0185名無しで叶える物語(SB-Android)2020/08/29(土) 00:59:11.02ID:PGmGa/8o
0186名無しで叶える物語(SB-Android)2020/08/29(土) 00:59:23.06ID:Xs0cW3vC
曜って負けが確定してるとこがモテない男女に共感されて人気なんだってな
0187名無しで叶える物語(SB-Android)2020/08/29(土) 00:59:41.25ID:U0XO6ZNd
渡辺曜は五体引き裂かれて内蔵引き千切られて血反吐撒き散らしてのたうち回って死に晒せ
………
…
梨子「……」
鞠莉「……」ポンポン
梨子「……」
鞠莉「……梨子?」
梨子「……?」
鞠莉「今のこと、曜にちゃんと話した?」
梨子「……」
フルフル
鞠莉「……そう」
梨子「……」
鞠莉「……話さないの?」
梨子「それは……」
鞠莉「……梨子、あのね」
鞠莉「あのね梨子、いくら長く一緒にいたってね、気づけないことってきっとあると思うのよ」
鞠莉「言わなくちゃわからないことってね、どうやっても残り続けるんだと思う。深く、胸のセンターで」
鞠莉「もちろん私だって夢見ちゃうわよ、自分の気持ちが全部伝わってくれたのならどんなに嬉しいことなんだろうって。こんだけ長く付き合ってるんだから私の気持ちくらい察しなさいよね、って」
梨子「……」
鞠莉「でもね、そんなの無理なのよ、きっと。だってそうでしょう?私たちはエスパーにはなれないんですもの」
鞠莉「だからね梨子、ちゃんと話さないと伝わらないわよ?自分の気持ち、曜に」
梨子「で、でもっ!話せば伝わるってわけじゃないっていうか……」
鞠莉「そうね、話せば伝わるっていうのも幻想だわ。でもね?」
鞠莉「そうやって傷つけて、傷つけあって。届かなくても追いかけて。そうやって手を伸ばしながら一つになっていくんだと思うわよ。違う?」
梨子「……?」
鞠莉「伝わらないけど伝え続ける。それってすごく残酷なことだと思うわ。だって終わりが訪れないんですもの」
鞠莉「でもね、きっといつかは分かり合える。マリーはそう信じてるわ。だって好きなんでしょう?曜のこと、ちゃんと」
梨子「う、うん……」
鞠莉「なら大丈夫よ、絶対!恋する女の子は無敵なんだから♪」
———
〜内浦〜
梨子「……」
梨子(鞠莉ちゃんが一人で気持ちを整理してみなさいって言うから、あの後、家には帰らずにいたんだけど……)
梨子(でもやっぱり、行く当てなんてあるわけじゃなかったから……)
梨子「……どうしてここに戻ってきちゃったんだろ」
梨子(まあ、これしか方法がないっていうか……受け入れてくれそうな場所は、もうここしかないのよね、きっと)
梨子(……もう戻らないって決めたのに、決別するって決めたのに)
梨子「はぁ、誰かいるかなぁ……?」
ピンポーン!!
梨子「……」
ピンポーン!!
梨子「……誰もいないのかな?」
梨子「どうしよ、誰か帰ってくるまで、適当に……」
梨子「……」
梨子(……ううん、そうじゃないよね)
梨子(ほんとは嫌で嫌で今すぐ閉じこもってしまいたいんだけど、私のワガママで誰かを傷つけたくはないって、そう誓ったから)
梨子(鞠莉ちゃんが背中を押してくれたんだもん。理解されなくても伝え続けるしかないって、そう勇気をくれたから)
梨子(だから、私はもう……)
梨子「……」
スタスタ
梨子「……」
スタッ!
