまったクラスメイトに追いつくように、私たちは歩き出す。
……そうだ、名字など関係なかった。
この学校は席順を誕生日順で決めるのだ。私の誕生日は11月11日だけど、それよりも後に生まれた、なんて情報だけで名前を推測できる訳がない。
「時に、近江さんは何を考えていたのですか?」
遥「え?ええっと……」
遥「私、何かみんなに見られてますよね?どうしてかなー……と」
0064名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:14:27.46ID:5FXAO7ko
「……」
しばらくしても反応が返ってこないので、横を向く。
すると、いかにもお嬢さまといった雰囲気の隣人は、その容貌には似つかわしくない呆けた顔をしていた。
何か変なことを言っただろうか。そんなつもりはないのに。
遥「……どうされました?」
「……あの、それ、本気で言っているのですか?」
遥「はい?」
やはり変な発言をしたらしい。けど、全く心当たりがない。
遥「本気か本気じゃないかと言われれば……本気でしょうか」
「……そうですか」
「近江さん、もしかして二重人格だったりします?」
遥「は?」
0065名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:16:19.21ID:5FXAO7ko
「すみません、言葉を変えます。昨日の記憶はありますか?」
遥「ありますけど……?」
昨日はあれだけのことがあったのだ、記憶を無くすなんて考えられない。
「昨日の……学校での、記憶は、ありますか?」
遥「ありますけど……?」
なんなら目の前のこの人の記憶が一番多いくらいだ。それでも名前は知らないけど。
「……はあ……」
遥「なんなんですか?」
「昨日、近江さんがどんな様子だったか、よく思い出してみて下さい」
0066名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:18:11.83ID:5FXAO7ko
昨日の私……。
遥「……昨日の私、どんなでしたか?」
「この世の全てに絶望したような表情でした」
遥「そんなに酷かったですか!?」
「はい。それに対して今日は、なんというか……普通、です」
遥「はあ……」
「強いて言うなら、明るく活発で魅力的な方だなと、思います」
遥「そ、そうですか……」
いきなりそんなことを言われると思わず、面食らう……もとい若干引いてしまう。
遥「……え?」
0067名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:20:35.64ID:5FXAO7ko
遥「私が……明るく活発?」
「はい、わたくしはそう思いますよ」
遥「そう見える……んですね」
「おかしいでしょうか?」
遥「いえ、そんなことは」
……自分では全く気づいていなかった。
お姉ちゃんがいなくなってから、ずっとあんな調子だったのに、今日はいきなり活発に……自分で言うのも変だけど、かつての私みたいになっていたなんて。
「近江さん!」
遥「うあっ!?」
「また考え込んでいましたよ」
遥「すみません……」
「何を悩んでいるのかは分かりませんが、写真を撮るまで諸々のことは一旦忘れてはどうですか?そうしないと良い写真になってくれませんよ?」
遥「……ありがとうございます。そうします」
0068名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:22:16.72ID:5FXAO7ko
撮影場所には、この手の場面でお約束のようにみかける階段状の長椅子のようなものがすでに並んでいた。
私はこれがどうにも苦手だ。崩れないと分かってはいても、簡単にぐらつくので不安になる。これでもかというほど隣の生徒との間隔を詰めさせられるのも、居心地が悪くて好きではない。
台に乗ると、やはり足下が揺らぐ。同級生にまったく興味を持っていなかった私がここに並んでいていいのかと不安にもなる。
「近江さん!もうちょっと葉月さんの方に詰めてー!」
遥「葉月……」
「わたくしの方へ」
遥「……あ」
「どうやら、わたくしの名前を覚えてくれてはいなかったようですね」
そういってくつくつと笑う葉月さん。
こちらを向いて、バツ悪そうにしている私に改めて自己紹介をしてくれる。
「わたくしは葉月恋です。よろしくお願いしますね、近江遥さん」
それだけ言って前に向き直る葉月さんに、私も倣う。
いつの間にか揺れが止まっていたことに気づいた瞬間、シャッターが開く音がした。
0069名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:24:07.84ID:5FXAO7ko
写真撮影を終え、段から降りる。