梨子「……誰かいるかな?」
梨子「ど、どうしよ、高校の頃は改まって正面から入ったことなんてあんまなかったし……」
梨子「それに、普段は裏口を使ってたから、こうやってインターホンを使うのって、なんか新鮮で……」
梨子(つい、尻込みしてしまいそうになちゃうけど……)
梨子「……えいっ
千歌「あれ、梨子ちゃん?」
梨子「千歌ちゃん……」
千歌「うわぁ!!ほんとに梨子ちゃんだ!!本物だ!!」
千歌「久しぶり!梨子ちゃん!!」
ザァー…ザザーン…
千歌「なんか久しぶりだねぇ〜、こうやって梨子ちゃんと二人で海眺めてるの」
梨子「……」
千歌「えっと……卒業したのが一年以上前のことだから、それ以来ぶり、ってことになるのかな?」
梨子「……そうね」
千歌「うん、そうだ」
梨子「……」
千歌「……」
梨子「……」
千歌「……曜ちゃん、元気?」
梨子「え……?曜ちゃん……?」
千歌「うん、梨子ちゃんと一緒なんでしょ?」
梨子「どうして、それを、千歌ちゃんが……」
千歌「あ、あぁ〜、風の噂ってやつ?なんとなくそんな感じのこと、聞いちゃって……」
梨子「そう……」
千歌「うん……」
梨子「……」
千歌「……」
梨子「……あのね、私ね、ケンカしちゃったの、曜ちゃんと」
千歌「へ?ケンカ?どうして?」
梨子「それは……」
千歌「……?」
梨子「……私が千歌ちゃんみたいになれなかったから」
千歌「うええ!?ケンカの原因私にあるの!?ご、ごめっ
梨子「ううん、そういうことじゃないの、ただ……」
千歌「……ただ?」
梨子「……ほんとはね、私、知ってたんだ」
梨子「曜ちゃんは千歌ちゃんと付き合ってたほうが幸せになれてたんじゃないかって。あの時私がワガママに走らずに、ちゃんと曜ちゃんと向き合って……」
梨子「……それでちゃんと千歌ちゃんと結ばれるようにしてあげた方が良かったんじゃないかって」
梨子「きっとその方がみんな幸せになれたんじゃないかって……私も曜ちゃんも、それに千歌ちゃんだって」
千歌「……?」
千歌「梨子ちゃん、幸せじゃないの?」
梨子「ううん、そうじゃなくて……曜ちゃんのこと」
梨子「曜ちゃん、私といても楽しくないみたいだから、もしかしたら千歌ちゃんといた方が、幸せになれたんじゃないかなって……」
千歌「……そうなの?」
千歌「曜ちゃん、梨子ちゃんと二人暮らしできてすっごく幸せだって言ってたけど……ほら!」
梨子「!!!?」
梨子「えっ!!?どうして!!?どうして千歌ちゃんと曜ちゃんが繋がってるの!!?」
千歌「あぁ〜、えっとね〜、ほ、ほら!!元は親同士の繋がりってやつで!曜ちゃんのお母さんと志満姉が頻繁に連絡取り合ってて、それで私にも曜ちゃんのことはしょっちゅう耳に入ってきてて……」
千歌「そ、それでね?曜ちゃんが音信不通になっちゃっても、私はすぐに、連絡取れるようになっちゃったから……」
梨子「……」
千歌「ち、違うよ!!私は曜ちゃんのこと梨子ちゃんから盗ろうなんて考えてないし!!曜ちゃんだってきっと浮気とか!ヘンなこと考えてないと思うから!!きっと!!」
千歌「あっ!!疑うなら私と曜ちゃんの会話全部、梨子ちゃんに見せてあげても……」
梨子「見せて」
千歌「あ、うん……はい、スマホ」
梨子「……」
スッスッ
梨子(ほんとだ。曜ちゃんのアカウントだ)
梨子(……あっ、これ曜ちゃんと言い合いになっちゃった日のよね。お味噌汁の味付けのことで、ちょっとした口論になっちゃって……)
スッスッ
梨子(……それとこれはあの日のこと。私が拗ねて曜ちゃんに意地悪しちゃった日の出来事)
梨子(私の知らないところで、ちゃんと気にしてくれてたんだ、私のこと……)
梨子「……」
千歌「わ、私もね!!ずっと言ってたんだよ!曜ちゃんに!!私なんかに言っても意味ないから梨子ちゃんに直接言えって!!」
千歌「でも曜ちゃんってば、梨子ちゃんに迷惑かけたくないの一点張りで……」
梨子「……」
梨子(……ほんとだ。曜ちゃんってば千歌ちゃんに軽くあしらわれてる。『私に言うな!バカ曜ちゃん!!』って)
梨子(じゃあもしかして、あの日のことも、もしかしたら……)
千歌「ほ、ほんとはね!!私が二人の間に立ってあげられれば良かったんだけど、梨子ちゃんは私のこと、あんまり好きになれないみたいだったから……」
千歌「か、考えてみれば当たり前だよね!だって私!!梨子ちゃんの恋敵なんだもん!!だから、いくら私が頑張っても
梨子「違う!違うの千歌ちゃん!!私千歌ちゃんのことなんて嫌いになってない!!」
梨子「ただ自分が嫌で!!千歌ちゃんみたいに明るくなれない自分が嫌で!!曜ちゃんに好きになってもらえない自分が嫌で……」
梨子(ああ、やっと言えました。やっと素直になれました)
梨子(ほんとは誰より一番に聞いてほしかった。誰よりも一番に相談したかったの。千歌ちゃんに、曜ちゃんのこと)
梨子(だって千歌ちゃんは大親友なんだもん。内浦に引っ越してきて初めてできたお友達で!私の一生の大親友なんだよ!!嫌いになんてなれるわけない!!忘れられるわけないんてないの!!この気持ちを!!)
0202名無しで叶える物語(家)2020/08/29(土) 01:40:30.23ID:FxSB/LlO
見ている
梨子「私、ずっと千歌ちゃんに謝ろうって……私が千歌ちゃんのこと避けてきたこととか、千歌ちゃんのこと疑っちゃったこととか、全部……」
千歌「梨子ちゃん……」
ギュッ!
千歌「……もう、謝らないでよ。梨子ちゃんは何にも悪いことしてないのに」
梨子「だって、だって……私!!」
千歌「うん、うん。わかってるよ、本当は全部わかってるから。心の奥ではわかってるんだよ、きっと」
千歌「言わなくてもちゃんとわかってる。だって私たち大親友なんだよ?ぜんぶぜんぶ、わかってるから、梨子ちゃんの気持ち」
梨子「千歌ちゃん……」
千歌「すれ違ったってきっとまた分かり合えるって、そう信じてるから。だって私と梨子ちゃんなんだもん。出来ないこととか、不可能なことなんてなかったんだよね、きっと」
千歌「本当はそういう関係だったんだよね、私たちって。一番の友達で、一番の親友で……」
梨子「うん、うん……」
………
…
梨子(それから私と千歌ちゃんはたくさんのお話をしました)
梨子(久しぶりに千歌ちゃんのお部屋にお泊りして、あの伊勢海老のぬいぐるみを抱きしめながら、夜が明けるまでたくさんのことをお話しました)
梨子(大学のこと、将来の夢。恋バナとか友達のこととか、高校時代の思い出や、曜ちゃんの恥ずかしい話。一年間のブランクを埋めるかのように、夢中になって話し続けていました)
梨子(大学生になっても千歌ちゃんはやっぱり千歌ちゃんで、やりたいことがみつからないーとか悩んでいても、千歌ちゃんならきっと大きな夢を成し遂げられる。そんな予感が、私の中には確かにあります)
梨子(だって千歌ちゃんなんだもん。話をするだけでこんなにも心のあったかくなるお友達を、私は千歌ちゃん以外に知りません)
梨子(ああ、千歌ちゃんとずっとずっと大親友でいたいなって、今では心からそう思えています)
千歌「えー?梨子ちゃん、もう帰っちゃうの?もっとゆっくりしてけばいいのに……」
梨子「うん♪だって私がいないと曜ちゃん寂しがっちゃうじゃない?ほら、曜ちゃんって意外とさみしがりなとこあるし」
千歌「あはっ、そうかも。今頃ベッドで布団にくるまってるかもね!曜ちゃん!」
梨子「ふふっ、そうね、そうかもね」
テクテク
梨子「……」
クルッ!