改めて葉月さんと向き合い、挨拶をする。
遥「近江遥です。よろしくお願いします、葉月さん」
恋「やっと名前を呼んでくれましたね」
遥「あはは……すみません」
恋「いえ、わたくしも少し面白がっていましたから」
遥「そうなんですか?ひどいです……」
恋「正直に言えば、昨日の時点で誰の自己紹介もまともに聞いてはいないだろうなと思っていました」
遥「いや、あの……まあ、その通りなんですけど」
恋「ふふ……気にすることはありませんよ。人間ですから、そういうときもあります」
0070名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:26:14.63ID:5FXAO7ko
遥「ありがとう……ございます?」
恋「ずいぶんぎこちないお礼ですね……まあいいです。早く測定に行かないといけません」
遥「あっ、そうですね。体育館でしたっけ」
恋「はい、ですが、先に教室で着替えないと……」
遥「じゃあ、教室に行きましょう」
恋「ええ」
そう二人して廊下を歩き出す。
ところが、話題がなくなってしまって気まずい。何かないだろうか。
遥「……」
恋「……そういえば」
遥「はい?」
0071名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:28:14.12ID:5FXAO7ko
恋「明日は新入生歓迎会があるそうですね」
遥「新歓……ですか。何をするんでしょうか」
恋「……さあ?」
遥「ですよね……」
中学校のそれもなんとなく記憶にあるけど、体育館に上級生と一緒に集められて、何かの話を聞いて終わり、という程度のものだった気がする。
明日はまだ授業が始まらないけど、予定には新入生歓迎会としかなかったので、ある程度の長さがあるイベントなのだろうか。
遥「あ、でも……」
恋「どうされました?」
遥「私、明日は欠席なんですよね」
恋「……それはもったいないですね」
0073名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:30:56.56ID:5FXAO7ko
遥「もったいない?……何をするかは知らないんですよね?」
恋「はい。存じ上げません。……ですが」
遥「……?」
恋「母が言うには、とても素晴らしいものだ、ということでした」
遥「そうなんですね……あ、お母さまも東雲なんですか?」
恋「まあ別の学校の話ですが」
遥「ええー……」
単におしとやかな人かと思っていたけど、随分ユーモア溢れる人らしい。ユーモアと言うべきか自信が無いけど。
恋「というわけで、わたくしは楽しみにしていますよ」
遥「そんなものですか……。どっちにしても私は参加できないんですけどね」
恋「そうでしたね。明後日……は土曜日ですか。来週にわたくしが教えて差し上げます」
遥「じゃあそっちを楽しみにしておきますね」
0074名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:32:02.43ID:5FXAO7ko
恋「そういえば、ずっと気になっていたことがあるのですが」
遥「はい」
恋「ここって、東雲ではありませんよね?」
遥「……ここは、豊洲……ですね」
この学校は東雲学院と名前がついているけど、実際の所在地は豊洲だ。どこかから移転したとかなんとか聞いたことがある気がする。いや、それはまた別の何かの話だったか。
恋「やはりそうですよね」
遥「うーん……。まあ、お台場とか東雲とか、割と広く捉えられてそうですしね……」
恋「そういうものですか……。近江さんは近くに住んでいるのですか?」
遥「はい。そうですね」
恋「それで東雲学院なのですね」
遥「……まあ、そんなところです」
恋「……」
0076名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:34:31.74ID:5FXAO7ko
遥「……そういう葉月さんはどうなんですか?」
恋「わたくしは青山から」
遥「青山!?」
遥「え?東雲学院ってわざわざ青山から来るような学校なんですか?」
恋「まあこれだけ大規模ですし、有り得なくはないと思いますが……」
遥「いやいや!青山だったらもっと色々あると思いますけど!」
恋「……そんなこともありませんよ」
遥「……そうですか……?」
恋「……さ、早く着替えてしまいましょう」
遥「そうですね」
昨日帰りがけに見たのと同じ印象の葉月さんを、今日は初めて目にした。
0077名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:36:11.85ID:5FXAO7ko
遥「……」
体育館での検査を一通り終えて、渡された結果の用紙を睨んでいると、葉月さんが声をかけてくれた。