梨子「じゃあ……そろそろ行くね」
千歌「あっ!梨子ちゃん!!最後に一つだけいい?」
千歌「連絡先!!私は一応梨子ちゃんのも知ってはいるんだけど……梨子ちゃんにも渡しておこうと思って!!」
千歌「はい!これ!大切にしてね!!」
ピロン♪
千歌「いつでも連絡してね!梨子ちゃんからの連絡なら、私も大歓迎だから!」
梨子「あ、うん……ありがと、千歌ちゃん」
千歌「ふふっ、どういたしまして!」
千歌「それと梨子ちゃん!曜ちゃんのことよろしくね!あとあと!いつでも内浦に帰ってきてね!内浦の海と空が梨子ちゃんのことをいつでも待ってるから!あとはあとは……」
梨子「まだあるの?もう、さっき最後って言ってたじゃない」
千歌「えー?だって梨子ちゃんに言いたいこと、いっぱいあるから……」
梨子「……千歌ちゃん」
ギュッ!
梨子「千歌ちゃんが言ってくれたじゃない、言葉にしなくたって気持ちは伝わってるって」
梨子「私だっておんなじよ。千歌ちゃんが思ってることは、伝えようとしてくれてることは、ちゃんと私の中に届いてるから」
千歌「梨子ちゃん……うん、そうだよね」
千歌「うん!梨子ちゃんなら大丈夫!!この私が保証してあげるよっ!!」
梨子「ふふっ、ありがと千歌ちゃん」
梨子「じゃあ……またね、また会おうね」
千歌「もちろん!またねー!梨子ちゃん!!」フリフリ
梨子「うん!」
クルッ!
梨子「……」スタスタ
梨子(こうして、私は千歌ちゃんとは別々の道を歩き始めました。二人が進む未来は違っていても、きっと心はいつも繋がっているんだろうって、そう信じながら……)
千歌「……梨子ちゃーん!ほんとに最後にひとつだけ!!」
梨子「……?」
テテテテッ!
千歌「今度会うときは!三人一緒だからねーっ!!」
梨子「……ええ!!もちろんよ!!」
———
梨子「……」
梨子(ついに帰って来てしまいました。私の家に……ううん、私と曜ちゃんのお家に)
梨子「はぁ……」
梨子(頭の中によぎるのは今までのこと)
梨子(初めて曜ちゃんを好きになった日のこと、高校生のころの三人の思い出)
梨子(曜ちゃんと一緒に暮らすようになってからの日のこと、それからそれから……ケンカしちゃったあの日のこと)
梨子(自分だけが悪いだなんて思ってないし、曜ちゃんに気付いてほしい、もっと私をわかって欲しいって気持ちは今も変わってなくて、割り切れない想いもたくさん抱いてるんだけど……)
梨子(……でも、それでもやっぱり私は手を差し伸べてみたい。たとえ私の描く曜ちゃんが幻想だったとしても、曜ちゃんが
梨子(もう自分からは逃げたくないの。今度こそちゃんと見てあげたいの)
梨子(だって私、曜ちゃんのこと大好きなんだもん)
梨子「……よし!」
梨子(気持ちはきちんと確かめた。私は曜ちゃんのことが好きだから。この気持ちは絶対に伝わってくれるって、そう信じてるから、ずっと)
梨子「……えいっ!」
ピンポーン
梨子「……」
ガチャッ!
梨子「曜ちゃ
曜「梨子ちゃん!!!」
ガバッ!!!