恋「どうしました?」
遥「……伸びてないんです……」
恋「身長ですか?」
遥「はい……葉月さんは……?」
恋「わたくしは163センチでした」
遥「いいなあ……」
恋「気にしているのですか?」
遥「せめて平均くらいは……」
0078名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:38:06.70ID:5FXAO7ko
恋「うーん……」
遥「……なんですか?」
恋「いえ、この年から伸びるのは少し難しいのではないかと」
遥「もー!」
恋「よいではないですか、身長が低いから子どもというわけではないのですから」
遥「……はい、そうですね。ありがとうございます」
恋「いえ、それでは次に行きましょう」
その言葉に応じて体育館を出る。校舎に戻ってきたところで、どちらへ向かうか決めていないことに気づいた。
遥「次は……好きなところから回っていいんでしたっけ」
恋「はい。……聴力検査ならここですよ」
遥「じゃあそうしましょう」
踏み込んだ瞬間、視聴覚室特有の香りや雰囲気と同時に、外とは明確に違う静寂に体を包まれる。穏やかな空気であるのに、厳格に静粛を求める状況に口を開けなくなる。
横を見ると、にこやかに微笑む葉月さんの顔があった。
現代的には、こんな時ならLINEでチャットでもすればいいのだけれど、葉月さんと初めて会話をしてまだ数時間も経っていない中で連絡先など交換しているはずもない。ここを出たら聞こうと思いながら列が進むのを待った。
0079名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:40:42.27ID:5FXAO7ko
遥「……ふう……息が詰まったなあ……」
恋「静かな空間もよいものですよ」
遥「そうですけど、いきなり会話を打ち切られると息苦しいです」
恋「ふふ、そうですね」
遥「葉月さん、LINE交換しませんか?」
恋「らいん……ですか?」
遥「はい」
恋「……らいんとはなんでしょう?」
遥「えっ」
0080名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:42:22.15ID:5FXAO7ko
遥「葉月さんLINE知らないんですか!?」
恋「すみません……。お恥ずかしながら……」
驚いた。今どきLINEを知らない女子高生がいるのか。
もしやスマホすら持っていないなんてことも……。
遥「え……っと、スマホは持ってますか?」
恋「一応持っています。……ただ、使い方がよく分からないので電話ぐらいにしか」
遥「……そ、そうですか。LINEを入れると、電話とかチャットとかが簡単にできるようになるんですよ」
恋「そうなのですね。よろしければお願いしてもいいですか?」
遥「はい、いいですよ」
0081名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:44:08.40ID:5FXAO7ko
遥「……はい、あとは私を友だちに登録しますね」
自分のスマホを取り出す。件のLINEの、しずくちゃんからのメッセージの通知が来ていることに気づいた。内容は明日の葬儀の詳細らしい。
遥「あ、すいません、ちょっと待ってください」
恋「はい、ご随意に」
了解したことと、もうすぐお昼という時間なのでちゃんとご飯食べてね、と伝えてから本来の目的を達する。
遥「これで使えますよ」
スマホを返すと、常ににこやかな表情の葉月さんは、さらに柔らかな色を浮かべていた。
恋「ありがとうございます。……おや、サヤさんの名前があります……なぜでしょう」
遥「サヤさん?……ああ、電話番号を知ってる人がLINEを使ってると自動で登録してくれるんです」
恋「本当に便利ですね……」
というか、そのサヤさんという人以外誰も登録されなかった。交友関係の狭さについては私も他人のことを言えないけれど。
0082名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:46:29.95ID:5FXAO7ko
私が怪訝な顔をしてしまったのに気づいたのか、葉月さんが説明してくれる。私が疑問に思ったことではなかったけれど。
恋「ああ、サヤさんというのはわたくしの家で働いてくれているメイドで……」
遥「メイドがいるんですか!?……あ、すみません、つい大声を」
恋「構いませんよ。これを言うと多くの方がそういう反応をされますから」
恋「……ああ、いえ、もうメイドではありませんね。同居人といったところでしょうか」
メイドが同居人になる、というのは一体どういう事情なのだろうか。理由は気になるけどさすがに気が引ける。なんとか顔に出さないように思いとどまった。
遥「葉月さんがなかなかすごい人なのはよく分かりました……さ、行きましょう!」
恋「はい、そうですね」
0083名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:48:42.39ID:5FXAO7ko
手元の光を視界の端に捉えてスマホの画面に目を向けると、しずくちゃんから返信が来ていた。早めだけど、もうお昼は食べたらしい。とりあえずは元気そうでホッとする。
恋「……近江さん、笑顔が素敵ですね」
遥「いきなりなんですか!?……え、私笑ってました?」
恋「はい、それはもう」
遥「……そっか、そうなんですね」
何かに気づきそうになった頭に、軽快な、けれど休憩中でもない学校という場には不釣り合いな通知音が飛んでくる。私のスマホはサイレントモードにしているから……。
恋「……あ、わたくしですか」
遥「学校にいる間は音、切っておいた方がいいですよ……」
恋「そうですね。……あ、サヤさんからです」
遥「……」
恋「……あの、どうやって返信すればよいのでしょうか……」
何に気づきそうになったのかが分からず集中できないながらも、一通りスマホの使い方を教える時間は楽しかった。
0084名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:50:46.21ID:5FXAO7ko
他のクラスメイトよりも早く一通りの検査を終えて教室に帰ってきた私たちは、他に誰もいない教室で制服に着替えた。
恋「……あの、つかぬ事を聞いてもよろしいでしょうか?」
遥「なんですか?」
恋「近江さんは制服は2着お持ちなのですか?」
遥「……?いえ、これ1着ですけど……?」
恋「そうなのですか。……あの、昨日と比べて随分くたびれていませんか?シワがいくつか見えていますし、若干汚れがあるような……」
遥「ああ……」
それは仕方ない。昨日の今頃はまだ新品同様だったこの制服は、雨の中転んで地面に打ち付けられ、その後しずくちゃんを抱きしめている間10分ほど雨ざらしになり、その後も自然乾燥に任せ、やっと家に帰った後も着替えることを忘れて、挙げ句の果てにそのままソファで寝てしまったためにシワが付いて汚れが付いてくたびれまくっている。朝からアイロンをかけてはきたけど、一度クリーニングに出さなければどうしようもないと思う。
遥「昨日は……その、色々ありまして」
色々のひとことで済ませたけれど、改めて異常な経過だと実感する。
0085名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:52:39.24ID:5FXAO7ko
恋「……もしかして、昨日東雲であった交通事故ですか?」
遥「……!」
なぜ分かるのかと驚いたけど、昨日そのニュースをやっていたのは私も見たのだ。知っていても不思議はない。
恋「やはりそうなのですね」
遥「……明日、葬儀なんです。その事故で、亡くなった方の」
恋「明日は欠席というのは、そこに参列されるからなのですね」
遥「はい」
恋「……でも、おかしくありませんか」
遥「?」
恋「どのように関わり合いになったのかは存じませんが、そのような事に巻き込まれたのなら、なぜ近江さんは昨日よりも明るく振る舞っているのですか?」
遥「……!」
遥「……それは……なんででしょうかね」
恋「近江さんがよければ、詳しく話してみませんか?」
遥「……そうですね……」
0086名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:54:30.35ID:5FXAO7ko
恋「それで、迷っているのですね。しずくさんと暮らすかどうかを」
遥「はい」
恋「……そして、本心では、共に暮らしたいのですよね?」
遥「……」
その問いには返答できない。それを口にすると、全てが決まってしまいそうで勇気がない。
恋「……先ほど、サヤさんはもうメイドではないとわたくしが言ったのを覚えていますか?」
それはもちろん覚えている。ああも印象的な言葉をそうそう忘れられる訳はない。言葉の代わりに軽く頷いた。
恋「……わたくしの家の近くに、かつて神宮音楽学校というのがありました」
遥「……はい?」
聞いたことのない名前だ。もちろん東京都内にある学校なんてあまりにも膨大で、知らない物の方が多いに決まっているけど。
恋「神宮音楽学校は既に廃校になっています。そこに通っていたわたくしの母は、幸か不幸か、資産家の家の子でした」
それは確かに違和感がない。目の前の葉月さんはいかにもお嬢さま然としているし、メイドを雇っていたという言葉とも符合する。
恋「母は、学校を結ヶ丘と名付けて再建しようとしました。ですが、その願いは叶うことなく、また、元々病弱だった母は、2年前、帰らぬ人になりました」
遥「……」