梨子「えっ、曜ちゃん……?」
曜「梨子ちゃん!!ごめんなさい!!ごめん!!ほんとにごめんね!!」
梨子「曜ちゃん……」
梨子(顔、真っ赤……もしかして)
曜「ごめん、ごめんね……梨子ちゃん……」
梨子「あ、うん……」
曜「……」
梨子「……ね、ねえ曜ちゃん、ここだとご近所迷惑かもだし、な、中入ろっか」
曜「そ、そうだね!!」
曜「……」
梨子「……それで、どうして?」
曜「え……?なにが……?」
梨子「さっきのごめんなさいの意味よ。曜ちゃんはいったい何を反省してくれたの?」
曜「そ、それは……」
梨子「……?」
曜「……よくわかんないや」
梨子「……」
梨子「ええ……?」
曜「だ、だってね!!この前私かーっとなっちゃって!梨子ちゃんにひどいこと言っちゃったなって思って……」
梨子「……」
曜「や、やっぱりそれでね!いくらちゃんとした理由があったとしても、言っていいことと言っちゃいけないことがあることくらい、私だって理解してるつもりだから……」
曜「も、もちろん!まだ梨子ちゃんが何を言いたかったのか、どうして梨子ちゃんがあそこまで怒ってたのかはわかんないんだけど、でも……」
曜「……やっぱり謝らなくちゃって思った。ちゃんと梨子ちゃんと話し合おうと思った、今後のこと」
梨子「曜ちゃん……」
梨子(曜ちゃんは一言一言、言葉を選びながら私に気持ちを伝えようとしてくれました)
梨子(こうやって傷つきながらも、一歩ずつ乗り越えていこうとしてくれるその姿が、どうしようもなく曜ちゃんらしくて)
梨子(私もいつか、曜ちゃんみたいにかっこよくなれたらな、なんて思ってしまうのです)
曜「……梨子ちゃん、聞いて」
梨子「……?」
曜「いまさら私が何を言っても許してもらえることがないってことくらいわかってるんだけど、もともと千歌ちゃんのことが好きだった分際で何都合のいいこと言ってるんだって思うかもしれないけど、でも!」
曜「でも……でもね!やっぱり!!」
曜「やっぱり私は梨子ちゃんのことが好き!梨子ちゃんにそばにいて欲しいの!!」
梨子「……」
曜「たとえ梨子ちゃんに信じてもらえなかったとしても、これが私の素直な気持ちだから!だから!!だから!!」
梨子「……」
曜「はぁっ、はぁっ……」
曜「ほんの、ほんの少しだけでも、さきっぽだけでも届いてくれたのなら……嬉しい、です……」
梨子「曜ちゃん……」
曜「あはは……やっぱりこんなかっこ悪い私じゃだめ……かな……?」
梨子「……」
ギュッ
曜「梨子ちゃん……」
梨子「……うん、受け入れてあげる。曜ちゃんの気持ち」
曜「……」
曜「梨子、ちゃん……」
曜「あ、ありが
梨子「ごめんなさい」
曜「ええええっ!!?」
梨子「私の方こそごめんなさい。曜ちゃんのこと拒んじゃって、曜ちゃんのこと信じてあげられなくて」
梨子「曜ちゃんはいつも好きって言ってくれてたのに、私、うまく信用してあげられなくて……千歌ちゃんのこともあったし、邪推して……」
梨子「だから……曜ちゃんのこと信じてあげられなくて、本当にごめんなさい。私の方こそ曜ちゃんのこと心から好きでいてあげなくちゃいけなかったのに……」
曜「梨子ちゃん……」
ギュッ!
曜「……もう、どうして梨子ちゃんが謝るのさ」
梨子「だって、だって……」
梨子「……」
曜「……」ポンポン
梨子「曜ちゃん……」
曜「……梨子ちゃん、大好き」
梨子「……うん」
曜「伝わらないのなら何回だって言うから。好きだよ梨子ちゃん」
梨子「うん、うん……」
曜「……」
梨子「私も……曜ちゃんのことが好き」
梨子「大好きだよ、曜ちゃん」
梨子「……」
曜「……」ポンポン
梨子「……あのね、曜ちゃん」
曜「ん?なーに、梨子ちゃん?」
梨子「私ね、正直嫉妬してたかもしれないの、千歌ちゃんに」
梨子「だって千歌ちゃんは私の何倍も曜ちゃんのこと知ってるんだろうし、私の知らないところで曜ちゃんと千歌ちゃんが仲良くなっちゃって、特別な関係になったら嫌だなって、ほんとはずっと思ってた」
曜「うん……知ってる」
曜「最初から全部気づいてたよ、梨子ちゃんの気持ちは。まあなんとなく、だけど……」
梨子「……そう」
曜「でも私は梨子ちゃんを選んだ。梨子ちゃんとなら幸せになれそうって、そう思ったから」
梨子「……」
曜「だからね、私は後悔してないし……これからもずっと、同じ道を歩き続けると思う」
曜「梨子ちゃんと二人で、この道を」
梨子「……」
曜「だ、だからさ
梨子「嫉妬しちゃうような女の子は嫌い?」
曜「えっ?……ううん、大好きだよ、梨子ちゃんのこと」
曜「も、もちろん、たまには帰りが遅くなっちゃうこととか、沼津に帰ったりすることくらいは許してほしかったりはするけど……」
梨子「……うん、じゃあね」
ダキッ!!