0087名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:56:23.76ID:5FXAO7ko
恋「わたくしも母の通っていた学校に、結ヶ丘に通いたいと思っていました。ですがそれが不可能だと決まって、わたくしはむしろ、結ヶ丘を思い出すことのないように、結ヶ丘とは全く違う学校に行こうと思いました。それが東雲学院です」
恋「東雲は海が近かったり、制服がえんじ色だったり、神宮音楽学校とは大局に位置するような学校ですからね」
遥「それでさっき、青山なら学校なんていっぱいあるんじゃないかって私が言ったとき、そんなことないって言ったんですね」
恋「おっしゃるとおりです」
恋「そして、学校の再建のために資産の殆どを使っていた葉月家は、その外見とは裏腹に、生活に余裕があるとは言えない状態でした」
恋「母亡き後……いえ、割と最近のことですが、わたくしの家に元々仕えてくれていたサヤさんにお給金を払うことすら出来なくなってしまいました」
恋「サヤさんはタダ働きでもいいと、この身に余る光栄なことを言ってくださいましたが、そんなことは出来ません」
遥「それで、もうメイドではない……ということですか?」
恋「はい。わたくしは、本当に一人で生活していくつもりでしたが、世間知らずなわたくしにそんなことは出来ませんでした」
0088名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 00:58:40.29ID:5FXAO7ko
それはそうだと思う。人のことは言えないけど、現代でスマホひとつ扱えないのでは相当苦労することだろう。
恋「そこで、わたくしは主従の関係ではなく、対等な同居人として共に生きていただけないかと提案しました。ありがたいことに、サヤさんは快く受け入れてくださいました」
恋「対等とは言っても、わたくしは物を知らず、まだまだサヤさんに頼り切りなところが多いのですが」
恋「……ですからおふたりも、支え合っていけば、きっと大丈夫ですよ。……それに」
遥「……それに?」
恋「わたくしも、頼りないながら、お力になりますよ」
そう言って、同い年で、誕生日だってそう変わらないはずの葉月さんは笑顔を浮かべる。私にはまだまだ真似できない、けれどいつか辿り着きたい、そんな大人の表情だった。
遥「……はい!」
0089名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:00:26.73ID:5FXAO7ko
遥「……あの、どうして私に話してくれたんですか?すごくプライベートなお話なのに……」
恋「昨日見たあなたの様子が、かつてのわたくしを見ているようだったからですよ」
顔を伏せられたあの時、葉月さんはそんなことを考えていたのか。
私もしずくちゃんにとって、こんな頼りがいのある大人になれるだろうか。
遥「ありがとうございます。……昨日は、お姉ちゃんと同じこの学校に来たのに、お姉ちゃんがいないから、ああなっていたんです」
恋「お姉さんというのは……」
遥「亡くなりました。……私がここに合格したことを伝えた数日後に。生きていれば今この学校の3年生でした」
恋「そうですか。……大切な人なのですね」
遥「はい。とっても」
0090名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:00:59.09ID:5FXAO7ko
遥「葉月さん、今日は本当にありがとうございました!」
恋「いえ、どういたしまして。明日は頑張ってくださいね……というのも変でしょうか」
遥「あはは……そうですね。私に出来ることをしようと思います」
恋「それでいいと思いますよ。それではまた来週」
遥「はい、また!」
0091名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:03:06.71ID:5FXAO7ko
朝のひんやりした空気に包まれたベイエリアをひとり歩いて、通勤ラッシュにはまだ早い駅を目指す。
本来なら学校が始まるくらいの時間には鎌倉に着くはずだ。
遥「……まだ寒いなあ……」
午後からは暖かくなるという予報の言葉を信じて厚着せずに来たのだ。その信頼を裏切らないで欲しい。
朝っぱらから礼服を着て、しかも女子高生がひとり、鎌倉まで1時間弱の間電車に乗っていたらさぞ目立つことだろう。制服のある中高生ならばそれが正装という一般常識が、えんじ色で大層目立つ東雲学院の制服にも適用されることを改めて祈りながら改札を通る。
10分弱で到着するはずの電車がなかなか来ずにもどかしい。時刻表と時計を照らし合わせても、遅れは特にないようだった。
しずくちゃんはまだ寝ているだろうか。私が行くまで起きなくてもいいよね。
『お待たせいたしました。1番線に、各駅停車、大崎行きが参ります……』
0092名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:05:24.53ID:5FXAO7ko
定刻に来た遅い電車に乗り込み、誰も座っていないシートの端に腰を下ろす。
鞄を置こうと隣を見て、やはり膝の上に載せたままにする。次に乗るときには、なんて考えて。
いつの間にか発車していた電車の規則的な音と揺れについ眠りそうになる。
まどろみながら、途中の駅で、ある刑事ドラマの音楽を使った発車メロディを耳にして、また事故のことを思い出した。
犯罪に対して直接被害者がすること……あるいは、出来ることはほとんど無いとも聞く。
しずくちゃんがこの先どう向き合っていきたいかは知らないし、分からないけど、少なくとも傍に寄り添えればいいな。
そんなことを考えていた。
『……JR山手線、JR湘南新宿ライン、JR埼京線と……』
どうやらもうすぐ乗換駅のようだった。
0093名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:07:19.65ID:5FXAO7ko
埼玉からやってきた、いかにも東京と神奈川を繋いでいるという名前の路線に乗り換えると、そのうちに東雲近辺では見られないような住宅街に景色が変わる。
それで、田舎と言っては語弊があるけど、だんだんとしずくちゃんの生きてきた場所に近づいている錯覚のような実感を得る。
けど、私の予測を裏切るように、しばらくは都会の景色が続いて、見慣れたようで目新しい景色をそれでも新鮮に思って眺めていた。
通学の時間になってきたのか、初めて見る制服姿の高校生が目立つようになってきた。
私の明るい礼服はやはり、どうにも目立っているようで、落ち着かない気分になってしまう。
そのうちに、いかにも郊外といった風情の景色を経由して、緑豊かな世界に潜り込んでいく。建物にも徐々に古の色が混じり出す。
鎌倉駅はすぐそこだ。
0094名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:09:08.13ID:5FXAO7ko
鎌倉駅から、ほとんど使ったことのないタクシーを使って斎場に向かう。
女子高生一人が乗り込んできたことで珍奇なものを見る目を向けられたけど、行き先を告げるとおおよそ納得した風だった。
遥「おはようございます」
「おはようございます。朝早くからありがとうございます」
遥「いえ、お気になさらず……しずくちゃんは?」
「まだ寝ています。やはり疲れているようで」
遥「そうですよね。まだ寝かせておいてあげましょう」
「ありがとうございます」
しずくちゃんが目覚めるまで諸々の準備を手伝うことにした。
0095名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:11:19.89ID:5FXAO7ko
遥「……あの、すこしよろしいですか?」
「なんでしょう?」
遥「どうして私だったんですか?私ただの高校生ですよ?」
「……あの子がなついていたからです」
「あの子自身から聞いたと思いますけど、あの子が気を許せる人は本当に少なくて、私も姉もどうにかしてあげたいと悩んでいたんです」
「なのに姉がいなくなってしまって、どうやってこの子を幸せにしてあげられるのかと思っていたときに、あの子がああ言ったものですから……」
遥「なるほど、そうでしたか」
「……あの、お願い、できますか?」
遥「……しずくちゃんが、私でいいなら」
30分ほどして、葬儀社の人がやってきて少し騒がしくなる。しずくちゃんはその頃に起きてきた。
0096名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:13:34.17ID:5FXAO7ko
しずく「……おはよう……」
いかにも眠そうな声で朝の挨拶をする彼女。私は挨拶を返しながら向かう。
遥「おはよう、しずくちゃん」
しずく「……お姉さん。おは……」
しずく「……なんで抱きしめてるの?」
遥「うーん……なんとなく?」
しずく「お姉さんそんなキャラだったの?」
遥「んー……」
しずくちゃんと初めて会ったおとといまでが特殊だっただけで、本来の私は割と社交的な人間だ。目覚めたばかりの人間を抱きしめることが社交的といえるかはともかく。
なんなら同じようなことをおとといもしている。
お姉ちゃんはよく私にこうしてくれた。お姉ちゃんがしたかっただけだと思うけど、私もそれで幸せだった。
0097名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:15:18.88ID:5FXAO7ko
遥「突然ごめんね。……イヤだった?」
しずく「ううん、そんなことない」