曜「……?」
梨子「それ以上に、私のそばにいて欲しいなって」
梨子「曜ちゃんが他の娘と仲良くするのと同じくらい、ううん、それ以上に私のこと抱きしめてもらいたいの」
梨子「だめ、かな……?じゃないと私、寂しくて死んじゃうかも……」
曜「……もう、そんな顔されちゃったら断れるわけないじゃん」
曜「いいよ梨子ちゃん、私がたくさん抱きしめてあげる」
梨子「うん、たくさん甘やかして欲しいな、私のこと♪」
梨子(……ダメになったって構わない。このまま堕ちてしまったて構わない、もう戻れなくてもいい)
梨子(せめて今だけは、曜ちゃんと二人でいたい。他の部分は頑張るから、受け入れられるように頑張るから、だからやっぱり……)
梨子(……やっぱり私は独占欲の強い、意地悪な女の子でした)
………
…
曜「……」ギュッ
梨子「……」
曜「えっと……」
梨子「……」ギューッ
曜「……いつまでこうしてればいいの、梨子ちゃん?」
梨子「……」
曜「梨子ちゃん……?」
梨子「……朝まで」
梨子「お日様が昇るまで。それまでは二人でこうやっていよ?」
曜「ええっ!?私、お腹すいた
梨子「だーめっ!!」
ギュッ!!
曜「わわっ!!?」
梨子「いいじゃないちょっとくらいなら、ね?」
梨子(……寂しがりな私は、つい曜ちゃんに甘えてしまいたくなってしまいます)
梨子(本当はそれじゃダメなんだけど、私も成長していかなきゃってことくらい、わかってはいるんだけど)
梨子(……せめてこの夜が続く間は、二人で抱き合っていたいの)
梨子(いつか絶対光の下に踏み出してみるから、待ってくれている曜ちゃんのことろに飛び出して見せるから)
梨子「……だから、だから今だけは、この夜が続く間だけは私を甘やかしていてください」
曜「もう、しょうがないなぁ……」
チュッ
梨子「んっ……」
プハァ!!
曜「いいよ、梨子ちゃん。二人でどこまでも墜ちて行こうね」
梨子「……うん」
梨子(ダメになってもいい、消えてなくなっちゃってもいい)
梨子(本当は強くありたいって思ってるけど、曜ちゃんがこの弱さも受け入れてくれるんだとしたら)
梨子(このまま夜に溶けていくのも悪くないのかなって、二人で沈んでいくのもいいんじゃないのかなって)
梨子(幸せは確かにここにあります。曜ちゃんの温もりが私を確かに安心させます)
梨子(いつかはちゃんと背伸びをするから。全部を受け入れて大人になってみせるから)
梨子「だから、今だけはこうしていようね♪曜ちゃん♪」
曜「うん、私も大好きだよ、梨子ちゃん」
0223名無しで叶える物語(新日本)2020/08/29(土) 03:27:18.52ID:pTVo6vWH
終わりです。お粗末様でした
ここまでコメント&お読み下さりありがとうございました。
難しい場面が多くてふわっ!とした記述が多くなってしまったのですが、雰囲気だけでも伝わったのなら幸いです
0224名無しで叶える物語(悠久の苑)2020/08/29(土) 06:42:05.40ID:9Wf+jUlN
長い三行
0227名無しで叶える物語(家)2020/08/29(土) 10:58:08.66ID:FxSB/LlO
おつおつ
良かったぜ
乙!一気に読んでしまった
ようりこは梨子→曜強いのが捗る
0229名無しで叶える物語(茸)2020/08/29(土) 20:43:39.76ID:G8L2ySyp
この雰囲気が好きぃ
乙です!
散々キャストに休ませろとかこの板で言われてたのにこんなことになるなんて
めっちゃよかった。
心理描写だけじゃなくて、独占欲と嫉妬深い梨子ちゃんの様子もっと書いてほしかった
0232名無しで叶える物語(庭)2020/08/30(日) 08:19:38.13ID:g4BZObYn
>>228
わかる
梨子→曜の矢印は曜→梨子の矢印より重くて太そう