遥「ありがとう。しずくちゃんにそう言ってもらえてうれしい」
そう言って離れた。
あらためてしずくちゃんの顔を窺う。少し寂しそうな色が浮かんでいるのは、私にか、それとも……。
遥「しずくちゃん、私が傍にいるからね」
しずく「……うん、ありがと」
遥「……手、つなぐ?」
しずく「うん」
大人びていても年相応に甘えられる様子にホッとする。
手を繋いだままでは何も出来ないけど、準備は大方終わっているから後は任せよう。
0098名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:16:54.72ID:5FXAO7ko
しずく「お姉さん、その髪型初めて見た」
遥「うーん……そもそも私を見たのって今日でまだ2回目だよね?」
しずく「そうだけど」
今日の私は、数か月ぶりにリボンでツインテールにしていた。葬儀の場には不釣り合いかと思ったけれど、もう下ろすのは私らしくなかった。
遥「変かな?」
しずく「ううん、すごくかわいいと思う」
遥「ありがとう」
しずく「……でも、下ろしてるのもかっこよかったな」
遥「しずくちゃんがしてほしいなら、時々おろしてみるよ?」
しずく「じゃあ……お願い」
0099名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:18:44.40ID:5FXAO7ko
そのうちに参列者がやってきて、どんどん雰囲気が忙しなくなってくる。
親を亡くしたしずくちゃんへの哀れみか、見慣れない私の物珍しさか、こちらを窺う人も時々いて、ただ座っていることが落ち着かなくなる。
横を向くと、どうやら彼女も同じ気持ちでいるらしかった。
遥「しずくちゃん、ちょっと散歩する?」
しずく「え?……でも」
遥「まだ大丈夫だよ」
しずく「ほんと?……なら、いく」
しずくちゃんを連れて外に出る。
山をすこし切り開いて作った葬祭場には、あまり人の気のしない場所がなかった。少し麓に下りて、駐車場になっている場所で、私たちは木陰に入った。これで人の死と無縁な場所であれば理想的だけど、現実はそうあってはくれない。
0100名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:20:28.74ID:5FXAO7ko
斎場が落ち着かなかったのは嘘ではないものの、私にはしなければならない話もあった。
遥「しずくちゃん、寒くない?」
しずく「大丈夫だよ」
遥「……」
しずく「お姉さん?」
遥「あのね、しずくちゃん。……私は、しずくちゃんを支えたいと思ってる。色んなことをしてあげて、色んな話を聞いてあげたいって思ってる」
しずく「?」
遥「でも、私だけじゃダメなんだって思うの。それじゃ上手く行かないんだって、昨日教えてもらった」
しずく「……」
遥「だから、しずくちゃん。しずくちゃんも、私を支えてくれるかな?……そうしたら私たち、一緒に生きていけるよ」
しずく「……私、なにすればいいの?」
遥「……んー……なんだろうね」
しずく「え?」
遥「今はまだ、わからなくていいんだよ。何か困ったときに、一緒に話し合って、力を合わせられれば、大丈夫」
0101名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:21:28.91ID:5FXAO7ko
少し上を向いて、私を真っ直ぐ見てくれる。頭の後ろには、今にも羽ばたきそうな蝶がいる。
しずく「……なら、私は大丈夫。お姉さん、私と、生きてくれる?」
……その笑顔に言う言葉は、もう決まっていた。
遥「……しずくちゃん、『お姉さん』と一緒に暮らすの?」
しずく「え?どういうこと?」
遥「『お姉ちゃん』って、呼んで欲しいな」
しずく「……!」
しずく「お姉ちゃん!」
遥「うん!お姉ちゃんだよ!」
0102名無しで叶える物語(とばーがー)2022/06/11(土) 01:23:15.98ID:5FXAO7ko
終わりです
読んでいただいた方、途中保守していただいた方、ありがとうございました
次回作が完成すれば同居をはじめたはるしずの日常の話になります
こんな話を書いておいてあれですがはるかなは大好きです
過去作
歩夢「かすみ」かすみ「ぽむちゃん?」
歩夢「ブックマーク同好会?」栞子「はい…」
かすみ「ぽむちゃんの」栞子「あゆねえの」歩夢「誕生日?」
乙、恋ちゃん絡みの話も気になるね
次回作も楽しみにしてる
0104名無しで叶える物語(鮒寿司)2022/06/11(土) 01:26:48.59ID:Ot5z8mhS
乙
続編待ってます。しおぽむかすの方も待ってます
0105名無しで叶える物語(なっとう)2022/06/11(土) 01:37:30.28ID:/RdOk0eo
乙
とても興味深い設定 続き待ってる